注意の減衰説

理論

この記事では、「注意の減衰説」について言われていることをまとめておきます。

↑こんな疑問がある方はぜひ、ご参考ください(^^)

結論~注意の減衰説とは~

減衰説=「注意を向けてない情報も、情報の重要性によって処理される」モデルのことです。

例えば・・・

これから、私が読み上げる文章を繰り返して下さい

と言われたとします。

そうすると、あなたはこれからきくことに注意をむけます。

ですが・・・

あなたが、文章に一生懸命注意を向けているときでも・・・・

「○○さん」

とあなたの名前が呼ばれると・・・

注意を向けるつもりもなかったけど、気になってしまうことってありますよね?

これが、「注意の向けていない情報も処理されている」ということです。

このような現象について説明しているのが「減衰説」です。

注意を向けていない、すべての情報が処理されるわけではない

しかし、注意の向けていない情報全てが処理されるわけではなく、そこには何かしらの基準があります。

それはなんでしょうか?

その答えは2つです!

  1. 「基本的に、重要な情報」
  2. 「一時的に重要になってる情報」

それでは、1つずつ詳しくみていきましょう(^^)/

自分にとって、重要な情報

この代表例は「名前」です。

名前は、基本的に自分にとって重要な情報ですよね?

そのため、「刺激としての閾値が下がっている」と考えられています。

他の例でイメージしてみましょう

例えば、あなたがこんな感じで、実家のリビングでゴロゴロしてるとします。

この時に・・・

「ごはんよ」

と、母親から呼ばれたとします。

あなたは、スマホに夢中なので、10の声の大きさでないと聞こえません。

なので、母はちょっとイライラしています(笑)

しかしながら、母のよびかけが

「シュークリームあるよ」

のように、あなたの好物についてだったとします。

すると、母の声の大きさが「5」でも耳に入ってくるのです。

なぜか?

あなたにとって、重要だからです

このように、減衰説では、「基本的に、重要な情報」に対しては、「基本的に、情報がはいってきやすい」状態になっているのだと考えられています。

一時的に、重要になっている情報

あるいは、文脈によっても変わる可能性があります。

例えば、普段だったら「ご飯だよ」と5の声の大きさで言われても、耳に入ってこなくても、大変お腹がすいているときには耳に入ってきます。

なぜか?

「お腹がすいている」という文脈において、「ご飯だよ」という情報

「一時的に、重要になっている」からです。

これが、注意の減衰説で言われてることですね。

「減衰(attenuation)モデルによると、ある単語を知覚するとは、その単語に注意することであり、また、被験者が経験を通じてすでに獲得した辞書の中でそれに対応する単語が感覚的入力によって閾値以上に賦活されるための閾値が低められているか、あるいは自分の名前のように被験者にとって重要であるために常に閾値が低められている場合には、たとえそれが減衰された情報であっても知覚されるのだと考えられている。」

(引用:選択的注意と記憶,p338,2段落,5-11行目)

根拠

最後に、この減衰説の裏付けとなっている実験を紹介します。

自分にとって、重要な情報は注意をむけてしまう

この実験については、ブログの冒頭で取り上げたので、簡単に要約しておきます。

  • 名前を逆耳からきかせる
  • 注意を向けてない耳から意味のある情報をきかせる

一時的に、重要になっている情報には注意を向けてしまう

この課題は、トリーズマンが減衰モデルを提唱する際に用いた代表的な実験です。

実験内容:

あなたは左右の耳から異なる物語を同時に聞かされます。

(例: 右耳に物語A、左耳に物語B)。

次に、あなたは、

「右耳から聞こえてくる物語を復唱してください」

と指示されます。

しばらくすると、途中で右耳の物語がCに切り替わり、左耳で物語Aが続くようにします。

↓↓こういうこと

ここまでが、実験デザインです。

結果

では、このような結果どうなったのでしょうか?

それは、

 あたなは指示された右耳を追い続けるはずですが、左耳から流れる物語Aの意味的な連続性に引きずられ、復唱を左耳の情報に切り替えることが観察されました。

↓↓こういうこと

つまり、右耳から聞こえてくる「トトロ」を復唱しなければいけないのに、さきほどまでみぎ耳で流れていた「桃太郎」の復唱をしてしまったということです。

解釈:

このような実験から、注意を向ける(復唱する)べき右耳の情報ではなく、左耳の情報に注意を向けて(復唱して)しまった。

つまり、注意を向けようとしない情報でもその文脈にひきずられて処理がなされる

という、減衰モデルを裏付ける根拠となっているわけですね(^^♪

注意のフィルターモデルとの違い

過去記事として、注意のフィルターモデルについても残していますが、

「注意のフィルターモデル」は、「注意を向けた情報以外は、処理されない」という主張をしているモデルですが、減衰説は、「注意を向けてない情報も、処理されてるよ」という主張をしているのですね。

まとめ

  • 注意の減衰モデルとは、減衰説モデル=「注意の向けてない情報も実は処理されているが、情報の重要性によって処理される」モデルのこと
  • 例えば、「ごはんだよ」と言われても聞こえないが、同じ声の大きさで「シュークリームだよ」と好物の名前だされると聞こえる。これは「好物」は自分にとって重要なため、基本的に小さい声でも聞こえやすい状態にあると考えられる。
  • 例えば、お腹がすいてないときは「ご飯できたよ」と言われても聞こえないが、すいているときは同じ声の大きさでも聞こえることがある。これは「空腹感」という文脈が変わったことにより、情報の重要性が変わったため。
  • 注意の減衰モデルを裏付ける実験には、両耳分離聴課題において、右耳の情報を追唱するよ様に言われていたが、その情報の続きが途中で左耳から流れてくると、その情報を追唱しています実験がある。

参考

  • 注意機能・ワーキングメモリ・遂行機能~類似点と相違点~
  • 嗅覚識別と選択的注意)
  • 選択的注意と記憶)

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