この記事では、精神分析で用いられる転移と投影の関係について、僕の理解をわかりやすくまとめておきます。
こんな疑問がある方はご参考ください(^ω^)
- 転移と投影って同じことなの?違うの?
- 同じだとしたら、なんでわざわざ言葉を変えるの?
- 具体例は?
結論~転移と投影の関係は?~
結論からいうと、「転移≒投影」と考えて良いでしょう。
では、なぜ言葉が違うのかと言えば、転移は、治療場面に限定的に用いられる用語であり、一方、投影は治療場面以外でも用いられる言葉だということです。
それでは、それぞれの概念の定義を確認してみましょう。
転移とは?
転移とは、クライエントがカウンセラーに対して抱く感情の事です。
患者が治療者にあたかも過去の重要な人物に対して抱いていたのと同様の気持ちや態度を無意識的に向けてくることがある。これを『転移』と称する
引用:精神分析療法における転移・逆転移の問題より
※引用の具体的なページ番号などが知りたい方はこちら
例えば、↓↓このような例が転移だと言えます。

ここで注目すべきは、「過去の重要な人物に対し抱いていたのと同様の気持ちや態度」が、治療場面において持ち込まれているということです。
では、「過去の重要な人物」とは誰の事でしょう?
それは「恋人」かもしれませんし、あるいは、「親」かもしれません。
この例であれば、「たくさんいる」と言ってますので、「恋人」でしょうか。
つまり、「過去の重要な人物(恋人)」が、浮気性だったのか、多くの異性と遊んだりするタイプで、自分にも頻繁に連絡をしてくるし、遊びに行ったりしたけど、最終的に、「友達以上、恋人未満」から発展しなかった経験があるのかもしれません。
そこで、このクライエントさんが、「過去の重要な人物」に抱いていた「たくさんいる相手の中の1人なんでしょ?」という感情が、今、カウンセラーに対しても「たくさんいる患者の1人なんでしょ?」という感情として再現されているわけです。
これが「転移」ということになります。
ただ、実際は、こんなわかりやすいことは中々ありません(笑)
投影とは?
では、これを踏まえて、投影の定義をみてみます↓↓
自己のもつ否定的感情や観点を自己とは別個の外界に属するものとして知覚しようとすることによって内的葛藤を処理しようとする防衛機制
引用 : 防衛のアセスメント
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では、これを先ほどのセリフに照らしあわせてみると一目瞭然ではないでしょうか?
「私なんて、先生からすれば、たくさんいる患者の1人なんでしょう?」
この語り全てがクライエントさんの観点そのものです。
そして、その考えをあたかもカウンセラーが持っているかのように投げ入れています。
まさしく、「投影」です。
転移とは投影のひとつの形式であるが、Meier(1959)は、クライエントの投影を捉える治療者側の要因を鉤(hook)と呼び、クライエントの投影を鉤によって受け取ることが治療者に逆転移性効果(counter-effect)を及ぼし、その一連の過程を対照的に繰り返すことにより、弁療的弁証法の過程が進行することを述べた
引用 : 逆転移に関する考察ー分離と融合を巡ってー
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さて、これで「投影≒転移」と述べた意味がわかって頂けたでしょうか?
まとめ
さて、これで「転移≒投影」の意味が少しはわかったでしょうか?
最後に、本記事の内容を振り返ってお別れです(^ω^)
- 転移と投影は、概ね同じことを意味していると考えられる。
- 転移も投影も、自身の感情を他者に向けることという点では共通している。
- 転移=治療場面、投影=治療外場面、という点で違いがある。
ということなんですね~
それではまた(^^ゞ
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