【基準B】自閉症スペクトラム(ASD)~繰り返し行動について~

DSM-5

この記事は、自閉症スペクトラム(以下,ASD)の特性である「**行動や興味の限定と繰り返し」**について言われていることをまとめてます(^ω^)

  • 興味の限局、常同的・反復的行動ってなに?
  • 常同行動ってなに?
  • 同一性保持?は?
  • 限定された興味?なにそれ?
  • 3つの違いは?

こんな疑問のある方はぜひご覧ください(^^ゞ

前提~ASD特性全体における位置づけ~

まず、前提ですが、こちらはDSM-5における、自閉症スペクトラムの診断基準の1つである、「興味の限局、常同的・反復的行動」に焦点を当てた内容になっています。

↓↓こちらの赤枠の部分の話がメインです(^ω^)

ちなみに、ASD特性の全体像は↓↓こちらをご参考ください

結論~興味の限局と常同的・反復的行動とは?~

では、全体像が分かったところで結論です。

わかりやすく言えば、診断基準Bは「何かしらを繰り返してしまう」障害ということです。

以上を踏まえて、詳細をみていきます(^ω^)

「興味の限局と常同的・反復的行動」には、4つの要素が含まれています。

↓↓

B.限定された反復する様式の行動,興味,活動(以下の 2 点以上で示される)     

  1. 常同的で反復的な運動動作や物体の使用,あるいは話し方               
  2. 同一性へのこだわり,日常動作への融通のきかない執着,言語・非言語上の儀式的な行動パターン                             
  3. 集中度や焦点付けが異常に強く限定,固定された興味            
  4. 感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性,あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心

(引用:発達障害から発達凸凹へ,p35(3),表2,【DSM-5 における自閉症スペクトラム障害 診断基準】より)

ただし、④の項目(感覚過敏・鈍麻)だけは、①~③とは性質を異にすると考えられます。

「(B)行動,興味,または活動の限定された反復的な様式」には,4 つの下位分類がある。それらは,①常同性(常同行動やエコラリア,独特な言い回しなど),②同一性への固執,③興味の限定,④独特な感覚である。Kannerが指摘したところの「強迫性」と「常同性」は,DSM-5では,(B)-①②③に該当すると考えられ,同一性を保持する行動は,自閉症スペクトラム障害に共通してみられる特性であると言える。

(引用:自閉症スペクトラム障害における反復的行動の研究動向と課題―支援者の反復的行動への理解に焦点化する意義―,p33,2段落,4行目~10行目)

そのため、「感覚の特異性」のみ↓↓別記事に残しておきます(^^ゞ

そこで、個々から先は以下の3つを分解してみていきたいと思います(^ω^)

常同的で反復的な運動動作や物体の使用,あるいは話し方 

まずは、常同的で反復的な運動動作や物体の使用,あるいは話し方についてですが。

これは、感覚的・本能的・直感的に繰り返してしまう動作や行動のことだと考えられます。

より詳しく知りたい方は↓↓こちらをご覧ください(^^ゞ

同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式

次、同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式についてです。

これは、主に「変化への拒否からくる、繰り返し行動」だと考えられます。

より詳しく知りたい方は↓↓こちらをご覧ください(^^ゞ

集中度や焦点付けが異常に強く限定,固定された興味

続いて、集中度や焦点付けが異常に強く限定,固定された興味についてです。

これは、「特定の物やテーマを追及する行動」だと考えられます。

より詳しく知りたい方は↓↓こちらをご覧ください(^^ゞ

3つのくり返し行動の違い

最後に、これら「3つのくり返し行動の違い」をまとめておきます。

僕の理解をイメージとして伝えておくと以下のようになります。

  • 常同行動→ついやっちゃう(クセ)
  • 同一性保持→やらなきゃ(義務)
  • 興味の限局→やりたい(自主的)

で、これをもう少し学術的にまとめた表が以下です。

少しだけ、説明を加えると、「常同行動」と「同一性保持および興味の限局」は、発達レベルや知的水準によって、区別される見解が一般的なようです。

反復的行動はステレオタイプ的行動,儀式的行動,強迫的行動,物への固執,そして繰り返しのある言語使用など,単調な身体的動作から強い興味や没頭など認知的な要因が媒介するものまで広範囲の行動を含めた一連の行動群として捉えられている。Turner(1999)によると,反復的行動は,低次の行動(“lower-level”behaviors)と高次の行動(“Higher-level”behaviors)に分類され,前者はステレオタイプ的行動や繰り返しのある物の操作などを含み発達レベルの低さと関連する一方で,後者は物への異常な愛着,強い同一性の保持,限局的興味などを含み高い認知能力を示す自閉症児者にみられることが指摘されている。

(引用:自閉症スペクトラム障害児の反復的行動の変容プロセスの検討,p49,2段落,1-7行目)

そして、同一性保持行動には、対人コミュニケーション行動の障害の程度が関連しているようです。

ASD児・者のこだわり行動のうち、反復的感覚的運動行動は、知的水準に関連し、興味の限局は、知的水準に無関係であり、同一性保持行動の程度には対人コミュニケーション行動の障害の程度が介在していると考えられている。

(引用:機能的観点からみた自閉スペクトラム症のこだわり行動の支援に関する研究動向,p30,左列,16-20行目)

これは納得ですよね。

おそらく「同一性保持行動」は「周りに合わせられない」という問題と大きく関係しているからです。

「周りに合わせられないから、こだわりが強くなる」「こだわりが強いから、周りに合わせられない」これらは相互的に関連しあった現象のように思います(´-`)

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

3つのくり返し行動と、その違いについての理解は深まったでしょうか(/・ω・)/

最後に、本記事の内容をふりかえっておわかれです♪

  • ASD診断基準Bは「何かしらを繰り返してしまう」障害のこと
  • くり返し行動には①常同行動、②同一性保持、③興味の限局がある
  • 常同行動=ついやっちゃう、同一性保持=やらなきゃ、興味の限局=やりたい行動
  • 常同行動は低次な行動、同一性保持・興味の限局高次な行動として分類される
  • 同一性保持は、対人コミュニケーションの障害と関連がある

ということなんですね~

それではまた(^^ゞ

参考

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