大人のASD~感覚過敏の具体例~

DSM-5

この記事は、自閉症スペクトラム(以下,ASD)の特性である「感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ」について言われていることをまとめてます(^ω^)

前提

まず、前提ですが、「感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ」はDSM-5における、自閉症スペクトラムの診断基準の1つである、「限定された反復的な行動」の下位分類の1つとして位置づけられています。

↓↓こちらの赤枠の部分の話がメインです(^ω^)

全体像については↓↓こちらをご参考ください

結論~感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さとは?~

で、結論から言うと、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さは「発達障がいの人たちが持つ独特の感覚による」障害ということです。

以上を踏まえて、詳細をみていきます(^ω^)

④感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性,あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心

(引用:発達障害から発達凸凹へ,p35(3),表2,【DSM-5 における自閉症スペクトラム障害 診断基準】より)

ということです。

つまり、専門的には、さらにこの「独特の感覚」を3つに分解して考える必要があるということになります。

ASDの感覚の特徴の問題を論じる際に用いられる用語は研究領域などによって異なるが、一般的には感覚過剰反応〔感覚過敏(sensory over-resposivity, hyper-sensitivity など)〕,感覚低反応〔感覚鈍麻(sensory under-responsivity, hypo-sensitivity など)〕, 感覚探求(sensory seeking behavior など)に大きく分類されることが多い。

(引用:自閉スペクトラム症の感覚の特徴,p370,左列,6-12行目)

個人的には。感覚過敏と鈍麻については、認識がありましたが、「感覚探求」という視点は、抜け落ちてました( ゚Д゚)

やはり自己研鑽は大事ですね!

というか「探求」という側面があるから、「基準B」のこだわり的な特性の1つに含まれているのだと考えられますね!

では、過敏・鈍麻・探求について具体的にみていくことにしましょう!

感覚過敏の具体例について

では、感覚過敏から掘り下げていきましょう(^ω^)

感覚過剰反応では、特定の感覚刺激に対して苦痛を感じたり、過度に否定的な反応を示し、そのような感覚刺激をしばしば回避したり、過度に警戒したりする。例えば、特定の衣類あるいは衣類のパーツ(タグなど)に対して触覚の過剰反応がある場合、そのような衣類を身につけることを過度に嫌がったり、落ち着かなくなったりする

(引用:自閉スペクトラム症の感覚の特徴,p370,右列,3-10行目)

上記は「触覚過敏」の具体例に触れていますので、視覚・聴覚・嗅覚・味覚に分解して具体例を追いかけてみましょう。

触覚過敏の具体例

触覚過敏の例をまとめたのが↓↓です。

「人に触られるが苦手」というエピソードはよくありますが、これが人間関係の質的な障害と繋がりがあるという視点はなかったです。

まさに、スペクトラムたるゆえんですね( ゚Д゚)

高橋・増渕(2008)によると,ASD 児者の 3 割強が「他人にある程度以上近づかれると,とても不快」「人に触れられるのが大変苦手」などの触覚過敏性を有しており,このような触覚過敏性に由来する「人に触れられた時の過剰な反応」が,周囲との人間関係を築く上での障害になっている可能性が考えられるという。

(引用:自閉スペクトラム症児者における感覚過敏・鈍麻の実態(1)―自閉スペクトラム症児者の行動特性との関係―,p46,左列,2段落,5-11行目)

また、「髪を自分で切る」という人が大学の頃いましたが、これはもしかしたら、過敏性があったりしたからなのかもしれませんね( ゚Д゚)

例えば「雨やシャワーが痛い」「髪や爪を切ると痛い」といった触覚の弱さ

(引用:アスペルガー症候群・高機能自閉症における「感覚過敏・鈍麻」の実態と支援に関する研究ー本人へのニーズ調査からー,p287,左列,7-8行目)

視覚過敏の具体例

視覚過敏の例をまとめが↓↓です。

それと、疑似体験ができる動画もあったので、おいておきます。

これですべてが理解できるわけではもちろんありませんが、イメージとしては十分でしょう。

ありがたいですね。

チェック項目全43のうち、最も多くチェックがついたのは「苦手な色の服は着られない」38.7%,次いで「苦手な柄の服は着られない」36.0%であった。「ヘトヘトに疲れていると刺激がとても強く感じられる」34.7%,「すれ違おうとして人にぶつかることがある」も33.3%にのぼった。そのほか「蛍光灯が瞬くのが見える」21.3%,「テレビやパソコンの画面がチカチカする」16.0%,「大気中の粒子が見える」24.0%など,通常では見えないものが見えて苦労している様子がうかがえる。

(引用:アスペルガー症候群・高機能自閉症における「感覚過敏・鈍麻」の実態と支援に関する研究ー本人へのニーズ調査からー,p290,左列【(4)視覚の過敏・鈍麻】1行目-右列8行目)

聴覚過敏の具体例

聴覚過敏の例をまとめが↓↓です。

これは「感覚過敏の王様」というぐらい、エピソードとして語られることも多いし、苦しんでいる当事者にお会いすることが多いです。

雷の音、居酒屋やショッピングモールなどの雑音、インターホン、サイレン、チャット通知音etc挙げればきりがないですね。

中川(2012)は聴覚過敏を生じやすい音を具体的に調査している。トイレのエアタオル、赤ちゃんの泣き声、犬の鳴き声、雷、スーパーやデパートの館内放送など 20 数種の音で聴覚過敏を生じたとのことである。山崎(2005)も、ASD の子どもたちは音に対し独特の反応を示し、音に敏感に反応し両耳を塞ぐ行為が特徴的、この現象を指耳現象(ゆびみみ)と記している。杉山(2000)は ASD 患者の体験世界を臨床家の観点で纏めているが、不用な雑音に対するフィルターがきちんと作動しない、チューニングの悪いラジオを聞いているようなもの、雑音の中に情報が埋もれているような状況と考えると分かりやすいと纏めている。

(引用:自閉症スペクトラム障害における聴覚過敏,p3,【4. 研究者による聴覚過敏の報告】2段落,1-7行目)

「指耳現象」も現場では多々直面します。

嗅覚過敏の具体例

嗅覚過敏の例をまとめたのが↓↓です。

個人的には、「嗅覚過敏」の例をあまり知りません。

その理由の1つに、福祉や医療の場合、そういった場面に居合わせないため、観察ができないということ。

2つ目の理由として、大人になるにつれて、消失していきやすいであろうこと。

3つ目の理由は、本人にも自覚しづらい部分である可能性が考えられます。

筆者らが臨床の場でみてきた ASD 児の嗅覚特性には,ペンキのニオイが嫌で図工室に入れない,体臭が気になり人に向き合うことができない,お盆のニオイが嫌いでおやつが食べられない,色々なもののニオイを嗅ぐ,ニオイがするからと繰り返し手を洗う,調子が悪くなるとマスクをつける,タオルを首に巻くといったものがあり,どれもが社会機能および予後に大きな影響を与えうる所見と考えている。

(引用:自閉スペクトラム症の嗅覚特性,p215(53),左列2段落,1-9行目)

また、嗅覚過敏が偏食に関連しているというのは、言われてみればそうですが、見落としがちなポイントかもしれません。

特に、食の問題は、パートナーや家族など身近な人に気づいてもらうのが一番大事な気がします。

嗅覚過敏の強いことがコミュニケ—ション能力や不適応行為の予後を示唆すること,Hubbard ら(2014)は,偏食の半分以上は嗅覚特性によって説明できることを報告している

(引用:自閉スペクトラム症の嗅覚特性,p215(53),左列3段落,1-6行目)

それと、「ニオイがするから繰り返し手を洗う」というのは、「感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ」が、やはり「DSM-5」の基準Bに入ってるゆえんなのでしょうね。

味覚過敏の具体例

味覚過敏の例をまとめたのが↓↓です

味覚過敏の現れ方としては、やはり、偏食でしょう。

味覚の過敏・鈍麻のチェック項目全13のうち、最も多くのチェックがついたのは「偏食がとても多い」20.0%,「食べたことのないものはとてもこわい」も17.3%,いた。

(引用:アスペルガー症候群・高機能自閉症における「感覚過敏・鈍麻」の実態と支援に関する研究ー本人へのニーズ調査からー,p291,左列【(7)味覚の過敏・鈍麻】1-4行目)

そして、一番のポイントは、他の感覚過敏と混同しやすい点だと考えられます。

「ASD者による味覚過敏の詳細は以下の通りである(高橋・増設IJ, 2008)。)順に,偏食がとても多い,食べたことのないものはとても怖い,食べ物に関して全く執着がない, つぶつぶの入った食べ物,何かが混ざり合った食べ物はうけつけない,歯磨き粉の味が嫌いで歯が磨けない,柔らかくゆるい感じの食べ物を見ると吐きそうになる,である」

(引用:自閉スペクトラム症児者の感覚過敏,p183,最終段落,1-4行目)

好き嫌いが多いと思ったら、視覚過敏が理由だったら、対処法が違うはずです。

だとすれば、専門家としてはちゃんと頭に入れておきたいポイントです(´-`)

感覚鈍麻の具体例は?

感覚鈍麻について詳しく知りたい方は↓↓こちらをご覧ください(^^ゞ

感覚探求についての具体例は?

感覚探求について詳しく知りたい方は↓↓こちらをご覧ください(^^ゞ

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

最後に、この記事の内容をまとめておわかれです(^^)

  • 「感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ」はASD特性の1つである。
  • 分類としては、「感覚過敏」「感覚鈍麻」「感覚探求」の3つがある
  • 視覚過敏には、苦手な色や柄の服が着れないなどがある。
  • 聴覚過敏の例として、「指耳現象」がある。
  • 触覚過敏の例として、「他人に触られることを嫌う」結果ひきこもるなどがある。
  • 臭覚過敏の例として、「においが手について、強迫手洗いなどにつながる」などがある。
  • 味覚過敏の例として、「他の過敏性と混在すると、気づかれにくい」ことなどがある。

ということなんですね~

それではまた(^^ゞ

参考

  • 発達障害から発達凸凹へ
  • 自閉スペクトラム症の感覚の特徴
  • アスペルガー症候群・高機能自閉症における「感覚過敏・鈍麻」の実態と支援に関する研究ー本人へのニーズ調査からー
  • 自閉症スペクトラム障害における聴覚過敏
  • 自閉スペクトラム症の嗅覚特性
  • 自閉スペクトラム症児者の感覚過敏

臨床心理士資格試験でも「ASD」は出題されています

ということで、臨床心理士試験を受験される方は以下のページも参考にしてみてください!(^^)!

それではまた♪

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