家族システム論とは?わかりやすく、かつ簡単に

家族療法

この記事は

  • 家族システム論ってなに?
  • どういう考え方?
  • システム論と何が違うの?

という疑問を持たれている方向けに発信しています。

家族システム論とは

その名の通り、「家族」を「1つのシステム」として捉えようとする考え方のことです。

 システム論の中心的考え方については、過去のエントリーで詳しく述べているのでそちらを参照していただくとして、あえて繰り返しますが、家族は1つの「システム」なのです。

なぜなら、家族には、システム階層性があり、サイバネティクスに基づいた相互作用もあり、それゆえに円環的因果律の見方も適用可能であるからして、家族とはやはり「システム」なのです。

で、家族療法では、家族をシステムとして捉えIPの「問題」にアプローチします。従来の心理療法では、クライエントが抱える「問題」に対して、個人の内面や行動にアプローチを試みてきました。

一方、家族療法では、少なくとも「問題」として捉えられている出来事は、現状の家族システムのパターンないしプロセスよって生じているものであると考えるため、システムに対するアプローチを試みます。

家族システムにおける問題

家族システムを理解するための枠組み

そして、「家族を1つのシステム」と考えた時に、その理解を深めるべく「システム論」に基づいたフレームワークが3つあります。

家族を1つのシステムとしてとらえるとき、家族システムを家族の『構造』、家族の『機能』、家族の『発達』という3つの属性から説明することが可能になる

(引用:家族療法テキストブックより)

家族の構造

まず、構造とは、家族の構成員のことをさします。つまり、ある家族が父・母・息子の3人から成るのであれば、それが構造ということです。

家族の機能

次に、機能とは、家族の役割やコミュニケーションパターンを意味します。例えば、先の家族で言えば、父は山へ芝刈りに、母は川へ洗濯に行き、息子は鬼退治に行くといった役割をそれぞれ有しているかもしれません。

あるいは、この家族に2人目の子供が生まれたとしたら、息子には、「兄」という役割が付与され、父母からすれば、「娘」という新たな役割が追加されることにもなりましょう。

家族の発達

文字通り、家族の発達的変化を意味します。時系列に応じた、構造を機能の変化のことです。先ほどのように、構造が父・母・息子の3人に新たな娘が生まれたとしたらそれは構造が変化しているということでもあります。

あるいは、息子と娘が自立しやがて結婚したとすれば、同様に家族構造は変化し、その家族に限って言えば、父・母、という機能は夫・妻という機能に変化すると考えられもします。

また、「発達」が、すなわち「変化」であると捉えると、この家族の変化を理解するためにサイバネティクスの考えが重要です。というのも、家族システムには、それぞれのシステムに特有の暗黙のパターンないしルールが存在するとされるからです。

仮に、家族システム内でそのパターンからの逸脱が生じた場合、それを元に戻そうとする働きとして、ネガティブフィードバックが、環境の変化や家族の発達に適応しようとする時に、システムにも変化を起こそうとする働きとしてポジティブフィードバックが起きます。

前者が形態維持で後者が形態変化と言われるのですが、この両者のバランスが取れる家族システムが健全だなのだそうです。繰り返しますが、「構造・機能・発達」という観点は、「システム論」の根幹です。「家族」に限られたことではないという意味です。なぜなら、内容は違っても、会社・学校・地域システムにも同様に、それらの項目は該当するからですね。

こうした秩序を『システムの属性』と読んでおり、いわばシステムを中から考えるための指標といえるかもしれません。

(引用: 家族療法 システムズアプローチの<ものの見方>より)

つまり、生物システム全般に当てはまるということですね。

参考文献

最後にこのエントリーを作成するにあたり、お世話になった文献を紹介させてもらいます。

↑↑こちらは「システム」の概要や用語についてわかりやすく書かれています。

文章もわかりやすいです。コンパクトなので。

↑↑こちらの書籍はタイトルの通り、「家族療法」を解説する過程で各用語や視点について述べているという構成になっています。

概念説明なども大変わかりやすく、「家族療法」という意味では網羅されているのですが、A4サイズ、ハードカバー、冊子も分厚いため持ち運びが不便です。

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