この記事では、自閉症スペクトラム(以下,ASD)の特性である「同一性への固執」についてまとめてます(^ω^)
- 「同一性への固執(こだわり)」ってつまりなに?
- 具体的例は?
↑↑こんな疑問がある方は、ぜひご参考ください(^^)
結論
では、結論からいきましょう。
同一性の保持または固執とは、主に「変化への拒否からくる、繰り返し行動」だと考えられます。
ASD の診断基準である反復的な行動の中には、同一性へのこだわり、限定された固定的関心があり、これらは変化へ抵抗によるものと説明されている。
(引用:自閉スペクトラム症における反復の知覚ー反復単語変形効果を用いた検討 ー,p463,左列,4-7行目)
1つ前の記事で、「繰り返し行動」の1つとして「常同行動」についてまとめましたが、
常同行動は「楽しみの追求」であるのに対し、同一性の保持は「不快や不安からの回避」という点で違いがあるのだと考えられます。
さらに診断基準Bの4項目の一つに「同一性へのこだわり、日常動作への融通のきかない執着、言語・非言語上の儀式的な行動様式」が記載されている。ASD児者では同じおもちゃや遊び方、テレビ番組や歌に何時間も没頭し、衣服や日用品、習慣づいた日課のスケジュール、物の配置などについても変化することを嫌うことが多いとされ、歯科臨床のなかにおいても同一性の保持、いわゆる「こだわり」を考慮し、当科では基本的に担当医制をとっている。さらに歯科チェアーなどの変更について拒否を示すASD患者も認めることがあるため、基本的に治療を行う歯科チェアーは同一にしている。
(引用:自閉スペクトラム症の歯科受診における担当医変更および診療室変更による影響調査ー保護者へのアンケート分析ー,p289,左列,下から4行目-右列8行目)
常同行動について詳しく知りたいかたは↓↓別記事を参考にしてください
前提~同一性保持(こだわり)のASD特性における位置づけ~
そもそも、ASDには大きく2つの特徴があります。
1つは、「社会性の困難」、もう1つが「繰り返される行動」です。
そして、「同一性の保持」は、「繰り返される行動」の中の1つです。

さて、全体的な位置づけはご理解いただけたでしょうか?
基準Bについての全体像について詳しく知りたい方は↓↓こちら
では、以上を踏まえて、「同一性保持」の具体例をみていくことにしましょう(/・ω・)/
同一性保持の具体例
同一性の保持の例としては以下のようなものがあげられます。

同一性の保持(日課やスケジュールの変更を嫌がったり、持ち物の配置や家の様子が変わったりするといった環境の細かい変化に抵抗を示すこと)
(引用:機能的観点からみた自閉スペクトラム症のこだわり行動の支援に関する研究動向)
別の論文からもどうぞ
この中で,「同一性保持」に該当する行動は,“物を一列に並べる”,“自動車の車輪の回転をみて遊ぶ”,“特定の色に固執する”,“通園コースが決まっている”,“汚れるのをいやがる”,“特定の遊びに固執する”といった行動で構成されていた。すなわち,石倉ら(2008)が分類したところの「こだわり行動」(常同行動を含まない)に該当する行動であった。
(引用:自閉症スペクトラム障害における反復的行動の研究動向と課題―支援者の反復的行動への理解に焦点化する意義―p36,【Ⅳ.反復的行動と諸機能との関係】,2段落,5-9行目)
これらの具体例からも、「嫌う」「いやがる」という点が、同一性保持(こだわり)行動を理解するうえでのポイントのようです(^^)/
では、なぜ嫌がるのか?
と考えると、「わからないから」「対処できない恐れがあるから」などのようなことが考えられます。
あるいは、過敏性などが背後に隠れている場合もあるので、忘れないようにしたいところですね( ゚Д゚)
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
最後に、本記事の内容をおさらいしておわかれです(^^)/
- 同一性の保持または固執とは、主に「変化への拒否からくる、繰り返し行動」だと考えられます。
- 同一性の保持の例としては、「物の配置にこだわる」「道順にこだわる」「予定にこだわる」などがある。
ということなんですね~
それではまた(^^ゞ
参考
- 自閉スペクトラム症における反復の知覚ー反復単語変形効果を用いた検討ー
- 自閉症スペクトラム障害における反復的行動の研究動向と課題―支援者の反復的行動への理解に焦点化する意義―
- 機能的観点からみた自閉スペクトラム症のこだわり行動の支援に関する研究動向
- 自閉スペクトラム症における強迫関連現象の一考察―“見る”ことによる心的体験に着目して
- 自閉スペクトラム症の歯科受診における担当医変更および診療室変更による影響調査ー保護者へのアンケート分析ー
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