この記事は、心理系大学院生を対象とした統計法の学習ページです。
- パス解析でモデル間比較をするとき、GFIって使えないの?
- 飽和モデルってなに?
- GFIがモデル間比較に向かない理由と何の関係があるの?
こんな悩みや疑問がある方はご参考ください( ˘ω˘)
GFIはモデル間比較の指標になりえない
過去記事から、パス解析においてモデル間比較をする上で、GFIがその指標になりえないことがわかりました。
そして、なぜ指標になりえないのかといえば、GFIがパラメータ数を考慮しないからです。
では、パラメータを考慮しないとどうなるのでしょうか?
答えは、誤ったモデルを採択することになる、ということです。
今回はその具体例として、飽和モデルと独立モデルのうち、飽和モデルを取り上げます。
飽和モデルとは
飽和モデルとは、どのようなモデルなのでしょうか。
結論から言うと⇩このようなモデルは、飽和モデルの1つです。

「飽和モデルは、5つの変数すべてを双方向の矢印で結び、お互いに相関関係があることだけを表す。このモデルに単方向のパスはなく、変数に、独立変数、従属変数という役割分担はないので、誤差もない」
(引用:多変量データ解析法, p69【7.5.飽和モデルと独立モデル】4行目 – p70,1行目)
このモデルの特徴は、「お互いに相関関係があることだけを表す」ということです。
そのため、変数の数が3つであっても、以下のように双方向の矢印だけで結ばれていれば、こちらも飽和モデルとなります。

単方向のパスはなく、変数の役割分担もありません。
このような飽和モデルの共分散構造は以下のようになります。
先ほどの3変数モデルの共分散構造を表にすると、以下のようになります。

「理論式といっても、該当箇所に1つのパラメータが記されるだけで、同じ記号は別の箇所には現れない。これと標本共分散の相違を最小にする解は、例えば:c=θ、c10=443.12というように、表7.1(A)の標本共分散そのものとなる」
(引用:多変量データ解析法,p70,3-5行目)
↑この引用だけみるとよくわかりませんが
ここでのポイントは、
- 理論値=実測値
になるということです。
この完全一致という点が論点です
すると、GFIはどうなるでしょうか?
「従って、データに基づく共分散と解に基づく共分散は完全に合致して、GFIは上限1となる」
(引用:多変量データ解析法,p70,5-6行目)
これが、モデル間比較をする際に、GFIを基準にすることがよくない理由です。
GFIがモデル間比較の指標にならない理由
GFIはモデルごとの適合度、つまり「どれだけ理論値と実際のデータが一致しているか」をみる指標でした。
この点については詳しくは、以下記事をご覧ください。

そのため、GFIが1ということは、適合度MAX(最大)ということになります。
しかし、先ほどのモデルは相関関係を示すだけで、従属変数も独立変数もありません。
つまり、「因果関係などない」ということです。
因果関係を調べたくてパス解析をやっているのに、GFIが最も高いからといって、因果関係のないモデルを選んでしまうことになります。
だから、GFIは、モデル間比較の指標にはならないのです。
「飽和モデル、共分散の数=パラメータの数、つまり、自由度=0(7.7)となる。一般に、考えうるモデルの中で、(7.7)がパラメータ数の上限である。すなわち、共分散の数より多いパラメータを持つモデルを考えても、計算ができないことが知られている」
(引用:多変量データ解析法,p70,11-15行目)
注意点:飽和モデル=因果関係のないモデルではない
ただし、ここでの注意点として、
「飽和モデル=因果関係のないモデル」
という理解をしてはいけません。
「自由度は「0」になりました。もうこれ以上矢印を引くことはできません。このような、自由度が0のモデルを『飽和モデル』と言います」
(引用:共分散構造分析はじめの一歩,p98,15-18行目)
つまり、自由度=0で、これ以上矢印が引けないモデルのことを「飽和モデル」と呼ぶわけです。
ということは、今までパス解析シリーズで扱ってきたモデルは飽和モデルになるのです!
今まで扱ってきたモデルというのは⇩こちらですね。

なぜなら、「自由度が0」だからです。
自由度が0というのは、言い換えれば「パラメータを最大にした状態」ということです。
このカウントの理解について詳しく知りたい方は、以下より解説してます。

飽和モデルとしての重回帰モデル
以上を踏まえ、以下のモデルをみると、これも飽和モデルであるとわかります。

「ここで、記号で表したパラメータ(b1,…,b4,v1…,v5, c1,…(6))は計15個になり、共分散の(表7.1(A))と一致して、(7.7)事項を満たす。図7.4は、同じく飽和モデルである図7.3(A)とはずいぶん異なるが、モデル(7.9)式から導かれる共分散構造にパラメータの解を代入したものと、データに基づく共分散が完全に合致し、適合度は表7.2、表7.3の飽和モデルの欄に示されるとおりになる」
(引用:多変量データ解析法, p112,【7.7 飽和モデルとしての重回帰モデル】, 10-17行目)
つまり、繰り返しになりますが実測値と理論値が完全一致することを理解しておきましょう。
そのため、「飽和モデル=因果関係については何も語らないモデル」ということでしたが、この重回帰モデルのような場合は、そうではないということになります。
「最大限のパラメータを使って、説明変数から1つの従属変数を予測・説明しようとする因果モデルに位置付けられる」
(引用:多変量データ解析法,p73,1-2行目)
独立モデルとは?
そして、「自由度=0」つまりパラメータが最大になる飽和モデルに対して、「自由度=最大」つまりパラメータが最小になるモデルに独立モデルがあります。
このモデルについては、別記事にてまとめましたで、よろしければご参考ください。

まとめ
いかがでしたでしょうか?
飽和モデルについて少しは理解が深まったでしょうか?
最後に本記事の内容を振り返っておわかれです(^^)/
- 飽和モデルとは、自由度が0になり、それ以上矢印を引けなくなったモデルのこと
- 飽和モデルでは理論値と実測値が完全に一致するため、GFIは必ず上限の1になる
- GFIはパラメータ数を考慮しないため、モデル間比較の指標には使えない
- 「飽和モデル=因果関係のないモデル」ではなく、重回帰モデルのように因果関係を表す飽和モデルも存在する
ということなんですね~
それではまた(^^ゞ
参考
こちらの記事を作成にする上での参考文献です(^ω^)
①多変量データ解析法
②共分散構造分析はじめの一歩


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