こちらの記事は、臨床心理士資格試験対策としてまとめた記事です。
「少年が逆送になる場合とならない場合の違いがよくわからない」
という方はご覧ください(^ω^)
結論~基準は2つ~
結論からいうと、原則以下の2点を満たすと逆送になるようです。
- 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件であること
- 少年が犯行時16歳以上であること
「逆送は,家庭裁判所が,保護処分ではなく,懲役,罰金などの刑罰を科すべきと判断した場合に,事件を検察官に送るものです。逆送された事件は,検察官によって刑事裁判所に起訴され,刑事裁判で有罪となれば刑罰が科されます。 原則逆送対象事件とは,家庭裁判所が原則として逆送しなければならないとされている事件で,現行の少年法では,○ 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人罪,傷害致死罪など)の事件がこれに当たります」
(引用:法務省ホームページ)
そもそも、逆送ってなに?
では、結論を示したところで、「逆送」というものについて触れておきます。
これは、「少年の罪が重い場合に、家庭裁判所が少年を検察庁にあずける」ことだと考えられます。
以下の図は、法務省と警察庁の少年事件の取り扱いについての全体像を照らし合わせたものですが、赤枠で囲った部分が本記事で扱っている内容です。
ちなみに、逆送という措置は、家庭裁判所が下す判断の中の1つです。
↓↓こちらは、上図の少年が家庭裁判所に送られたあとフローチャートです。
「逆送」を赤字で示しています( ゚Д゚)
フローチャートで示した全体像を詳しく知りたい方は↓↓こちらをご参考ください。
具体例
逆送の基準と、逆送がどんなものか分かったところで具体的にイメージできるように、以下の架空事例について考えてみましょう(^^ゞ
ということで問題です↓↓
「Bさん(17歳)は、学校で教員とうまくいかず、通りすがりに肩ががぶつかった見知らぬ男性を路地に連れ込み暴行し死に至らしめてしまった」
このようなケースでは、Bさんは、どうなるでしょうか?
先ほどの基準に沿って考えてみます。
- 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件であること
- 少年が犯行時16歳以上であること
まず、これが「故意」だったかどうかというのが注目点になりますが、「路地につれこみ」ということですから、少なくとも「暴行=故意」ということになる可能性が高いと考えられます。
次に、Bさんは、事件当時17歳ですから、「少年が犯行時16歳以上であること」という点にも当てはまります。
以上の理由から、「Bさんは原則逆送になる」可能性が高いと考えられます。
ちなみに、臨床心理士試験でも同じような問題が出題されていますので、要チェックですね( ゚Д゚)
↓↓
特定少年の場合の逆送について
最後に、特定少年(18歳・19歳の少年)について、触れておきます。
なぜなら、特定少年の場合は、原則逆送になる範囲が広いからです。
「今回の改正により,特定少年については,原則逆送対象事件に,これまでの○ 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件に加えて,○ 18歳以上の少年のとき犯した死刑,無期又は短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件が追加されることとなりました」
(引用:少年法改正Q&Aより)
以上を踏まえて、年齢ごとの逆送の範疇を表にすると以下のようになると考えられます。
「14歳以上16歳未満の少年」と「16歳以上18歳未満の少年」の違いは、事件の「重大性」というところがポイントとなっています。
ただし、14歳以上16歳未満に原則逆送が適用されるのはまれなようです。
で、話を逆送に戻すと、そもそもなぜ「特定少年」という区分が生まれたのかというと、成人年齢が18歳に下がったことによるもののようですが、改正前と改正後の違いをベン図にすると以下のようになります。
あくまでイメージなので、「特定少年の場合、逆送になる範囲が広がったんだ」という理解をしておくことが大事ではないでしょうか。
逆送が適用される犯罪の種類
で、じゃあその具体的な中身は?
というところですが、これまでは「わざと人を死なせてしまった場合」に限定していたのが、以下のような犯罪が含まれるようになったということです。
「例えば,現住建造物等放火罪,強制性交等罪,強盗罪,組織的詐欺罪などが新たに対象 となります」
(引用:少年法改正Q&Aより)
先ほどのBさんの事案から、逆送について考えてみる
では、以上を踏まえて、先ほどのBさんの例を検証してみます(´ω`*)
↓↓これ
「Bさん(17歳)は、学校で教員とうまくいかず、通りすがりに肩ががぶつかった見知らぬ男性を路地に連れ込み暴行し死に至らしめてしまった」
で、この事案が、例えば↓↓こんな風になったらどうでしょうか?
「Bさん(17歳)は、学校で教員とうまくいかず、通りすがりに肩ががぶつかった見知らぬ男性を路地に連れ込み金品を奪い取った」
これは、逆送ではないと考えられます。
なぜなら、相手を死に至らしめるようなことはしていないからです。
では、↓↓こうなったらどうでしょうか?
「Bさん(18歳)は、学校で教員とうまくいかず、通りすがりに肩ががぶつかった見知らぬ男性を路地に連れ込み金品を奪い取った」
これは逆送となる可能性があります。
なぜなら、「Bさん=特定少年」だと考えられるからです。
ということで、臨床心理士試験において少年法の事例を読むときは「年齢と犯罪の種類」を追っていくことだ大事だということですね~(/・ω・)/
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
最後に本記事の内容をまとめておわかれです(^ω^)
- 16歳以上18歳未満の少年が逆送になる場合の基準は主に2つ
- 1つめは、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件であること
- 2つめは、少年が犯行時16歳以上であること
- 特定少年の場合は、逆送の適用範囲が拡大している。
- 具体的には、現住建造物等放火罪,強制性交等罪,強盗罪,組織的詐欺罪などが新たに対象となっている。 ということです。 それではまた(^^ゞ
参考にさいた情報源
本記事を作成する際には、以下の情報源を参考にさせて頂きました。
ありがとうございました<m(__)m>
- 法務省:少年法改正 Q&A
- 法務省:非行少年に対する処遇の流れ
- 警察庁:少年事件の取り扱いの流れ
- 少年法改正Q&A PDF
- 『司法研修所編・改正少年法の運用に関する研究』の批判的検討
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