【図解入り】インテーク面接とは〜聞き取り項目および進行方法について

臨床心理査定

【2024/2/11(日)更新】インテーク面接について図解を交えてまとめてます。

インテーク面接とは

相談機関ないし、医療機関にやってきたクライエントに対して行う初回面接のことをインテーク面接と呼びます。

ちなみに、このインテーク面接の位置付けを明確にするのは少しばかり複雑です。

というのも、学問的に捉える場合と、現場での位置付けが異なるからなんですね。

まず、学問的立場からインテーク面接を捉えると以下の様なイメージです。

※個人開業してるカウンセラーだったり、機関によってはこのような場合もあるのかと

インテークの流れ

つまり、インテーク面接の最終ゴールは、クライエントとカウンセラーの間で治療契約と治療同盟を結ぶことで、そこに至るまでに、ラポールを形成し、アセスメント(検査、面接、観察など)を実施し、治療仮説を立てると共に、目標を設定し、インフォームドコンセントを得た上で、最終的な治療契約・同盟にを結ぶといった手続きを踏みます。

そのため、”初回面接”と呼ばれるにも関わらず、必ずしもインテークがその1回で終わるとは限らない。

※インテーカー(初回面接専門のカウンセラーのこと)がいるか否かによっても違います

とにかく、上記のプロセス=インテークと考えるのならば、インテーク面接とは、”ラポール形成から治療同盟を結ぶまでのプロセスの総称”ということになるでしょう。

一方で、実際の現場(病院やクリニック)でインテークがどの様に位置付けられるかというと、以下の様なイメージでしょうか。

インテーク面接とは

つまり、インテークはラポール形成と査定をするために必要なステップということになりますね。

インテーク面接の目的

という訳で、どちらの考え方を採用するかによって目的は変わるのですが、一般にインテーク面接ではどの様な行為がなされるかというと、クライエントの悩みや問題について情報を収集するということです。

なぜなら、患者の依頼に応えて、相談や治療の機能を行うことは、何が問題か、何故そのような課題がこのタイミングで生じたのかを把握することから始まるからです。

しかし、それだけでは足りません。

上記のステップのように、当然ながら信頼関係を築かなければならないのです。

 インテーク面接の担当者は、決められた時間内に、①クライエントの問題について相互理解を得ることと、②クライエントと信頼関係を確立することの二つを達成しようとする。

(引用:平木典子,カウンセリングとは何か,朝日選書,p28より)

相手の立場からすれば、インテークはその後の継続支援を受けるか否かの判断材料でもありますから、上記2点を考慮するのは当然ですよね。

聞き取り項目

では、インテークでどの様な情報を聞き出せばよいのだろうか?具体的には、以下の様な項目がある。

インテークの聞き取り項目

ざっと目を通してもらえばいいと思うのだが、これらの情報をインテークで収集することになる。もちろん時間制限がある中での面接になるため、一度の面接で全てを聞き出そうと思ってはいけないのだが、施設ごとにその項目がある程度統一されてると思うので、あとはそのルールに従ったらよろしい。テンプレも作成しておいたので、リンク先を参照のこと。

インテークの進行方法

それでは、収集すべき情報の的が定まったところで、具体的にどの様に進行すべきかを語る。全体像は以下の通りで、全部で8行程存在する。

インテークの進行工程

では、1つずつ確認していこうかな。

査定目的の説明

クライエントをカウンセリングルームに案内したら、当然挨拶と自己紹介をするが、同時になぜ面接をするのかという点を伝えねばならない。クライエントに面接に望む心構えを持たせ、同時にその重要性を伝えることが意図だ。

「あなたがお困りになっていることについて、お伺いしたいと思います。お困りになっている点をはっきりさせることができれば、これから先の進め方もはっきりさせることができるだろうと思うからです」

あるいは、事前に主訴などを紙面に記入してもらってる場合は、次の様な導入もあり得る。

「こちらに書かれた主訴以外でも、今後の改善のヒントになることがあるかもしれないので、色々お聞きしたいと思います。」

問題の全体像を把握する

次に、クライエントの問題の把握に努めねばならないが、質問の仕方としては、オープンエンドな質問でクライエントの開示を誘発するのが良い。これによってクライエントの思いを自由に述べてもらうことができる。

「今気になってることお話いただけますか?」

このくらいの質問が良いのではないだろうか。また、クライエントの話を聞く際には、問題の所有者が誰なのか?という点には常に注意を払っておかなくてはならない。なぜなら、来所して目の前にいる人は実は、ただの被害者で、真のクライエントではない可能性があるからだ。

問題の整理

クライエントをよく観察し、ある程度話を終えたら、問題を整理せねばならない。その際に注意すべきは、問題がいつも1つであるとは限らないということだ。不眠が主訴だからと言って、抑うつや人間関係の悩みがないということではない。そこで、それぞれの問題の程度を測る質問をするのは非常に重要だと考えられる。

「ここまでいくつかの問題をお話頂きましたが、どの問題が一番重要だとお考えですか?」

問題の具体的理解

クライエントが問題を語る上で、漠然とした悩みを打ち明けるということはよくあるが、それをそのまま記録してはいけない。例えば、部下への不満をを語るクライエントが「顔も見たくない」と述べたとする。この”顔も見たくない”という描写については、どんな場面で?どのくらいの頻度で?どの様な感情なのか?という点を、我々は気にしておかねばならない。

そして、その様なクライエントの言葉を具体化するために、以下の様な枠組みを理解しておくと良い。

問題の具体的理解

問題の感情面

 第一に、感情という観点から問題を捉える方法がある。そのために、以下の様な質問を用いると酔いが、感情の種類や強さをきく。

「その時、あなたはどんな気持ちですか?」(感情の種類)

「それは我慢できないほどですか?」(感情の程度)

問題の行動面

 第二に、クライエントが問題場面で、現実にどんな行動をしているのかを聞き出さねばならない。あるいは、特定の行動をしなかったという点も重要になる。

「部下に苛立って、それであなたはどうしたのですか?」

問題の認知面

 第3に、次の様な質問で不合理な認知や信条はも炙り出しておくべきだろう。

「その問題に遭遇した時、頭の中にはどんな思いがありますか?」

問題の状況要因

 第四に、問題と結びついている特定の場所・時間・人物なども把握しておく必要がある。特にクライエントと<重要な他者>との人間関係は、問題の発生・持続に関わる要因として重要視されることが多い。

・「問題が起きる時はどんな状況でしょう?」

・「問題が起きる時期で、気づいていることはありますかか?」

・「この問題に特に関係していると思われるのは誰ですか?」

・「周囲の人はこの問題について何か言われてますか?」

問題の先行条件・残存効果

 第五に、問題の発生・持続や、その強化・消失に関わる要因を探索することも忘れてはならない。要因の種類として、感情・認知・行動・状況などから捉える。

・「問題が起きる前後で、感情の変化はありますか?」

・「問題が起きる前後で、考えの変化はありますか?」

・「問題が起きる前後で、行動の変化はありますか?」

・「この問題が起きた時の状況を話してくれませんか?」

・「その問題が起きたりなくなったりするのに何か関係がある人や出来事はありますか?」

また、クライエントが問題を訴える理由際の残存効果として、疾病利得がある。”風邪を引くとみんなからチヤホヤしてもらえる”という発想がそれだ。ただし、この問題について情報取集をする場合、最新の注意を払わねばならない。

「これは皆さんにお聞きしてるのですが、あなたの悩みの結果としてやらなくてすんでいることが何かありますか?」

クライエントの適応技能や資源

カウンセリングを受けにくる様な時点で、クライエントが物事のプラス面に目を向けるのは基本難しい。そのため、無理強いしてはならないが、クライエントの社会的・家族的・能力的な支援ないし資源は確認しおかねばならない。

「これに似た問題に遭遇した時、あなたはどうしましたか?」

クライエントの問題理解

 クライエント自身に問題理解を問う事で、カウンセラー側の理解も深めることができる。 それにより、問題のどの側面が強調され、どの側面が軽視されているのかもわかってくる。この様な点に配慮しなければ、心理士はクライエントの<抵抗>を避けることができないだろう。

「あなたの問題を簡潔に述べると、それはどういう悩みなんでしょうね」

問題発言の頻度・強さ・持続時間

問題や悩みの出現頻度・強さ・持続期間などは、問題理解のためにも必要な情報であるが、臨床的介入に先立っての基本資料として重要である。

現場に出て思うこと

ここからは、実際に現場にでて改めてインテークの際に重要だと考えられることをまとめておきます。

家族について

これは絶対に聞く必要があります。

なぜなら、カウンセリングに来る方とラポールを築く上で、重要なポイントが往々にして家族との関係性にあるからです。

どんな人か?

 父(母やきょうだい)、がどんな人か、つまり「人柄」ですね。これは絶対聞く必要があります。なぜなら、そこがクライエントさん自身のことを語る上の入り口としても後々や重要だからです。

「父は、ろくでもない人。でも、自分がそんな父に似てきているの嫌だ」

※架空の語りです

こんな語りがあった場合には、「どんなところが似ているんですか?」と聞けば、それは、父親のことをきいているようで、自分自身にことを語ってもらうための切り口になります。

家族との関係性

 愛着の問題を考える上で、特に両親とどのような関係性を築いてきたかは聞く必要があります。ここが不健全だと「言いたいことがまったく言えない」とか「親密な関係性を築けない」とかそんな問題があったりします。それぞれの家族のメンバーに対する語りの量とかにもそのクライエントの興味関心がでたりします。例えば、3人の子どもがいて、長女に対する情報量が多かったりすると、かなり思い入れがあるなという話になるので、そこにクライエントの重要な思いが隠されていたりとか、あるいは、逆に語りの少ない二人の子どもと向き合うことがつらくて語れないとかもあったりします。

年齢

 家族の年齢も大事です。例えば、クライエントが30歳で、兄が33歳という場合、3歳差というのは結構大きな問題だったりします。なぜなら、クライエントの中学入学と兄の高校入学のタイミングが重なるからです。この時、母親からすると、中学入学は2回目だけど、高校入学は初めての経験ということになります。その時に、母親の注意が兄に向きがちだったりするというようなことが起こりがちです。ですので、家族発達を考える上では、年齢はかなり重要です。

学歴

 家族の学歴も大事です。なぜなら、両親が高学歴だったりすると、勉強に厳しかったりして、「それが苦しかった」とかいうことがあったりします。あとは、大学まで順調にきたのは、実は親のレールに乗せられてきたため、いざ、就職となった時に、「自分では何もきめられない」とかアイデンティティの混乱にが強くている場合もあります。

出身(国籍)

 出身というのも大事です。例えば、出身が地方で夫の都合で、東京にでてきたけど友達も周りにはいないので、孤立しているみたいなこともあります。そういったときに、夫と情緒的なつながりがあればいいですけど、仕事ばかりで、夫の両親とも不仲みたいなことがあります。ここに子育てがはいってくると、鬱のストレス要因というには、十分ですね。

 また、最近多いなと思うのが、ハーフの方や外国籍の方です。これもまたアイデンティティの混乱に繋がる大きな問題をはらんでいます。

生育歴

続いては生育歴です。

重要人物の特定

 これは、家族だったりする場合もありますが、それ以外の人物であることが多い気がします。例えば、学校の先生、習い事の先生、バイト先の店長、祖父母、ペット、カウンセラー、亡き母や父、娘や息子etcです。重要人物を特定することは、目の前のクライエントに対してどのように関わればよいかという指標になります。ですので、生育歴の聞き取りで、本人がどん底にあった瞬間をどうやって乗り切ってきたかを聞くと、その人の存在があらわになることがあります。いまいち特定しきれないこともあったりしますが、そういう時は、コンボイモデルとか使ったりします。

進路について

 クライエントの価値観や、意思決定方略を知るうえで重要です。どこの学校に行ったかとかも大事ですけど、私立・公立の区分も重要です。例えば、小学校とか中学校で私立に行くというのは少数派です。そもそも、社会のレールに乗っていれば子供が自ら「私立学校に行こう」という発想を持つということはまずありません。にも拘わらず、異なるレールを走っているということは、周りの大人がその道を示さない限りありえません。では、だれが、それをしたのか?と考えると、十中八九「親」です。つまり、「親の影響力」を理解する上で有用です。

その人の価値(大切に思ってることや目標)

 これがはっきりしないこともありますが、絶対にあります。本人がそれと認識していないだけです。でなければ、わざわざ心療内科やら相談室にやら来ません。どうでもよくないから悩むのです。逆に言えば、それがクライエントの動機づけにもなりえます。例えば、「もう死にたい」と希死念慮を強く訴える人が、一生懸命働いている場合があったとします。ここには「死にたいのに一生懸命働く」という矛盾があります。ということは、一生懸命働くだけの理由があるわけです。そもそも「本当に死にたい」のだとしたら、わざわざカウンセリングなどこないでしょう。つまりどこかしらに「まだ生きたい」あるいは「死にたくない」理由があるわけです。それを特定すると、クライエントをエンパワーメントする上での大きな力になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました