カウンセリングにおける多重関係とは〜なぜ禁止されるのか?〜

臨床心理士になってから

この記事は、心理職を目指す方・心理職の方向けの学習ページです。

  • 多重関係ってなに?
  • なぜカウンセリングで多重関係が禁止されているの?

こんな疑問がある方はご参考ください( ˘ω˘)

多重関係とは?

そもそも多重関係とは何でしょうか?

多重関係とは、カウンセラーとクライエントが治療関係以外の関係を持つことだと言えます。

例えば、カウンセラーとクライエントでありながら、「ご近所さん」だとか、「ママ友」だとか、その様な関係性の重複のことを「多重関係」と呼ぶわけです。

具体的には、相談室での「公認心理師-クライエント関係」だけではなく、職場での「上司-部下関係」や学校時代の「同級生同士」といった、二重あるいはそれ以上の関係を持ってしまう場合が挙げられている(岩壁ら,2018)」

(引用:教育現場での教育者と才能教育下にあるアスリートの多重関係,pp10-11)

ただ、普通に生きていれば、私達は、多重関係の中で生活していると言えます。

例えば、学校なら、兄弟と先輩後輩とか、あるいは、同僚であり、友人とかもあるかもしれません。

なので、関係性の重複ということを普段意識することはあまりないのではないでしょうか?

ただ、カウンセリングという営みにおいてはこの「多重関係が禁止」されています。

では、なぜ、多重関係が禁止されているのでしょうか?

なぜ多重関係が禁止されるのか?

これは、「治療枠を守るため」とか「クライエントの安全安心を守るため」と言われます。

一般的には。

ただ、この説明だけでは、とても教科書的です。

なぜなら、一般感覚で言うと、ピンとこないし、納得できなくないでしょうか?

カウンセラーとクライエントの関係は、治療契約に基づく治療同盟でなければならない。その同盟において、両者が治療枠を守ることによって、カウンセリングは治療的効果をもつ営為となる。そのため、カウンセラーという役割以外の個人的関係をクライエントとの間に形成する多重関係は禁止される。それは、関係性をあいまいにし、治療枠を壊す行為だからである

(引用:臨床心理士指定大学院対策 鉄則10&過去問30 院試実戦編,p33)

つまり、現場では、不十分ということですね。

例えば、クライエントから、

「多重関係?私は気にしないですよ?」

と言われたら何と答えるでしょうか。

でも、そう思うのも無理はないです。

だって、私達は社会生活を送る上で多重関係があるのが普通ですから。

しかし、心理職としては、これに対する答えを持っておく必要があります。

そして、その答えの1つとしては、「カウンセラー」の存在がクライエントの生活に無関係の第三者だから、といえます。

というのも、例えばあなたが職場の上司から

「困ったら何でも相談してね」

と言われて、相談しますか?

ということです。

多くの人は

「ありがとうございます!ぜひ!」

とはならないですよね(笑)

なぜなら、上司と部下には利害関係があるからです。

仮に、あなたが仕事上の業務フローに不満があったとしても、それは言わないかもしれません。

「これを言ったら、ネガティブな評価を受けるかも」と思って、発言を控えてしまうかもしれません。

それでも、この上司が急に、

「資格とったから安心してね」

とか言ってきたとしたたらどうでしょう?

「ありがとうございます!ぜひ!」

とはやっぱりなりませんよね?(笑)

「いや、そこじゃねぇ」

これが真っ当な人の反応です。

つまり、治療関係以外の関係がないからこそクライエントは「余計なことを気にせず」語ることができるのです。

だから、「多重関係が禁止」されるのです。

「たとえば、多重関係を避ける、クライエントと物を売買しない、物々交換や身体的接触を避ける、勧誘(リファー等の際に、クライエントに対して特定の機関に相談するよう勧めること)を行わないこと」

(引用:教育現場での教育者と才能教育下にあるアスリートの多重関係,p10)

他にもある多重関係の例

ここでは わかりやすく上司と部下の例を取り挙げましたが、他にも、親子関係や売買関係などもあるでしょう。

親に悩みがあっても

  • 「子どもに負担はかけられない」
  • 「子どもになんて話せるか」

という思いが歯止めをかけるかもしれません。

あるいは

  • 「この人の機嫌を損ねたらまた悪く思われるかもしれないから」

と思いネガティブなこと、本心を言わないかもしれません。

「では、心理援助職である公認心理師において、なぜ多重関係が禁じられるのか。(中略)、第一に、通常の専門的関係以外の関係・役割が加わることにより、「公認心理師-クライエント関係」に必要な中立性や客観性が侵され、利害の対立や個人的な意見がからむ恐れがある」

(引用:教育現場での教育者と才能教育下にあるアスリートの多重関係,p11)

そういうわけで、カウンセリングにおいて多重関係が禁止されるのですが、カウンセラーがそのことを説明できる必要はあるでしょう。

まとめ

ということで、いかがでしたでしょうか?

多重関係について少しは理解が深まったでしょうか?

最後に本記事の内容を振り返っておわかれです(^^)/

  • 多重関係とは、カウンセラーとクライエントが治療関係以外の関係を持つこと
  • 多重関係が禁止されるのは、公認心理師-クライエント関係に必要な中立性や客観性を守り、クライエントが利害関係を気にせず安心して話せるようにするため

ということなんですね~

それではまた(^^ゞ

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