この記事は、「価値転換理論ってなに?」という方のために僕の理解を記録として残しておきます。
大学院時代のレポートを書く際にまとめたんですが、意外とニーズがあるようなので忘備録として残しておくことにしました(^^ゞ
価値転換理論とは
シンプルに言えば、価値転換理論とは、「障害の受容に関するプロセスを説明した理論」のことです。しかしまあ、理論ですから、もちろん唯一のものではないし、正解というわけではありません。
上田(1980)の「障害の受容とは,あきらめでも居直りでもなく,障害に対する価値観の転換であり,障害をもつことが自己の全体としての人間的な価値を低下させるものではないことの認識と体得を通じて,恥の意識や劣等感を克服し,積極的な生活態度に転ずることである」とする定義が一般的になりつつあ る。
(引用:発達障害のある子どもをもつ親が障害を受け入れていく過程に関する文献研究:受容と認識の観点から,p25より)
とはいえ、「障害受容=価値転換」というのが、とりあえずはゴールデンスタンダート的なやつなんでしょう。この言い方を見る限り。そうすると、「価値転換って一体なによ?」という話になるわけですが、その定義を引っ張ってきたのが以下です。
価値転換(value change)
障害児(者)の苦悩は機能障害などに起因する個人的苦悩と社会の否定的態度に起因する苦悩があり、個人的な苦悩の克服は、価値の視野の拡大や比較価値からそのものの価値への転換によってなされるとする障害受容理論の一つです。
(引用:障害臨床学ハンドブック【第2版】,p198より)
障害受容をさせる4つの視点
「価値転換」の定義がわかったところで、もう少しその理論に深く入り込んでみることにしますが、フライトさんという方がは、この価値転換について「障害受容を支える4つの視点」ということで整理しています。
第1の視点が、価値の範囲の拡大です。これは、喪失したと思う価値以外にも価値があることを認識すること。第2に、障害の与える影響の制限です。これは、自己の障害は直視しているが、障害が自己のそれ以外の評価に影響を与えないよう抑制すること。第3に、身体の外観の従属化です。これは、外見より人格などの内面を重視し、身体を価値の下位に位置すること。第4に、比較価値から資産価値への転換です。これは、他者との比較ではなく、自己の内面にある価値に目を向けること。
この4つの視点が「価値転換」を実現する上では大事ということなんですね。
さて、いかがでしたでしょうか?
さらに詳しく知りたい方は、以下に残した参考文献をあたってみてください。
それではまた。
参考文献
①障害児の母親役割に関する再考の視点ー母親のもつ葛藤の構造ー(論文)
②発達障害のある子どもをもつ親が障害を受け入れていく過程に関する文献研究:受容と認識の観点から(論文)
③障害臨床学ハンドブック【第2版】
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