この記事は、心理系大学院生や心理統計を学んでいる方を対象とした統計法の学習ページです。
- 重回帰分析って、結果が出た後どう使えばいいの?
- 何の役に立つの?
こんな悩みや疑問がある方はご参考ください( ˘ω˘)
振り返り
重回帰分析ってどんな分析?で以下のことを学びました。
- 重回帰式は、y = ax + by + c で示される
- 複数の独立変数から従属変数を予測できる
その上で、心理学研究において「重回帰分析はどのように役立つの?」という点についてかんがえてみたいと思います。
結論~重回帰分析はどのように使うの?役立つのか?~
この答えは2つです。
- 予測すること
- コントロールすること
では、これを1つずつみていきます。
重回帰分析の役立て方①~予測~
では、この予測について
例えば、「精神的健康には、自己肯定感と対人スキルが影響しているのではないか?」
と考えて、その仮説を検証するために重回帰分析を行うとします。
変数設定は👇👇この通りです。
- 従属変数 → 精神的健康
- 独立変数① → 自己肯定感
- 独立変数② → 対人スキル
そして、分析の結果、次の式が得られたとしましょう。
精神的健康 = 0.45 × 対人スキル + 0.31 × 自己肯定感 + 9.21
しかし、これが求められたから何なのか?
という点がこの記事の本題なわけです。
例えば、リワーク施設に通う利用者を対象に、自己肯定感と対人スキルを測定するアンケートを実施したところ、次のような結果が得られたとします。

そして、その中の1人(Aさん)は、
- 自己肯定感 → (中)
- 対人スキル → (低)
- 精神的健康 → (中)
という結果でした。
しかしながら、先ほどの重回帰式に当てはめると、この人は精神的健康が(低)の範囲に入ることがわかったとします。
つまり、
- 理論値→精神的健康が不良
- 実際→精神的健康は悪くない(普通)
このように、予測と現実でズレが生じているということです。
では、なぜAさん今は問題ないのか?
と考えると、この人は年齢的に若いため、もしかしたら、成長発達とともに、自己肯定感が下がり、精神健康に影響が出るのかもしれないと考えることができます。
というのも、先ほどの重回帰式を見ると、精神的健康に与える影響は、自己肯定感(0.31)よりも、対人スキル(0.45)の方が大きいことがわかるからです。
※標準回帰係数であることを想定しています
それは、年齢だけ異なるBさんと比べてもその様に考えられます。
なぜなら、Bさんの自己肯定感と対人スキルはAさん同様に(中)であり、異なるのは、精神的健康と年齢だけだからです。
これがつまり、「予測」として役立てるということです。
重回帰分析の役立て方②~制御(コントロール)~
次に「制御」があります。
先ほどの仮説に基づくとすると、「Aさんは先々、精神的健康が低くなる」といった可能性が考えられます。
逆に言えば、これで対策を立てることができるとも言えます。
例えば、重回帰式から、Aさんの対人スキルを3や4にすると、精神的健康も(中)の範囲に入るため、対人スキルに焦点を当てた支援をすることによって悪化を防げるかもしれません。
このように、重回帰分析の結果を使って、「どの変数にアプローチすれば効果的か」を判断し、実際の支援や介入に活かすことができるのです。
なぜなら、「独立変数=研究者がコントロールできる変数」だからです。
当然ながら、現実世界においてもこの独立変数はコントロールできなければ、絵に描いた餅でしかありません(笑)
以上が、重回帰分析を行う目的、そして意味であり、具体的な使い方、役立て方でもあります。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
重回帰分析の役立て方について、少しは理解が深まったでしょうか?
最後に本記事の内容を振り返っておわかれです(^^)/
- 重回帰分析の結果は、「予測」と「制御」に役立てられる
- 予測とは、回帰式を使って将来のリスクや変化を見通すこと
- 制御とは、どの変数にアプローチすれば効果的かを判断し、支援に活かすこと
ということなんですね~
それではまた(^^ゞ
参考
こちらの記事を作成にする上での参考文献です(^ω^)
①多変量解析がわかる
②多変量データ解析法
③例題とExcel演習で学ぶ多変量解析
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