【基準A】ASDの社会性や人間関係の問題について

精神疾患

この記事は、自閉症スペクトラム(以下,ASD)の特性である「社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害」について言われていることをまとめてます(^ω^)

社会的コミュニケーションおよび相互関係」って言われてもピンときてない方は、ぜひご参考ください(^^)

前提

まず、前提の確認ですが、こちらはDSM-5における、自閉症スペクトラムの診断基準の1つである、「社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害」に焦点を当てた内容になっています。

↓↓こちらの赤枠の部分の話がメインです(^ω^)

ちなみに、全体像についての話は↓↓こちらをご参考ください

結論~社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害~

結論から言うと、診断基準Aは人とのつながりを維持することが難しい障害ということです。

以上を踏まえて、詳細をみていきます(^ω^)

「社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害」には、3つの要素が含まれています。

A.社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害(以下の 3 点)  

  1. 社会的,情緒的な相互関係の障害
  2. 他者と交流に用いられる言葉を介さないコミュニケーションの障害
  3. (年齢相応の対人)関係性の発達・維持の障害

(引用:発達障害から発達凸凹へ),p35(3),表2,【DSM-5 における自閉症スペクトラム障害 診断基準】より)

つまり、「社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害」を理解するためには、これら3つの要素の解像度を高めていく必要があるということです。

で、そのことを集約したのが↓↓こちら

3段構成は↓↓このようになってます

  • 上段=社会的コミュニケーションの障害に含まれる3つの要素
  • 中断=3つの要素の具体例
  • 下段=症状の背景にあるもの

では、3つの要素について個別にみてみます

社会的・情緒的相互関係の障害とは?

この障害特性のポイントは、「相互関係」というところです。

つまり、「相互関係」が成立しないために、起きている障害ということです。

これは、相互関係に障害がない場合を考えてみるとわかりやすいです。

そもそも「会話」というのは、「相互的なやりとり」だと言えます。

なぜなら、「話す」「聞く」といった役割を自分と相手で交互に代えて、協力しながら進めないと成立しないとからです。

つまり、「相互関係の障害」というのは、このラリーができないことだと言えます。

このラリーができないパターンには大きく以下の3つが挙げられます

パターン①~話が一方的~

これは、一方的に話をすることで、相手の関心や反応が考慮されていない場合です。

相手の反応を観察できていれば、話す内容や、量を調整するなどできますが、それができないゆえに相互関係が途絶えてしまうパターンですね。

パターン②~反応が薄い~

相手の言葉に対して適切な反応ができないため、会話(相互関係)が成立しない場合です。

これも、相手の話に相づちや視線などの非言語的な反応を加えるなどするとか、「なるほど」「それで?などのように相槌ができればいいのですが、それができないゆえに、「え?私の話そんなにつまらない」「自分の時は、あんなに話してたのに?」と思われて、相手の意欲を奪い相互関係が途絶えます。

パターン③~そもそも一人が好き~

上記の2パターンは、やりとりが「一方的」になってしまうパターンですが、3つめはそもそもやりとりが生じていない場合です。

他者との交流よりも一人で過ごすことを好むため、相互関係を築く場面が少ないパターンですね。

他者と交流に用いられる言葉を介さないコミュニケーションの障害

次は、非言語コミュニケーションの障害です。

この障害のポイントは、「非言語の意味がわからない」なので、「うまく使いこなせない」「読み取れない」ということになります。

感の良い方は気づいたかもしれませんが、「社会的・情緒的相互関係の障害」の話で、実はすでにこの障害もでていました。

伝える側として、身振り手振りを使うのが苦手

例えば、相互関係にならないのは、メッセージを受け取っているというフィードバックがないからです。

フィードバックとはなにか?というと、「アイコンタクト」「相槌をうつ」「前傾姿勢できく」などして「あなたの話をきいてます」というメッセージを伝えることです。

これは、非言語コミュニケーションを使う側、発信する側としての苦手さです。

メッセージを受け取る側としての苦手さ

次の例は、非言語メッセージを読み取る側になったときの苦手さです。

ASD者が、話しが一方的になるのは、やはりこの非言語情報の意味がわからないという部分が大きいでしょう。

あなたが、話をしているときに、相手がこんな風にしていたらどう思うでしょうか?

普通にかんがえたら、話す気なくなりますよね(笑)

しかし、ASD者は違います。

話続けられるのです。

なぜなら、「あいづちがないこと」とか「視線があわないこと」とか「ひじをついている」ことの意味がわからないからです!!

これ、対面もそうですし、電話とかでもよくありますね。

つまり、「距離感がわからない」とか「察するとかできない」というのは、非言語メッセージを読み取ることができないからだと考えられます。

 滝川(2008)は、「距離のない接近が目立ちますが、これは幼児の対人行動なら普通のふるまいで、だれでもがしてきたことです(お母さんにつきまとってトイレまでくっついてゆく、手をつないでもらう、髪に触って甘えるなど)アスペルガー症候群と呼ばれる人のなかには、思春期・青年期になってやっと普通なら幼児期や児童期初期に通過する対人行動の発達段階に達するケースがあり、するとこのような行動がみられます。幼児がすれば普通のことでも、青年になって、とくに異性にそんな行動をとれば相手からは、無作法な態度、悪くすればストーカーやセクハラとみえてしまいます

(引用:アスペルガー症候群と思われる大学生への支援,p3,左列【対人距離の取り方について】,1-18行目)

(年齢相応の対人)関係性の発達・維持の障害

最後は、「関係性の発達・維持の障害」です。

図にも記載しましたが、僕の理解だと、「社会性の障がい」と「非言語コミュニケーションの障害」といった特性があるがゆえに、結果、「関係性が維持できない」ということになるということです。

それもそのはずですよね。

一方的に話す、人の話は興味ない、しつこい、なんてことがあれば、人は離れていきます。

離れてくれるならまだしも、恨まれたり、怒りを買うと、いじめにあったり、意図的に疎外されたりとか、そういうことにもなるでしょう。

そうやって、二次障害的なことに繋がるのでしょう(´-`)

ASDの障害特性の背景

さて、これで、ASDの障害特性がわかったでしょうか?

ただ、これらは、表面的に観察することができる特性であり、専門家としては、その裏にある障害仮説もおさえておく必要がありますよね( ゚Д゚)

それを簡単にまとめたのが↓↓こちら

詳しくは別記事にまとめていますので、興味のある方はリンクをたどってみてください!(^^)!

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

自閉症スペクトラムの「診断基準A」である「社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害」について理解は深まったでしょうか?

最後に、本記事の内容をふりかえっておわかれです(^^)/

  • 社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害には、3つの要素が含まれている
  • 3つの要素とは、①1.社会的・情緒的な相互関係の障害②他者と交流に用いられる言葉を介さないコミュニケーションの障害③(年齢相応の対人)関係性の発達・維持の障害のことである。
  • 社会的・情緒的な相互関係の障害のポイントは「双方向的なやりとりができないこと」である
  • 他者との交流に用いられる言葉を介さないコミュニケーションの障害のポイントは、「非言語情報の意味がわからない」こと
  • 関係性の発達・維持の障害のポイントは、「①と②の障害の結果、長期的に関係性が築けない」こと

ということなんですね~

それではまた(^^ゞ

参考

  • 発達障害から発達凸凹へ
  • アスペルガー症候群と思われる大学生への支援

臨床心理士資格試験でも「ASD」は出題されています

ということで、臨床心理士試験を受験される方は以下のページも参考にしてみてください!(^^)!

それではまた♪

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