この記事は以下の疑問に答える内容です(^ω^)
- WAISやWISCで測定されている、言語概念の形成って一体なに?
- 具体的にどういうこと?
- この力が弱いと、どんな困りごとがあるの?
- 具体的な対策は?
①結論
結論から言うと、言語概念形成とは、「物事や事象の共通点をみつけ、それを言葉にする力」のことです。
そして、この力のなさは、「曖昧な表現がわからない」という発達障がいにありがちな問題に通じています。
僕の理解では。
で、「物事や事象の共通点をみつけ、それを言葉にする力」は、平たく言うと以下の2つから構成されています。
- 物事や事象の共通点をみつける力
- 共通点を言葉にする力
百聞は一見に如かず。
実際に体験してみましょう(^ω^)
言語概念形成のプロセス
それではさっそく質問です。
「あ」と「ま」の共通点はなんでしょうか?
答えは、どちらも「ひらがな」です。
もしかしたら、どちらも「3画」と答える人もいるかもしれませんが、今たどったプロセスこそが言語概念の形成です。
もう1つやってみましょう。
例えば、↓↓以下の画像をみて、グループ分けに挑戦してみてください。
どのようにグループわけしましたか?
多くの人は、↓↓このようにグループわけしたのではないでしょうか?
※心理教育用に↑のスライドが欲しい方はこちらから
今たどったプロセスが「物事や事象の共通点をみつける」ことであり、<グループ①>と<グループ②>こそが概念ということになります。
「ことばで表示されるか否かに関係なく、言語的であろうと非言語的であろうと、人の心に形成される範疇が概念であり、言語化(つまり意味づけ)された概念が意味となる」
(引用:概念化と言語化より)
※引用の具体的なページ番号などが知りたい方はこちら
では、言語概念とはどういうことなのでしょうか?
今回の例でいうと簡単です。
グループ①は一般になんと言われるでしょうか?
そう、「数字」ですよね?
グループ②は?
そう、「ひらがな」です。
これが、言語概念です。
「概念化により形成された概念を他者につたえるためには、何らかの記号に移し変える記号化(symbolization)が必要になる。記号化に移し替える言語化(verbalization)である。概念のうち言語化され、ことばで表示されるものが意味と呼ばれる」
(引用:概念化と言語化より)
※引用の具体的なページ番号などが知りたい方はこちら
つまり、「グループにまとめる」それに「名前をつける」というのが、「言語概念形成」
というわけです。
言語概念形成には、難易度がある
言語概念形成が何を言っているのか、体感で分かったと思いますが、もう一歩理解を深めたいと思います。
それは、言語概念形成についての「難易度」です。
言語概念形成が簡単なもの
先ほどやったような、「数字」や「ひらがな」の共通点を探し、言葉にすることは比較的簡単ではないでしょうか?
なぜ簡単なのでしょうか?
理由として、次の3点があげられます。
- 日常的につかう
- すでに名称がある
- 具体性が高い
他の具体例としては、「掃除機と洗濯機」=「家電」だし、「コップとお箸」=「食器」があります。
「日常的に使う」「すで名称がある」「具体性が高い」の3つの条件があてはまりますよね?
「2.」の「すでに名称がある」という部分だけ補足すると、「家電」とか「食器」とか「数字」「ひらがな」というのは、すでに誰かがつけてくれた「名前(意味)」ですよね?
小さいころから繰り返し接触することによって、その度に「1=数字」「5=数字」ということを教わり、それによって、「1と5=数字」という仲間分けを感覚的に覚えていきます。
つまり、考えるまでもなく「言語概念形成」ができるようになっているから「簡単」なのです。
言語概念形成が難しいもの
一方、言語概念形成が難しいものはなんでしょうか?
その究極系は、人によって範疇が異なるものです。
例えば、「高い」とか「遠い」とかそういうもの。
具体的にいうと、
「10000円のうまい棒」と「100円の飲み会」高い?安い?それとも普通?
と聞かれたらどうでしょうか?
多くの人は・・・
- うまい棒→高い
- 飲み会→安い
ではないでしょうか?
もしかしたら、どっちも高いと答える人もいるかましれませんし、どっちも安いと答えるかもしれません。
高いという人は、もしかしたらすごく貧乏な家なのかもしれません。
安いという人は、億万長者なのかもしれません。
もう1つ他の例もみてみましょう
↓この人と
↓この人をみて
どっちもイケメン!
と言われたら、正直「う~ん」ってなりませんか?
もしかしたら、「どっちもブサメン!」という人もいるかもしれないし
あるいは、「上はイケメン!」って言う人もいるかもしれませんよね?
つまり、何が言いたいかというと、
「そんなの人の価値観や感覚によって違うだろ!」
って話なんです。
ですので、言語概念形成の最難関は、人の価値観や感覚によって範疇化が異なるものということになります。
言い換えるなら、「あいまい」ものです。
言語概念形成が欠如すると、どんな困りごとがるのか?
繰り返しになりますが、それは、「あいまいな指示がわからない」ということです。
例えば、こんな状況をイメージください。
「コップを、棚にしまっておいて」
あなたはコップをしまいますよね?
それでは、その5分後です。
「レンゲも、棚にしまっておいて」
あなたは、レンゲをしまいますよね?
そして、
さらにまた5分後・・・
「それも、お願い」
さて、この時、あなたはどうしますか?
おそらく、お皿を棚にしまうのではないでしょうか?
しかしながら、これはかなり「あいまいな指示」です。
なぜなら、この指示は
- それも=お皿
- お願い=棚にをしまう
であることを理解している必要があるからです。
つまり、「それも=お皿」であると理解するためには、1回目に「フォーク」を、2回目に「コップ」を片づけたことを、範疇化している必要があります。
「1回目と2回目では、食器を片づけたな」
「だから、今回も、それ=食器(お皿)のことを言ってるんだろうな」
と思うわけです。
しかしながら、範疇化がずれるとこんなことが起きます。
「何してんの、私が片づけて欲しいのはお皿!」
多分、一緒においてあったホチキスでも片づけてしまったのでしょう(笑)
なぜこんなことが起きたのでしょうか?
この人は、先ほどの3つの場面を次のように範疇化したようです。
「さっきは、机においてある物を1つ片づけたから、うん、今回もどれか1つ片づければいいんだな、よし、ホチキス!君に決めた!」
完全にずれていますよね(笑)
この人の頭の中を可視化すると多分↓↓こんな感じ
- それ=机の上にあるもののどれか
- お願い=片づける
このような現象が起きてしまいます。
ですので・・・
- 「なる早でよろしく」
- 「あれやっといて」
- 「終わったら報告して」
- 「ちょっとだけ手伝って」
- 「もう少し、控えめでいいよ」
のような指示も、同様に理解が困難です。
つまり、「あいまいな指示がよくわからない」という困りごとは、この言語概念形成における、「範疇化(範囲をきめる」の欠如が大きく影響していると考えられるのです。
では、このような人に相対したときに、指示を出す側はどうすればいいのでしょうか?
それは、常に、「初めて教えるつもりで、伝えること」です。
その意識が、ひいては「具体的に伝える」ことに繋がります。
対策~具体的に伝える~
例えば、さきほどの「それも、お願い」を具体的に変換すると
「テーブルの上にあるお皿も、棚にしまっておいて」と表現することです。
指示する側としては、「それができたんだから、これもできるよね?」
と思いがちなことが結構ありますが、それがわからないから困ったりします。
ですので、指示する側の前提としては、指示の出し方云々ではなくて、
常に「初めて教える」という姿勢で相手に関わるという心がけが必要になります。
因みにこれは、指示する側がする対策ですが、本人ができる努力もあります(^ω^)
興味がある方は、コメントください。続きを書くかもしれませんよ(笑)
まとめ
最後に、本記事の内容をまとめておわかれです(^ω^)
- 言語概念形成とは、物事や事象の共通点をみつけ、それを言葉にする力のこと
- 具体的には、「1・2=数字」「あ・う=ひらがな」のようにグループ分けすること
- 言語概念形成が最も難しのは、人によって認識が異なるもの。例えば、「高い・低い」とか「かわいい・かっこいい」のような概念
- 言語概念形成が苦手だと、「あいまいなもの」の理解が難しくなる
- 対策として、伝え手側は、「初めて教えるようなつもりで、伝えること」が大事
それではまた(^^ゞ
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