この記事では、よく似た防衛機制の3つである「抑圧」「否認」「隔離」の違いについて、僕の理解をまとめています(^ω^)
3つの防衛機制の違いを理解することで、それぞれの防衛機制についての理解も深まるかと思います。
結論~3つの防衛機制の違いは?~
結論から言うと、抑圧・否認・隔離の違いは、「無意識に追いやる対象」です。
一覧表にまとめたのがこちらです。
※無意識に抑圧したもの「◯」、意識に残っているもの「×」

この事を念頭に、ひとずつ詳細を見比べていきます。
抑圧とは?
抑圧は「思考や経験」を無意識に追いやる防衛機制です。
ここでのポイントは、「感情は、意識の中にとどまっている」ことです。
抑圧とは、わかりやすくいうと「動機づけられた忘却」ということができる。DSMによると、「個人が、混乱を招くような願望、思考または経験を、意識の中から、排することによって、情緒的葛藤や内的・外的ストレス因子に対処すること。そのストレス因子の感情の成分は、関連する観念とは切り離されているものの、意識の中にとどまっている」とされている
引用: パーソナリティ・アセスメントにおける防衛機制の再検討
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否認とは?
次に、否認は「できごとを、無意識に追いやる」ことです。
わかりやすく言うと、「なかったことにする」みたいな話です。
ここでのポイントは、「事実も感情も」無意識に追いやる点です
知覚しているが認めると不安を引き起こすような現実の認知を拒否する
引用: 臨床心理学(New Liberal Arts Selection),有斐閣
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抑圧と否認の違い
では、この2つの違いはなんでしょうか?
実は、抑圧という防衛機制と、否認という防衛機制は、実際には区別することが難しいことが多いけれども、先ほどの抑圧に関する説明の後半部分「感情の成分は、関連する観念とは切り離されているものの、意識の中にとどまっている」という点が抑圧にはあり否認にはないということが大きな違いである
引用: パーソナリティ・アセスメントにおける防衛機制の再検討
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ということです。
つまり、こういうことです。
- 抑圧→感情は意識に残る
- 否認→感情も意識に残らない
隔離とは?
最後に、隔離です。
隔離は、「感情を無意識に追いやる」ことです。
ここでのポイントは、「事実」は意識に残ってる点です。
「物事、出来事」に伴う感情が切り離されて、押し込められており「感情」が自覚できないようにしておくこと
引用: 無意識で働く防衛機制と捉えるためのマニュアル作成-TATプロトコル分析を通して-
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つまり、「無になる」みたいなことですね。
抑圧と隔離の違い
では、この2つの違いはなんでしょうか?
抑圧が体験全体を抑え込んでしまうのに対し、隔離では、体験に対して、観念としては受け入れていて、感情の部分だけを抑圧しているということができる
引用: パーソナリティ・アセスメントにおける防衛機制の再検討
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ということです。
つまり、こういうことです。
- 抑圧→観念を無意識に追いやる
- 隔離→感情を無意識に追いやる
抑圧・否認・隔離の具体例
さて、冒頭の表の意味がわかったでしょうか?

最後にこの表に照らしあわせながら具体例を考えてみましょう。
クイズ形式にしてみましたので、あなた自身でも考えながらやってみてください。
第1問
「大切なパートナーが亡くなってしまった。でも涙がでてこない」
これは「隔離」ですね。
事実は認知していて、感情がそこに伴ってないからです。
第2問
「なんかよくわからないけどイライラしてる。特に何かあったわけじゃないけど」
これは「抑圧」ですね。
感情だけ、残ってるからです。
第3問
「役員になったなんて聞いてないけど?」
これは「否認」ですね。
役員決めした場に本人がいたにも関わらず、それがなかったこととして扱われています。
ちなみに、抑圧の場合は、「言われれば思いす」のですが、否認の場合、「言われても思いださない」という点で違いがあります。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
最後に本記事の内容をハイライトしてお別れです。
- 抑圧・否認・隔離の違いは、無意識に追いやる対象に違いがある
- 抑圧は、出来事に対する記憶を無意識に追いやる。
- 否認は、出来事自体を無意識に追いやる
- 隔離は、出来事にひもついている感情を無意識に追いやる
ということなんですねーそれではまた(^^)
引用文献
・パーソナリティ・アセスメントにおける防衛機制の再検討
・臨床心理学(New Liberal Arts Selection),有斐閣
・無意識で働く防衛機制と捉えるためのマニュアル作成-TATプロトコル分析を通して-
臨床心理士資格試験でも「防衛機制」は出題されています
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