クリタマです(^^♪
こちらの記事は、
- サイモン効果ってなに?
- ストループ効果と何が違うの?
という疑問をお持ちの方向けの記事となっています。
結論~サイモン効果とは~
サイモン効果は以下のように定義されています。
「視覚や聴覚による刺激とそれに反応するためのキーの空間位置が一致しているかどうか(空間 一致性)が実験参加者の行動に影響を与える現象をサイモン効果(SE: Simon effect)と呼びます」
(引用:他者の「実在感」を伝える音とは?ー他者の存在に関わる聴覚空間情報が社会的サイモン効果を誘発ー,p2【2.研究手法・成果】9-10行目より)
えぇ
わかりますよ、あなたの気持ち
まったくわかりませんよね(笑)
僕のこの気持ちに共感できた方は、ぜひ↓こちらやってください(笑)
サイモン効果を実際に体験してみましょう
『これから「みぎ」もしくは「ひだり」の文字が表示されます』
『その文字が「みぎ」の時は、右手で机をたたき、「ひだり」の時は、左手で机をたたいてください』
「それでは、練習①です」
そうです。
これは、「右手」を叩きます。
「それでは、練習②です」
そうですね。「左手」を叩きましょう。
このような課題において、文字が表示された位置と、叩く手が一致していると、不一致の場合よりも反応が早くなることがあることが実験によって示唆されました。
上の例でいうと、練習②に比べ、練習①のほうが、反応が早くなるのだそうです。
これこそが「サイモン効果」です。
逆サイモン課題
これに対し、「逆サイモン課題」なるものがあります。
実際に、やってみましょう。
「これから『みぎ』もしくは、『ひだり』の文字が表示されます」
「その文字が画面の『みぎ側』に表示された時は、右手で机をたたき、『ひだり側』に表示された時は、左手で机をたたいてください」
「それでは、練習①です」
この時は、右手を叩きます。
「それでは、練習②です」
これも、右手で手を叩きます。
これが「逆サイモン課題」です。
つまり、「文字」を無視して、課題に取り組むと簡単に正解できるのですが、
この課題を健常の大学生にやってもらうと、「サイモン課題」とは異なり、文字と画面の位置が一致していなくても、反応時間に有意差はないらしいです。
雑情報が増えると、干渉効果が減少する?
ところが、「低酸素脳症」の患者さんに、逆サイモン課題をやってみてもらったところ、大きな属性干渉効果が生じたのだそうです。
つまり・・・
とか
のように、「文字」と文字のある「位置」が一致していない場合だと、一致している場合に比べ反応時間が遅くなるということです。
逆サイモン課題で、属性干渉が起きない理由
なぜ、健常者の場合、「逆サイモン効果」が起きなかったのでしょうか?
エリクセン課題の実験から、
- 課題が難しい→属性干渉効果が小さい
- 課題が簡単→属性干渉効果が大きい
ということが言われていました。
つまり、「課題の難易度」というからみると健常者にとっては、
「逆サイモン課題>サイモン課題」ということで、逆サイモン課題に取り組むさいには、「注意の資源があまっていない」ということになるのかもしれません。
しかし、「低酸素脳症」の場合、「逆サイモン効果」がみられました。
ということは、「注意の資源があまっている」ということになります。
これはおかしくないでしょうか?
なぜなら「低酸素脳症」の人には簡単で、「健常者」にとっては難しいということになるからです。
そこで、実験者は次のように考えました。
健常者にとっては難しかったわけではなくて、「あまった注意の資源」をコントロールできたのではないか?
つまり、「あまった資源がコントロールできない」ために「属性干渉」が起きるというのが、エリクセン課題からわかったことですが、「コントロールできる場合もある」というのがここでの考え方です。
この仮説が正しければ、「低酸素脳症」の場合、「あまった資源のコントロールが基本的にできない」ということになります。
次のような「サイモン課題」が「低酸素脳症」の患者さんに対して行われました。
すると、「逆サイモン効果」が減少したのだそうです!
さらに・・・
この様に雑情報を増やしていくにつれて、「逆サイモン効果」も減少していったそうです。
このことから、「低酸素脳症」の患者さんは、「あまっていた注意の資源をうまくコントロールできない」という仮説と、健常者の場合「あまった資源はコントロールできる部分もある」ということ仮説が指示されたわけです。
この結果は、私たちの「注意の資源」が、雑情報を増やすことによってコントロールの可能性が示唆されたという意味で、貴重です。
低酸素脳症≒疲れがたまった健常者のような状態?
最後に、考えたいのが、この「低酸素脳症」についてです。
そもそも低酸素脳症とは、一体どういう状態なのでしょうか?
「低酸素脳症とは、循環不全または呼吸不全などにより、十分な酸素供給ができないことで脳に障害をきたす病気のことを指します」
(引用:国際幹細胞普及機構HPより)
ということです。
この定義から、「十分な酸素供給ができない」ことによって「脳がうまくはたらかなくなる状態」ということだと言えそうです。
誤解をおそれずに言えば。
で、大事なのはここから。
「十分な酸素供給ができない」ことの背景には、「循環不全」または「呼吸不全」があるということです。
「呼吸不全」に関しては、「そもそも酸素がとりこめていない状態」というふうに解釈することができます。
一方、「循環不全」は、「酸素はとりこめているけど、それが体内でうまく活用できてない状態」ということだと解釈できます。
なぜか?
なぜ、活用できないのでしょうか?
それは、「血液が循環していないから」だと言えます。
低酸素脳症は、脳細胞に酸素が十分行かなくなりことにより起こります。酸素が脳細胞に運ばれなくなる原因は大きく分けて2つあります。1つは血液が脳に、または脳の一部に十分行かなくなること(虚血)によって起こる低酸素脳症となるケース、そしてもう1つは、血液は循環しているが、血液が十分な酸素を含んでいないために(低酸素血症)、脳細胞が低酸素脳症となるケースです。
(引用:国際幹細胞普及機構HPより)
つまり、血液が循環していないから、酸素が脳に行き届いていないということです。
また、血液が循環しないことによって運ばれないものが他にもあります。
それは、「糖」です。
「糖」は人のエネルギーです。
車で言えば、「ガソリン」にあたります。
したがって、「酸素」と「糖」が運ばれない状態ということだとするならば、「脳がはたらかない」という状態になるというのは、ごく当然のことではないでしょうか?
ということは、「低酸素脳症」が普段から「脳が働かない状態」だとするならば、ニュートラルな状態で「あまった注意の資源」をコントロールできない状態だと考えられます。
このような前提に立つと、「健常者」にしてみても「頭がはたらかない」ときってありますよね?
例えば、低気圧の日にある「頭がぼーっとする」感覚や、空腹で「目の前のことに集中できない」という感覚は、もしかしたら、それに近い状態なのかもしれません?
雑情報を増やしたほうが、集中できる時がある?
ここまでの仮説を踏まえると、集中しやすい環境を作るためには、その時々の自分の状態を考慮する必要があることになります。
具体的には、疲れている時や、頭が重いときでも仕事を進めなければいけないことがあります。
そういうときは、図書館とか、静かな場所で仕事をやろうとすると、集中できない可能性があります。
ですので、あえて、カフェにいくとかするほうがはかどるのかもしれないということです。
ということですね。
まとめ
最後に、本エントリーの内容をまとめておわかれです。
- サイモン課題とは、「文字」情報がある「位置」に表示されたときに、その「位置」に反応する課題のこと
- サイモン効果とは、サイモン課題において「文字」と「位置」が一致している場合と、不一致の場合の反応時間の差のこと
- 逆サイモン課題とは、「文字」情報がある「位置」に表示されたときに、その「文字」に反応する課題のこと
- 逆サイモン効果とは、「文字」と「位置」が一致している場合と、不一致の場合の反応時間の差のこと
- 疲労がたまってるときは、静かな場所で勉強すると逆に集中できない可能性がある
参考文献
- 他者の「実在感」を伝える音とは?ー他者の存在に関わる聴覚空間情報が社会的サイモン効果を誘発
- 国際幹細胞普及機構ホームページ
- マジックにだまされるのはなぜか
引用文献
- 他者の「実在感」を伝える音とは?ー他者の存在に関わる聴覚空間情報が社会的サイモン効果を誘発
- 国際幹細胞普及機構ホームページ
- マジックにだまされるのはなぜか
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