パス解析の実例②:既存モデルを掘り下げる

心理統計法

この記事は、心理系大学院生を対象とした統計法の学習ページです。

  • パス解析って、どんな場面で使うの?
  • 論文の読み方・流れがよくわからない

こんな悩みや疑問がある方はご参考ください( ˘ω˘)

今回の研究例:対人ストレス過程の検証

パス解析の使い方として「既存モデルを掘り下げて検証したい場合」を一例として取り上げます、

その実例として、対人ストレス過程の検証という研究を紹介します。

この研究では、ストレス研究で有名な「ラザルスの心理的ストレス理論」をとり上げ、それをより限定的な場面に適用した際に、期待通りの結果が得られるのかを検証しています。

「Lazarusらのストレス理論では、個人の心理的ストレス過程において『先行条件 → 認知的評価 → 精神的健康』という一連の流れを想定している」

(引用:対人ストレス過程の検証, P31)

なぜ「場面を限定」するのでしょうか?

というのも、「ストレス」といっても、その原因は様々です。

仕事なのか、家事なのか、学業なのか

それによって感じ方も対処の仕方も異なりますよね?

そこでこの研究では、対人関係場面のストレスに絞って、ラザルスのモデルが有効かどうかを検証しようというわけです(^^)

特に注目したのは、情緒焦点型対処(情緒的なコーピング)の有効性です。

一般的なストレス対処法としては有効とされていない情緒的なコーピングが、対人ストレスには有効かもしれないそんな疑問から出発しています。

「一般的に個人の精神的健康を損ねるとされている情緒焦点型対処が、対人ストレス過程における顕著な特徴を明確にした研究報告はみられない」

(引用:対人ストレス過程の検証, P296)

確かに、私たちは人間関係の不満を誰かに話して発散することがありますよね?

にもかかわらず、ストレス対処としてそれが有効でないというのは、直感的にも不自然です!

ここまでの話を図にすると↓こんなイメージですね♪

ラザルスのモデルとの違い

この図を見ると「ラザルスのモデルと全然違くない!?」と思うかもしれません。

でも、流れとしてはこういうことです:

  1. 一般的なストレス理論がある
  2. 対人場面に限定すると大まかすぎるので、もう少し具体的に考える必要がある
  3. 場面を限定すると先行研究で言われていることもあるため、手を加える必要がある

つまり、ラザルスのストレス理論をベースに、対人関係場面に合わせてアレンジしたモデルになっているのです。

だから、「既存モデルを掘り下げて検証したい場合」としたのです。

変更点3つ

では、具体的にどこを変えたのでしょうか?

以下の3点です。

変更点① 先行条件 = パーソナリティ

対人関係場面に着目した場合、先行条件をパーソナリティとして扱っています。

「先行条件には、個人が所属する文化、社会・経済的状況などが含まれ、楽観性、統制の所在、信念、自尊心、ハーディネスなどのパーソナリティは、ストレス研究において重要な要因として、多くの研究者によってストレス過程において取り入れられている」

(引用:対人ストレス過程の検証, P295)

変更点② 精神的健康を2つに分ける

精神的健康を「ポジティブな精神的健康」と「ネガティブな精神的健康」の2つに分けて扱っています。

「精神的健康であるためには前者の低減と後者の向上が必要という意味で、前者はネガティブな精神的健康、後者はポジティブな精神的健康ということができる」

(引用:対人ストレス過程の検証, P296)

変更点③ コーピング尺度を対人関係場面専用に差し替え

これがこの研究で最も重要なポイントだと考えられます!

コーピングを測定する尺度を、対人関係場面に特化したものに差し替えています。

「パス係数の値に変化がみられるものの、両ストレス過程において、特徴的なコーピングの役割が明確にされない原因の1つには、コーピングの個人差を測定する尺度に問題あると考えられる」

(引用:対人ストレス過程の検証, P296)

場面が違えば対処法は異なるはず

にもかかわらずそうなっていないのは、尺度が場面に対応していないからだ、ということなんですね

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

パス解析を使った「既存モデルの場面限定検証」について、少しイメージが掴めたでしょうか?

最後に本記事の内容を振り返っておわかれです(^^)/

  • パス解析は、既存モデルをベースにしてアレンジしたモデルを検証したい場合にも使える
  • 今回の実例では、ラザルスのストレスモデルを、対人場面に限定して検証している

ということなんですね~

それではまた(^^ゞ

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