この記事では、自閉症スペクトラム(以下,ASD)について、言われていることをまとめました(^^)
- 自閉症スペクトラム(ASD)ってなに?
- どんな症状があるの?
- 症状はいつごろからではじめるの?
- 症状があれば、ASDなの?
こんな疑問のある方は、ぜひご参考ください(^^)
結論~自閉症スペクトラム(ASD)とは?~
それでは、さっそく結論からいきましょう。
自閉症スペクトラム(ASD)とは、主に以下の2つの特徴を持つ発達障害の1つです。
- 社会的なコミュニケーションの困難 他人とのやりとりや感情の理解が苦手で、共同注意や心の理論が弱い場合があります。
- 行動や興味の限定と繰り返し 特定のことにこだわったり、柔軟に行動を変えるのが苦手で、中枢性統合や実行機能に困難がある場合があります。
順を追ってみてみます。
まず、ASDが発達障害の1つの区分であるという点です。

上記は、DSM-5の分類に基づいています。
「発達障害」ときくと、「ADHD」や「ASD」が真っ先に思い浮かびますが、ASDはその中の1つに過ぎないということがここでのポイントです。
具体的には、どんな障害があるの?
では次に、ASDの具体的な障害特性について整理します( ..)φ
結論としてはすでに述べた通り以下の2つです。
- A.社会的なコミュニケーションの困難
- B.行動や興味の限定と繰り返し
基準A~社会的コミュニケーションの困難~
まずは、「A」からみてみましょう。
A.社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害(以下の 3 点)
- 社会的,情緒的な相互関係の障害
- 他者と交流に用いられる言葉を介さないコミュニケーションの障害
- (年齢相応の対人)関係性の発達・維持の障害
(引用:発達障害から発達凸凹へ),p35(3),表2,【DSM-5 における自閉症スペクトラム障害 診断基準】より)
ここまでをを図に整理すると↓↓こうなります

基準「A」には、3つの要素が含まれていて、ASDはそれら全てを持ち合わせているということになります。
これら3つの要素についてより詳しく知りたい方は、↓↓こちらを参考ください。
基準B~行動や興味の限定と繰り返し~
では、次に基準Bをみてみます。
B.限定された反復する様式の行動,興味,活動(以下の 2 点以上で示される)
- 常同的で反復的な運動動作や物体の使用,あるいは話し方
- 同一性へのこだわり,日常動作への融通のきかない執着,言語・非言語上の儀式的な行動パターン
- 集中度や焦点付けが異常に強く限定,固定された興味
- 感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性,あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心
(引用:発達障害から発達凸凹へ,p35(3),表2,【DSM-5 における自閉症スペクトラム障害 診断基準】より)
これを図にまとめたのが↓↓こちら(=゚ω゚)ノ

「A」では3つの要素があり、「(以下の3点)」という記載の仕方でした。
一方、「B」は、要素が4つあり、括弧書きで、「(以下の2点以上で示される)」というような記載の仕方です。
従って、基準「A」は3つの要素全てを満たしている必要があり、「B」は、4つあるうちの2つ以上を満たしている必要があるということになりそうです。
残りの基準CとDについて
さて、これでASDの症状が、わかりました。
その上で、実は、他にある基準Cとについても触れておきます。
基準Cの内容
まず、Cからです。
C:症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある
(引用:発達障害から発達凸凹へ,p35(3),表2,【DSM-5 における自閉症スペクトラム障害 診断基準】より)
ここで大事なのは、①小さい頃から、基準AやBに合致するような症状がみられたかどうかという点ですね。
例えば・・・
- あやしても笑わない、そもそも目が合わない
- ごっこ遊びなどは興味ない
- 指さし行動などみられない
- 2語文~3語文がなかなかでない
- 友達の輪に入らず、ずっと積み木を並べている
で、もう1つ大事なのが「発達早期」というのがいつごろなのか?
という点ですが、これはおおむね2歳ごろまでにはでるようです。
自閉スペクトラム症の中核的特徴である、「社会的コミュニケーションの障害」と「限定された反復された行動、興味」は、一般に2歳頃までに明らかとなる。
(引用:新・臨床心理士になるために[令和2年版]p90,【問題26】7-9行目)
実際、僕も、療育の現場に携わりましたが、重度自閉症はたしかにすべてに合致しているなという印象です。
素人目でもわかるぐらいに・・・
なので、大人になって「私ASDかも?」という人がいますが、そういう項目に合致しないとなるのはちょっとどうなの・・・って話ですね( ゚Д゚)
まあ、「発達障害=発達の遅れ」と考えるのであれば、当然ながら、成長はしていくのでしょうが・・・
基準Dの内容
続いて、基準「D」です。
D:症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている
(引用:発達障害から発達凸凹へ,p35(3),表2,【DSM-5 における自閉症スペクトラム障害 診断基準】より)
これは、生活する上で「障害」があるのかどうかということです。
つまり、「職業」という点においてすごくシンプルにいうと、「とりあえず働けている」のなら「障害」にはなっていないということですね。
逆説、「自分は、周りとなんか違うんです」とか「いつも人間関係がうまくいかなくて」とかいう一方で、「仕事では特にこまってません」とかってなると

「え?・・・」
ってな話になるわけですね。
とはいえ、本人に自覚がないだけの可能性もありますから、検査をするわけですけど、「発達障害」の認知度が上がってきたがゆえに、本来向き合うべき問題を障害のせいにしたいという発想もなんとなく増えているのかな・・・?
という印象はあります。
近年、発達障害の過剰診断が批判されることが増えたが、それは、重箱の隅をつつくように発達特性、とくにAS特性を見出して、それですべてを説明できたとして、「発達障害だから治療できない」という言い訳にの理由に用いることへの批判であろう。
(引用:大人になった発達障害,p37【Ⅵ.成人例における発達障害の診断】,2段落,1-6行目)
診断を下すのは、医師とはいえ、傾向を調べるのは心理職の方々ですからね~
こういったポイントはおさえておきたいところです(^-^;
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
最後に、本記事の内容をふりかえっておわかれです(^^)/
- 自閉症スペクトラム(以下,ASD)とは、発達障害の1種である。
- ASDは、①人間関係を続けることの困難**、② 限定された繰り返し行動といった2つの特性を有する
- ASD傾向は、概ね2歳ごろまでには明らかになるとされる
- ASD傾向がある=「障害」ということにはならない
- 発達障害の、過剰診断の問題が、近年増えつつある
ということですね~
それではまた(^^ゞ
参考
- 発達障害から発達凸凹へ
- 大人になった発達障害
- 新・臨床心理士になるために[令和2年版]
臨床心理士資格試験でも「ASD」は出題されています
ということで、臨床心理士試験を受験される方は以下のページも参考にしてみてください!(^^)!
それではまた♪
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