こちらの記事では、少年事件における「家庭裁判所への送致後の流れ」についてまとめてます。
「犯罪少年と触法少年の処遇の流れの違い」の続きです。
「ネット上にころがっている情報がいまいち理解できない」
という方はご覧ください(^ω^)
※こちらの記事は臨床心理士資格試験対策の一環としてまとめています。
前提の確認
詳細の前に前提の確認です。
僕自身、少年法についての理解を深めようとしたときに、いくつか参考書をみたのですが、情報が錯綜しすぎていて、とても理解に苦しんでいることがありました。
たとえば、この記事の内容は、基本的に、以下の図解を整理したものですが、どっちをみてもマジで意味不明じゃありませんか?
法務省:非行少年に対する処遇の流れ
警察庁:少年事件の取り扱いの流れ
なぜこんなことになるのをか考えたときに
「情報量が多すぎる」という問題が1つあるのではないでしょうか?
ですので、この記事では、↓↓こちらの画像の赤く囲った部分に限定して理解を深めていこうと思います。
結論~家庭裁判所へ送致後の流れ~
結論としては、次のようなプロセスを基本的には踏むようです。。
①観護措置(調査のための対応)
- 鑑別所へ送られる
- 自宅で待機
②調査
③処分
④-1 保護処分
- 保護観察
- 児童自立支援施設等へ送られる
- 少年院へ送られる
④-2その他
- 検察官へ送られる
- 審判不開始
- 不処分
以上をまとめたフローチャートが↓↓こちらです(^ω^)
臨床心理士試験では、赤字部分をおさえておくとよいと思われます。
それでは、順を追ってみていきましょう(^ω^)
観護措置とは
観護措置は、「家庭裁判所が少年を、調査や審判の間、鑑別所にあずけておくこと」だと考えられます。
「観護措置とは,家庭裁判所に送致された少年について,調査及び審判を行なうために,少年の心情の安定を図りながら心身の鑑別を行なうための措置である。」
(引用:連載第9回 付添人プラクティス報告~少年事件の現場から~,p26右列【①観護措置】1-4行目)
つまり、少年をどのように扱ったらいいか考えるのに時間が必要だから、その間は鑑別所で面倒みてねってことですね。
ちなみに、観護措置には、「収容観護」と「在宅観護」の2種類があるようですが、実質「観護措置=鑑別所へ送致」と思っていおいてよさそうです。
その根拠は以下の通りです。
「観護措置には、在宅の状態で家庭裁判所調査官の監護に付する措置(少年法17条1項1号)と身体拘束を伴う少年鑑別所(少年の資質の科学的な調査・診断を行うことを目的とした専門施設)送致(少年法17条1項2号)の2種類がありますが、在宅での調査官観護は殆ど行われていないため、一般的には観護措置というときは鑑別所送致を指します」
(引用:新銀座法律事務所ホームページより)
じゃあ、「鑑別」ってどういうことなのでしょうか?
鑑別
「鑑別」とは、以下の3点を目的とした専門家による調査だと考えられます。
- なぜその少年が悪いことをしたのかを知るため。
- その少年の特徴や問題点を理解するため。
- どのように助ければいいかを決めるため。
「鑑別は、医学、心理学、教育学、社会学などの専門的知識及び技術に基づき、対象者の非行又は犯罪に影響を及ぼした資質上及び環境上問題となる事情を明らかにした上で、その事情の改善に寄与するため、処遇に資する指針を示すことを目的として実施します。」
(引用:少年鑑別所のしおり,p2,【●鑑別】1-5行目より)
鑑別所の収容期間
では、この少年鑑別所に少年はどのぐらいの期間、滞在する必要があるのでしょうか?
その答えとしては、通常4週間、最長で8週間とされているようです。
「家庭裁判所は事件を受理したとき、少年を少年鑑別所に収容することがあります。これを観護措置といいます(少年鑑別所は、科学的な検査・鑑別の設備がある国の施設で、少年の処分を適切に決めるために、医学、心理学等の専門知識に基づいた検査等を行います。)。少年が収容される期間は、通常は4週間ですが、一定の事件で証拠調べが必要な場合は最長8週間まで延長されることがあります」
(引用:家庭裁判所 少年審判について)
なぜ、この期間を取り上げたのかというと、この問題は、臨床心理士資格試験でも問われているからです。
この記事を読み終わったらぜひ挑戦してみてください(^ω^)
↓↓
調査と審判のあとの流れ
観護措置の目的は、鑑別です。
つまり、鑑別所に少年が滞在している間に「調査」→「審判」とプロセスが進んでいきます。
では、審判を終えた少年はどのような道をたどるのでしょうか?
大きくは、「保護処分」か「その他の処分」がなされます。
保護処分の流れ
では、保護処分の流れを追ってみます。
保護処分でたどる道は、以下の3つです。
- 保護観察
- 児童自立支援施設・児童養護施設への送致
- 少年院への送致
この3つもおさえておきましょう。
なぜなら、ここも臨床心理士資格試験で出題されているからです。
「保護処分は保護観察,児童自立支援施設・児童養護施設送致,少年院送致の3種類から成る」
(引用:非行少年に対する法的対蕗システムについての日中比較)
この記事を読み終わったらぜひ挑戦してください(^ω^)
↓↓
その他の処分
続いて、保護処分ではない場合(その他)の流れを追ってみます。
その他の対応としてたどる道は、以下の3つです。
- 審判不開始
- 不処分の決定
- 検察官への逆送
審判不開始と不処分とは
審判不開始と不処分は以下の通りです
「審判等における様々な教育的働きかけにより少年に再非行のおそれがないと認められた場合には、少年に処分をしないこととしたり(不処分)、軽微な事件であって調査等における教育的な働きかけだけで十分な場合には、審判を開始せずに調査のみを行って事件を終わらせたりすること(審判不開始)もあります」
(引用:裁判所ホームページより)
上記の説明を踏まえると、そもそも審判不開始は、審判を開始してすらいないということになります。
そのため、これまで示してきたフローチャートは正確には↓↓こうなるわけですね。
検察官送致(逆送)
検察官送致(逆送)もみていきましょう。
「家庭裁判所は,犯罪少年のうち,死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,調査又は審判の結果,その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは,検察官送致決定をします」
(引用:検察庁ホームページ【少年事件について】7-9行目より)
つまり、「犯罪性が重い場合は、検察官に対応を任せる」ということだと考えられます。
↓↓こんなグラデーションですね
ちなみに「検察官送致(逆送)」になるかどうかも臨床心理士資格試験では問われていますので要チェックです。
「逆送は,家庭裁判所が,保護処分ではなく,懲役,罰金などの刑罰を科すべきと判断した場合に,事件を検察官に送るものです。逆送された事件は,検察官によって刑事裁判所に起訴され,刑事裁判で有罪となれば刑罰が科されます。 原則逆送対象事件とは,家庭裁判所が原則として逆送しなければならないとされている事件で,現行の少年法では,○ 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人罪,傷害致死罪など)の事件がこれに当たります」
(引用:法務省ホームページ)
大事なのは、罪が重いと年齢によっては、検察官送致(逆送)になる場合があるということですね。
この記事を読み終わったらぜひ挑戦してください(^ω^)
↓↓
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
最後に本記事の内容をまとめておわかれです(^ω^)
- 家庭裁判所に送致された少年は、①観護措置②調査③審判④保護処分orその他処分のプロセスをたどる
- 観護措置とは、調査などの目的で一時的に鑑別所で少年をあずかっておくこと。
- 保護処分は保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設への送致、少年院への送致の3種類。
- その他処分では、審判不開始、不処分、検察官送致の3種類。
ということです。
それではまた(=゚ω゚)ノ
参考文献
こちらの記事を作成するにあたっては、以下の情報を文献を参考にさせて頂きました。
ありがとうございました。
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