ジェンドリンが提唱した、心理療法のフォーカシングについてまとめました。フォーカシングは、人間性心理学に基づく心理療法です。
定義
フォーカシングとは、クライエント中心療法を考案したロジャースの共同研究者であるジェンドリン(Gendlin,E.T.)による心理療法のこと。フォーカシングの目的は、フェルト・シフトに至る過程を援助することである。ジェンドリンは、主に統合失調症患者の臨床経験から体験過程の理論を打ち立て、その主要技法としてフォーカシングを提唱している。
体験過程
体験過程とは、”今ここ・この瞬間に起こり、実感できる体の感覚や気持ちの流れ”を意味する。
フェルト・シフト
フェルト・シフトとは、クライエント自身がフェルト・センスに気づき、その理解を深め、言葉などによって表現することが可能となった時に、滞っていた感情の流れが自己を成長させる方向に流れていくこと。わかりやすく言えば、変化や気づきを捕まえた瞬間の”これだ”という感覚。
フェルト・センス
フェルト・センスとは、漠然と言葉にできない感情が身体感覚として体験されることで、人々が日常的に体験しているものであり、フォーカシングに特有なものではない。
フォーカシングの例
例えば、次のようなやりとりがあったとする。
昨日のライブは楽しかったですか?
うーん、楽しかったです
この場合、おそらくこの女性は、完全に楽しかったわけではなく、”うーん”という、まだ言葉になっていない感覚がありそうである。つまり、この、”うーん”は、それを語る人の体験が”楽しかった”という言葉には”おさまりきらなかった”ことを示している可能性がある。
ただし、この”うーん”は”楽しくなかった”ことを示しているわけではなく、ある複雑な意味で楽しかったことを示している。これを掘り下げてみると、”うーん、楽しかった”と語っていた人は、”いや、ちょっと疲れたのかも”と発言し直すかもしれない。この場合、その人は”うーん・・・”のフェルトセンスにふれ、そのフェルトセンスから新たに言語化していると言える。このような行為を通して、人が生きる状況そのものが変化したり、状況の理解が変容する。
”いやいやライブに参加してる”のと”自分が好きでライブに参加している”のとでは、人が生きる状況は異なってくるだろう?
故に、フォーカシングでは、”フェルトセンス”という体験のあり方と、それを”言い表す”という行為が重視されているのである。
技法
ここでは、コーネルがまとめた5つのステップを引用する。
まずは、体の内側に注意を向ける。その際に出てきたフェルトセンスを認め、それに合った言葉やイメージで描写する。その上で、それに興味を持ち一緒にいる。その際、コーネルは、”内なる自己との関係によるフォーカシング”として、内なる自己との関係の持ち方を重要視している。フォーカサーとしての自分が悲しさに巻き込まれるのでも、否定するのでもなく、自分の一部としてそれを認める。自分が悲しさと良い関係を持ち、うまく付き合うことで、それらは自ら変化していくのである。
( 引用 :コーネル,1996)
リフレクション
リフレクションとは、クライエントの感情表現をできるだけ言葉を変えずに伝え返す技法のことをいう。たとえば、クライエントが「最近、なんだかイライラして」と表現したのなら、心理士は、「ストレスが溜まってるんですね」などと言い換え図に、「イライラしてるんですね」といったクライエントの漠然とした感覚をそのまま伝え返す。
臨床心理士資格試験にもフォーカシングの問題は出題されています
過去問対策をしたい方は↓↓こちら(=゚ω゚)ノ
コメント