この記事は、心理系大学院生を対象とした統計法の学習ページです。
- パス解析って実際どんな研究で使われるの?
- なぜ重回帰分析ではなくパス解析を使うの?
こんな悩みや疑問がある方はご参考ください( ˘ω˘)
パス解析の実例①:「働く女性のキャリア・ストレス・モデル」
パス解析を用いた具体的な研究例として、「新たなモデルの検証」があります。
その1つが、「働く女性のキャリア・ストレス・モデル-パス解析による転職・退職行動の規定要因分析-」という研究です。
この研究は、職場のストレス要因が女性の行動(退職や転職)に与える経路について調べています。
つまり、すごく単純化すると、「①ストレス要因 → ②女性の行動」という流れなのですが、では、なぜ重回帰分析ではなくパス解析を使うのでしょうか?
それは、以下2つ理由があるからです。
- 変数が多い
- 経路が複数ある
変数の構造
まず、この研究では、ストレス要因を以下の2つに分けています。
- 個人内的変数(例:キャリア動機、ストレス反応など)
- 環境的変数(例:ハラスメントストレッサー、組織的変数など)
また、従属変数も「女性の行動」をひとまとめにせず、「退職行動」と「転職行動」に細かくわけています。
で、このように、実は細かい変数の内訳を見える可すると
↓こうなります

ここにさらに、「学歴」「年齢」「役割」「事業所規模」「職位」「業種」「職種」といった属性変数も加わり、変数は計21個になります。
「先に選択された19変数を説明変数、転職行動・退職行動の2変数を被説明変数として、計21変数を仮設にしたがって投入し、パス係数を算出した。」
(引用:働く女性のキャリア・ストレス・モデル-パス解析による転職・退職行動の規定要因分析、p15、右列、[パス解析による因果関係の検討] 1-3行目)
このように、とても変数が多いわけです。
尚且つ、変数が多いだけでなく、二次的結果に影響を与える経路がいくつも存在します。
複数の経路の存在
そして、上図では省きましたが、この研究では「先行条件」と「一次的結果」のあいだに、媒介変数として「個人内的変数と環境的変数の遭遇(encounter)」が存在します。
「個人内的変数と環境的変数の遭遇(encounter)について、次の2つの視点から考えることができる。すなわち、変数間の因果関係の観点とストレスの調整効果の観点である」
(引用:同書、p15、右列、[パス解析による因果関係の検討] 1-3行目)
つまり、最終的には「転職行動」と「退職行動」にどのような影響を与えているかを検証していますが、その経路が一義的ではないということなのです。

例えば、↑の図では「キャリアストレッサー」から「一時的な結果」への経路を見ると、
- 接的な経路:「キャリアストレッサー → 一次的な結果」
- 間接的な経路:「キャリアストレッサー → キャリア動機 → 一次的な結果」
という2つの経路が想定されています。
重回帰分析や回帰分析であれば独立変数から従属変数への影響は、1経路になりますが、パス解析では複数の経路を同時に検討できるということです。
新しいモデルの検証パス解析を用いたイメージ
この研究のように、変数も影響経路がたくさんある場合に、パス解析を用いるということは分かりましたが、この研究は、「新しいモデルの検証」という位置づけでパス解析を用いていますので、それも覚えておきましょう(^^)
端的にいうと、先行研究から「モデルA」のような因果関係が考えられますね!
みたいな今までにはない因果関係を検証する場合です。
例えば、前提として「筋トレ→ジョギングの順に運動すると、運動効率が高くなる」という通説があったとします。
しかし、女性の場合、男性に比べて筋力がつきづらいため、それよりもストレッチで可動域を広げた方が運動効率が高いとも言われていたとします。
だとすると、以下のような新たなモデルが先行研究からは仮定できるので、検証すること意義があるだろ!
と考えるわけです

こうした「新しいモデルを提案して、検証する」ためにパス解析が使われることがあります。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
パス解析の実例①について少しは理解が深まったでしょうか?
最後に本記事の内容を振り返っておわかれです(^^)/
- 重回帰分析と違い、変数間の経路が複数ある場合にパス解析が使われる
- 変数が多数あり、従属変数へ影響経路が複数ある「新しいモデルの検証」にパス解析が有用
ということなんですね~
それではまた(^^ゞ
参考
こちらの記事を作成にする上での参考文献です(^ω^)

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