誤信念課題(サリーとアンの課題)とは?~自閉症との関連もふまえて~

理論

この記事では、自閉症の症状の背景にある「心の理論の障害」を裏づける根拠の1つとされている「誤信念課題/サリーとアンの課題」についてまとめておきます(^^ゞ

↓↓こんな方はぜひご参考ください。

  • 誤信念課題/サリーとアンの課題ってなに?
  • 具体的な実験の内容が知りたい
  • 大人の場合の誤信念課題ってないの?
  • ASD(自閉症)とはどんな関連があるの?

この記事を読むことで、「心の理論」と「自閉症者の主症状の1つである社会体コミュニケーション障害」とのつながりに対する理解を深めて頂ければ幸いです(^ω^)

ちなみに、「心の理論」がよく分からない方は以下の記事をまずはご覧ください♪

結論~誤信念課題/サリーとアンの課題ってなに?~

結論から言うと、「誤信念課題/サリーとアンの課題」とは、「自閉症者が他者視点を持ちにくい」ということを裏付ける実験の1つだと考えられています。

「有名なサリー・アン課題は,誤信念課題とも呼ばれる.サリーとアンの二人が登場し,まずアンがみている前でサリーがかごにボールを入れ,上に布をかける.サリーが部屋からいなくなったあと,アンはボールをかごから出し,かごの隣にある箱の中に入れて隠す.その後サリーが部屋に戻ってきてボールを探す時,かごと箱のどちらを探すかを,この課題の被検者が問われる.サリーは現在ボールがある位置ではなく,自分が最後にボールを見た場所を探すはずである.これを誤信念(false belief)と呼ぶ」

(引用:成人発達障害のコミュニケーション障害,p90,右列【ASD の発症機序】下から12行目-2行目)

文字面だとわかりづらいと思うので、図にまとめました^^

↓↓

この答えは、無論「まずは、カゴを探すであろう」ですね?

なぜなら、サリーは、アンがビー玉を移し替えたところをみていないからです。

このように、サリーの立場を理解していないと、この問題に正解することはできません。

この課題に対して、自閉症の子供は、適切に答えることができない傾向があるため、「他者視点」という部分が欠如しているのだろうと言われているわけです( ゚Д゚)

 定型発達児は 3~5 歳くらいの間に他者の誤信念に基づいた解答ができるようになることが報告されている.また,自閉症児は定型の約 2 倍の言語年齢に達するまでは誤信念課題に正答することができないことが示されている

(引用:成人発達障害のコミュニケーション障害,p90,右列下から1行目-p91,左列4行目まで)

だから「心の理論の障害」を裏付ける実験だと考えられているのです。

で、ここでの「誤信念」について確認しておくと、

「サリーは、ビー玉が箱に移されたということを知っている」というのが誤信念だと考えられます。

では、以上を踏まえて、次の課題をみていきましょう(^^)

大人向けの、誤信念課題を知ってますか?

ここまでは、参考書にもよく掲載されているような内容で、有名ですね。

では、この誤信念について検証すべくより高度な課題があったことはご存じでしょうか?

心の理論を評価するためのより高度な課題として,Faux pas(社会的失言)について問うものがある.

(引用:成人発達障害のコミュニケーション障害,p91,左列,2段落,1-3行目)

百聞は一見に如かずということで、実際にその課題をあなたにもやってもらいましょう(^^)

それではまず状況描写からです。

  • 登場人物①Aさん。最近中古アパートに引っ越して、新しくカーテンをつけた。
  • 登場人物②Bさん、Aさんが引っ越したときいて、遊びに来た。

そして、Bさんはこう言いました。

はい、この状況を理解したでしょうか?

では、ここで質問です。

以下の3つに答えてみましょう(^^)

じっくり考えてみて下さい。

  • 質問①:「言うべきではなかったこと,気まずいことを言った人はいるか」
  • 質問②:「なぜその人はそう言ったと思うか」
  • 質問③「言われた方はどう思ったか」

では、この解説についての引用を以下に示しておきます。

 この話の場合,多くの定型発達者は,遊びに来た友達が,いまあるカーテンは前の持ち主が残していったものと勘違いしている(誤信念)ということ,そして,その友達がカーテンをよく思っていないことを伝えてしまったため,意図せずに相手を不快にさせ気まずい状況になったということを読み取ることができる.

(引用:成人発達障害のコミュニケーション障害,p91,左列,下から2行目-右列5行目)

ということなんです・・・(笑)

どうやら定型発達だと、この読み取りが適切にできる一方、成人ASDの場合、理解できない傾向のだそうです。

みなさんは、すんなりわかったでしょうか?

正直、僕は、いまいちピンと理解できませんでした(笑)

(´-`).。oO(え、僕、アスペなん)

おそらく、この課題は、ちょっと時間をかけて考える必要があるかと思います。

というのも、僕は、論文を流し読みしてる感じで、目を通したこともあり、あんまりじっくりは考えてませんでした。

なので、「じっくり考えてみて下さい」と前置きしたのです(笑)

改めて考えてみるとBさんは、「新しいのを買えるといいね」という発言をしています。

つまり、ここに「誤信念」があるわけです。

状況描写のAさんの情報として、「新しくカーテンをつけた」という情報があります。

なので、Aさんの立場からすれば、「え?このカーテン新しいんだけどな?」となります。

ここまでいくと、Bさんが「何か勘違いをしている(誤解)」という発想にたどりつけるわけですね。

先ほどの3つの質問でいうと、「質問②=誤信念課題」ということです。

答えられた質問・・・〇、答えられなかった質問・・・×

「Zalla らの検討では,成人アスペルガー症候群の被検者は,この課題のなかで,言うべきではないことが言われたということについては指摘できていた.しかし,誤信念については理解できておらず,意図せずにそのような発言が行われたということが理解できない傾向があった」

(引用:成人発達障害のコミュニケーション障害,p91,右列,5行目-11行目)

以上を踏まえると、「誤信念課題」というもの理解がやや具体的になります。

誤信念課題とは、「状況の読み取りにおいてASD者の勘違いを明らかにした実験」だと考えられます。

ASDの症状と誤信念のつながり

「誤信念=勘違い」という簡易的な理解を踏まえると、ASDの症状の1つである「社会的コミュニケーションの障害」との関連も解像度があがります(^ω^)

つまり、「なんか勘違いして発言したり、振る舞ったりするから人間関係うまくいかない」ということでしょう。

さっきのカーテンの例でいうと、シンプルに失礼ですし(笑)

また、この「勘違い」には、「共同注意」も絡んでくる問題のように思いますが、その話が気になる方は、ぜひ以下の記事をご参考ください。

↓↓

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

誤信念課題(サリーとアンの課題)についての理解は深まったでしょうか?

最後に、この記事の内容をまとめておわかわれです(^ω^)

  • 誤信念課題/サリーとアンの課題とは、「自閉症者が他者視点を持ちにくい」ということを裏付ける実験の1つ
  • ASD者は、定型発達に比べサリーの誤信念に気づきにくい
  • より高度な誤信念課題の1つに「社会的失言」について問うものがある
  • ASD者は、社会的失言の有無には気づくが、その意図には気づきにくい
  • わかりやすく言えば、「誤信念」とは「勘違い」のことであり、誤信念課題は「状況の読み取りにおける、ASD者の勘違い傾向を明らかにした実験」だと考えられる

ということなんですね~

それではまた(^^ゞ

参考

  • 成人発達障害のコミュニケーション障害

臨床心理士資格試験でも「誤信念課題」は出題されています

ということで、臨床心理士試験を受験される方は以下のページも参考にしてみてください!(^^)!

それではまた♪

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