【心理学】心の理論とは?~具体例あり~

精神疾患

この記事では、ASDの障害の背景にある、「心の理論」についてまとめておきます(^^ゞ

  • 心の理論ってなに?
  • ASDと心の理論はどんな関係があるの?

こんな疑問がある方はぜひご参考ください♪

この記事を読み終わったあとに「ASD者の人間関係のあり方」と「心の理論」がどのように繋がっているか、あなたの理解が深まっていれば幸いです

結論~心の理論ってなに?~

それでは、結論から(^^ゞ

心の理論とは、「他者の立場を想像すること」だと考えられます。

ヒトや動物が(異なった動物種間を含めて)他者の「こころ」の状態(目的、思考、意図、信念など)を理解し推量する働きを比喩的に「心の理論」と読んでいる。

(引用:心理学 [第5版] 鹿取廣人/杉本梅夫/鳥居修晃-[編])

一方で、心の理論がうまく機能していない状態は「マインド・ブラインドネス」と呼ばれています。

「Baron-Cohen らの提唱した mind-blindness 理論である.これは,他者の立場に立ち,考えや感じ方を想像する能力(彼らは「心の理論(theory ofmind)」と呼ぶ)の獲得に問題があるというもので,他者の考えがわからないために,他者の行動が予期できず,他者との交流によって混乱が生じ,他者に対して恐怖感を感じるようになるというものである.」

(引用:成人発達障害のコミュニケーション障害)

そして、この「マインド・ブラインドネス」が、自閉症スペクトラム症の根幹にある1つの要因だと考えられています。

「自閉症の発症については、次のような仮説が提出されている。①「心の理論」の障害説:自閉症者は、自己および他者の心的状態、信念、意図などを直感的に理解できず、そのため社会性やコミュニケーションに欠陥が生じるとする」

(引用:心理学 [第5版] 鹿取廣人/杉本梅夫/鳥居修晃-[編])

つまり、「相手の立場に立てない」から、「コミュニケーションがうまくいかない」という考え方ですね。

そりゃそうですよね。

相手の立場が想像できないとなれば、「こいつめっちゃ自分勝手やな」と思われます。

そうなれば、周りからは嫌われるし、時には、キレられるし、人間関係はうまくいきません。

大人なら、そっと距離を置いてくれる人もいるでしょうけど、仕事ではうまくいかないでしょう。

子どもは素直ですから、トラブルは多発するし、いじめにも発展するでしょう。

ということは、ASD者を支援する上ではこの「心の理論の欠如」をよく理解しておくことがポイントになるということでもあります。

ASD全体における、”心の理論”の位置づけ

では、ここまでの理解を踏まえ、ASD全体における「心の理論」の位置づけを整理してみます。

主には「社会性の障害」との関連が強そうな気がしますが、どの要素にも関連はあると考えられます。

また、「興味の限局と常同的・反復的行動」とはあまり関係がないのかと思いましたが、以下の説明をみるとどうやら関連はありそうです。

「③ものまね、ごっこ遊びが欠けている、物体の一部を持続して熱中するなど思考の柔軟性に欠けている、といった特徴をもつ」

(引用:心理学 [第5版] 鹿取廣人/杉本梅夫/鳥居修晃-[編])

具体的には、「ものまね、ごっこ遊びが欠けている」という部分ですね。

「ものまね」という部分でいうと、例えば、対面で物事を教える時なんかには、動きが通常、左右対称になったりしますが、自閉症児だと、それができなかったすることがあります。

折り紙とか、教えるときも対面でやるとうまくいかないので、横並びでやることもあったりします。

これは、「相手の立場に立てない」と成立しません。

ごっこ遊びは言わずもがな。

心の理論のプロセス

次に、心の理論のプロセスについて考えてみます。

結論を説明するのは、難しいので図解としてまとめました。

そして、自閉症の場合、このプロセスのどこかに不都合があるのだというのが1つの見解のようですね。

 Baron-Cohenは,意図の検出器,視線の検出器,注意共有の仕組みを経て,人は心の状態をとらえているとしている(Baron-Cohen, 1995)。少し細かく書くと,「意図の検出器」によって視界に入ってきたものの動きや聞こえた音などが生き物かもしくは生き物によるものかを自動的に認識し,必要に応じて「視線の検出器」が目や視線を検出して何を見ているかを推測し,「注意共有の仕組み」で私とあなたは同じものを認識している(たとえば,同じものを見ている)と捉え,それらの情報をもとに心の状態を解釈する,としている。このプロセスをマインドリーディング(mind-reading)ともいう。ASD児者ではこのプロセスのどこかに困難があるとするのがマインド・ブラインドネス理論(こころの理論障害仮説)であり,それによってASD児者は他者の心的状態を理解することが困難になると説明した

(引用:自閉スペクトラム症の認知機能―ASD特性を説明する理論にそって―)

ちなみに、これを見たときには、共同注意と同じことを説明しているような印象を受けました。

僕の理解だと、共同注意は、このプロセスの①~③の説明をしているのだと考えています。

共同注意に基づいて「相手の立場に立ち、意図や感情を想像すること」が心の理論だということなんでしょうね~

ASD児と定型児の心の理論の違い

では最後に、この心の理論の障害(マインド・ブラインドネス)がどのように、「社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害」としてあらわれるのかを考えてみます。

そのことを図解にしたのが↓↓こちらです(^ω^)

この図解を前提にすると、他者からみるASD者の違和感は、「結果としてあらわれた、行動や発言」になります。

そのため、表面上の行動だけをみて「ちょっと変わった子」と判断してしまうと、「実は発達障害でした」なんてことが見過ごされる可能性があるわけです。

ですが、ASDの障害特性を理解しておくと、「もしかして・・・」と立ち止まることができます。

また、発達傾向を調べる検査も増えているようなので、専門家としては、そのような視点を持っておくことは大事ですよね(^^)

心の理論の根拠となる実験

では、ASD者の心の理論に障害があるというのは、どのように確かめたのでしょうか?

そのことを裏付ける実験の1つに「誤信念課題(サリーとアンの課題)」があります(^ω^)

これに関しては、別記事にまとめたので、興味がある方はぜひご覧ください♪

↓↓

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

「心の理論」について少しは理解が深まったでしょうか?

最後に、以上をまとめておわかれです。

  • 心の理論とは、「他者の立場に立って、気持ちを想像すること」
  • Baron-Cohenによれば,心の理論は、「意図の検出→視線の検出→注意共有→心の解釈」といったプロセスをたどる
  • ASD者の症状の背景には、「心の理論の障害」がある
  • 心の理論の障害が、結果として、一方的なコミュニケーションに繋がっていると考えられる

臨床心理士資格試験でも「心の理論」は出題されています

ということで、臨床心理士試験を受験される方は以下のページも参考にしてみてください!(^^)!

それではまた♪

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