注意のフィルターモデルとは?

理論

この記事では、選択的注意に関する理論モデルの1つである

「注意のフィルターモデル」について僕の理解をまとめておきます。

結論~注意のフィルターモデルとは?~

注意のフィルターモデルとは、「注意を向けた情報は詳細な処理がされるが、そうでない情報は処理されない」というモデルのことです。

では、実際に体験していきましょう。

「あなたの目の前に、Aさん、Bさん、Cさんがいます」

そして、この3人は、これから別々の言葉を同時にしゃべります。

そこで、あなたは・・・

「あなたは”Bさんが何と言ったかききとってください

すると・・・

あなたは、Bさんの言った言葉だけを覚えていて、Aさんと、Cさんが何を言ったかわからないというようなことが起きます。

これが、「注意のフィルターモデル」で説明していることです。

この学術的な説明が以下です。

このモデルによると、感覚器官に到着した情報は、読み上げられる情報の方向、声質、強度等の全般的な感覚的な特徴のみが同時に分析され、生に近い形で短期ストア(short-term store)に保持される。短期ストアには容量の限界は無く、このストア内の情報は時間経過のみによって崩壊すると考えられる。これに続く中枢情報処理機構であるPシステムには一度に処理できる情報の容量に限界がある。そこで、このPシステムの過負荷を避けるために、すでに為された分析結果に基づいて、前もってフィルターが特定の感覚的な特徴を持つチャンネルの情報のみを選択的に通過させ、他のチャンネルの情報は拒絶するというのである。ここでチャンネルとは、目や耳から大脳に至る感覚通路であったり、聴覚における音の方向、強度、男女の声質の違い、あるいは視覚における文字の大きさ、色の違いといった感覚的な特徴であったりする。結局、注意されることによりフィルターを通過しPシステムへ入ることが許されたチャンネルの情報のみが知覚的および意味的な内容の分析を受け、記憶され、あるいは以後の反応に影響を及ぼすことになる。一方、フィルターによって拒絶された情報は以後のいっさいの分析を受けず、記憶されることも、以後の反応に影響を及ぼすことも無いと考えられる。

(引用:選択的注意と記憶)

では、これを、もう少し丁寧に組み砕いてみていくことにしましょう(^-^)

感覚器官で情報を得る

まずは、情報を得るところです。

例えば、あなたが「あ」「3」「A」ときかされたとします。

情報の一時的な保存

すると、これらの情報を一度すべて保存されます。

短期ストアの特徴

ちなみに、短期ストアには、限界がないので、いくらでも保存しておけます。

ただし、時間が経つと忘れていくのが特徴です。

これは、感覚的にも納得できるのではないでしょうか?

Pシステムへの移行(長期保存用の倉庫)

次に、短期ストアから、Pシステムに情報の受け渡しがなされます。

何のために?

と思う方もいると思いますが、長期保存のためです。

さきほどお伝えしたとおり、短期ストアの情報は、時間の経過に合わせて消えてしまいます。

ですので、そうなる前に、Pシステムに移管しようということですね(^^♪

手元にあるお金を銀行に預けておくみたいなイメージですね(笑)

しかし、このまま情報を受け渡しをしてしまうと問題があるのです!

それは、Pシステムには限界があるということです

受け渡す情報のふりわけ

そこで、「フィルター」による情報のふりわけがなされます。

例えば、「3はいる」、「それ以外はいらない」みたいな感じに。

つまり、フィルター立ち合いのもと、情報の受け渡しが行われるわけです。

↓↓こんなイメージ

Pシステムで長期保存と分析

こうして、Pシステムに引き渡された情報のみが、長期記憶として保存され、かつ、内容の分析の対象となり、その後の判断のために活用されます。

そして、「それ以外の情報=A、あ」については、それ以降の処理を受けない、つまり、記憶としても保存されない!

このようなモデルが「注意フィルターモデル」なのです。

ただ・・・

これをきいて、こう思った方もいるかもしれません

「え?あたりまえじゃね」

そう、この理論は、もはや過去の遺産なのです。

なぜでしょうか?

それは、必ずしも、意識的に注意を向けていなくても、耳に入ってくる情報があるからです。

例えば、友達と会話をしてるときに、どこか別のところから「〇〇!」とあなたの名前を言っている人がいたとししましょう。

しかし、その人は、別の「〇〇」と話していただけで、あなたのことではありませんでした。

このように、必ずしも、意識的に注意を向けていなかったとしても、私たちは認識している情報があるわけです。

これは、注意のフィルターモデルで言っている、「注意を向けてない情報は処理されない」という事実に反するものです。

そうやって、生まれてきたのが「注意の減衰モデル」です。

ただ、ここで扱うと、この記事を終われなくなってしまうので、とりあえずここまでにしておきます(笑)

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

最後に、本記事の内容をまとめておわかれです(^^♪

  • 注意のフィルターモデルとは、「注意を向けた情報は詳細な処理がされるが、そうでない情報は処理されない」というモデルのことです。
  • 注意のフィルターモデルのプロセスは、「情報を得る→短期ストアで一時保管する→フィルターで情報のふりわけ→Pシステムに移管→情報処理の継続」の流れで進む。
  • 短期ストアの特徴は2つある。1つは、情報の容量に限界がないこと。2つめは、時間の経過とともに消失していくこと。
  • Pシステムの特徴は、情報の容量に限界があること。そのため、フィルターで情報のふりわけがなされる
  • 注意のフィルターモデルは現在は支持されていないと言える。なぜなら、私たちは、注意を向けてない情報も処理していると考えられるからです。

ということなんですね~

それではまた(^^)/

参考

  • 嗅覚識別と選択的注意
  • 選択的注意と記憶
  • 注意機能・ワーキングメモリ・遂行機能~類似点と相違点~

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