臨床心理士資格試験向け〜効率の良い勉強方法〜

臨床心理士資格試験について

こんにちは。

クリタマ(クリニカルサイコロジストの卵)です( ´∀`)

今回の記事では、僕と同じくして、令和4年度の臨床心理士試験を受ける方向けに効率の良い勉強法をご紹介します。

  • 働きながらの勉強だとまとまった時間が確保できない
  • せっかく暗記したのに、ちょっと時間をおいたら忘れてしまう
  • もっと効率的に暗記したい

⬆️⬆️こんな悩みを抱えている方は参考になるのではないかと思いますので、ぜひご一読を( ^∀^)

理想の状態

この記事を読み終えた読者にどの様な状態になっていて欲しいかと言うと、以下3点が挙げられます。

  1. 適切な暗記方法および、復習サイクルを理解できている
  2. 記憶術の種類を知り、習得するまでステップが理解できている
  3. 学習を効率化するツールを知る

逆に言えば、この3点の中にあなたが求めている情報がない場合は、早々に離脱することをお勧めします。文章量が多いので。

記憶の全体像

 まずはじめに、心理学的な観点から捉える、”記憶”という概念について説明します。なぜなら、”効率的”に物事を進めるということは、無駄な作業と必要な作業の選別をすることに他ならないからです。ということは、絶対に絶対にその仕組みや構造を知るべきなのは言うまでもありません。

と、そんなことを言っておきながら実は、過去記事にそれをまとめてるため、詳しい説明は割愛し、ここではその記事で述べている記憶の構造を一望できる様に図にしてきました。

 そして、本エントリーの趣旨は、”いかに効率よく短期記憶の内容を長期記憶に移行させ想起できるか”かという部分に重点を置いてます。つまり、上図で言うと、オレンジ矢印で示した”維持リハーサル”と、”意味付け”の詳細を深掘りした内容になっていいます。

維持リハーサルについて

このパートでは維持リハーサルについて説明する訳ですが、まずはその全体像を図示しておきます。

この図では、学習をする際には、①覚える、②復習する、③思い出すの3ステップが存在し、どのステップについ解説がこの後なされるのかというイメージだけ持てれば十分です。

そして、維持リハーサルとは、物事を覚えるために”繰り返すこと”だと言えます。そしてこの”繰り返すための適切な方法”を深掘りしていくのがこの章立てのポイントになります。

最初の暗記は一度にたくさん

新しい物事を覚える際の方法(画像のピンク色の部分)について紹介しますが、ポイントは、一度に目を通す単語の数は増やせということです。

この結論の根拠は以下実験です。

実験参加者は、2つのグループに分けられ、それぞれ異なる方法で勉強した。方法①では、1日に20枚のカードを2回繰り返して勉強し、これを4日続けた。方法②では、別の20枚のカードを4つのグループにわけ、毎日1グループ(5枚)のカードを8回繰り返して勉強した。どちらの方法でも1日に勉強するカードは40枚なため、勉強時間は同じである。5日めにはそれぞれのカードを全て見直してもらい、6日目に行ったテストでどちらの再生率が高かったかを比較した。結果は方法①が方法②の2倍の得点を算出した。

(引用:実験心理学が見つけた超効率的勉強法より)

で、これを図にしたのが⬇︎こちら

このような実験です。ただ、これだけでは書籍の内容を引用したにすぎないため、本ブログでは実際にこの手続きを再現し、自分にもこの結果が適用されるのかを検証することで、第二の根拠としました。

自分を被験者にして検証した結果

結果は、6日目の正答率50%vs10%で、方法①の20枚のカードを一度に1日2回、目を通す勉強法に軍配があがりました

方法①の勉強法(20枚のカードを1日に2回学習する)

※暗記課題は、国名と首都を覚えることとした。

方法②の勉強法(20枚のカードを4つのグループにわけ、1日5枚のカードを8回繰り返す)

この結果からも、一度に多くの枚数を暗記している方法や有効である考えられます。

そして、このように、1枚目のカードを見てからもう一度同じカードを見るまでの間隔を長く取ることによって、復習の効果が適切に得られることを専門用語で、分散効果と呼ぶそうです。

ということで、次の章からは、この分散効果について触れていきたいと思う。

集中学習をしてはいけない

ここで説明するのは、下図のピンクで示した部分になります。

ここでの結論は、”集中学習ではなく、分散学習をしろ”という話なわけですが、そのためにはまず、集中学習と分散学習とは何か?と言う話をする必要があります。

分散学習と集中学習 学習時間の配分のしかたに応じて,適当な休憩をはさんだ〈分散学習〉と,休みなしに連続して取り組む〈集中学習〉とに分けることができる。

引用:コトバンクより

 つまり、何かを覚えようとするときは、適切な時間間隔を空けて勉強しろというのがここでのメッセージになります。

分散学習をする根拠

そこで、分散学習が推奨されるのかという根拠を示していきたいと思います。

ある実験で、実験協力者は、集中学習と集中学習をしない群にわけられ、集中学習する群は、ある課題を行って理解した後、続けて同じ内容の学習を行った。(中略)集中学習する群は、集中学習しない群の4倍の時間練習問題をこなした。結果は、1週間後のテストでは、集中学習をした群の方が成績が良かったが、3週間後では成績に差がなかった。

(引用:実験心理学が見つけた超効率的勉強法)

※下図の”さらに学習”は、「集中学習」のことを意味します。

この結果から、集中学習をすると、忘れる速度が早いということです。

ただし、三週間後の正解率はどちらもよくないため、少なくともここで言えるのは、長く覚えておくためには、集中学習はよくないということだと考えられます。

しかし、これだけでは、集中学習が良くないという証明をしたに過ぎないので、次に、分散学習の効果を立証する実験をご紹介します。

分散学習をすべき理由

 ここからはいよいよ、集中学習ではなく、分散学習をすべき根拠を説明します。下図の赤枠の部分ですね。

段階としては、1つ前の章立てと同じ位置です。

集中学習ではなく、分散学習をすべき根拠

この分散学習の効果を示すために以下のような実験が行われた。

実験参加者は、歴史的な事実を覚える学習に取り組み、学習をしてからしばらくして復習を行った。学習から復習までの時間を”間隔1”と呼び、0日から105日とした。復習では、全く同じ問題を学習した。復習後しばらくしてから、どれくらい覚えているかを調べるテストが行われた。復習からテストまでの時間を”間隔2”と呼び、7日と35日の2通りとした。様々な国から総勢、1354名がインターネットを通して実験に参加した。間隔1と間隔2の長さによって、参加者をグループわけした。

引用:実験心理学が見つけた超効率的勉強法より

文字でみるとわかりづらいと思うので、⬇︎に図示しておきました。

⬆️の実験では、テストが何日後に行われたにせよ、復習を当日にした場合の成績がもっとも悪くなった結果が得られたそうです。つまり、以上の結果が、復習間隔を開けた勉強法である、”分散学習”が有効であるということの1つの証明になっているのです。

ただ、ここで問題になってくるのは、その分散学習を行うための適切な間隔、すなわち、復習サイクルである。

分散学習のサイクルについての話

今のステップは⬇︎こちらです。

さて。ここまでは、「集中学習ではなく、分散学習をすべし!」と結論づけした、根拠について解説してきました。

しかしながら、先ほどの実験では、テストに対し、復習を1回しかしておらず、2回目以降の復習をする場合のサイクルが定かではありません。そこで、次の実験では、”2回目以降の復習は等間隔に行え”という結論が導かれています。

実験参加者は、単語を覚える学習を行った。その後、間隔をあけながら、復習のためのテストを3回行った。3回めの小テストの10分後、あるいは2日後に最終テストが行われた。グループ①では復習間隔を5日ずつ均等にとり、グループ②では復習の間隔を1日・5日・9日と徐々に伸ばしていった。

(引用:実験心理学が見つけた超効率的勉強法より)

この実験を図解すると⬇︎のようになります。

この実験のこの結果、最後の復習(小テスト)をしてからテストが2日後の場合は等間隔に復習をした群の方が成績がよかったが、テストが10分後の場合復習間隔を伸ばした方が、成績がよくなった。つまり、この実験から、最後の復習からテストまで時間がある場合は、等間隔で復習した方が良いし、テストの直前に最後の復習のタイミングを持ってこれるのであれば、復習感覚を伸ばした方が良いということになります。

ただ、どうやらここでのポイントは、1回目の復習において、日数を長くとったか(5日)、それとも短くとったか(1日)という部分のようです。

つまり、最初の復習において、日数を1日しか取らなかったグループ②では、学習形態として、「集中学習」に近いものであったためにこのような結果になったという見方です。

というのも、分散学習の復習サイクルとして推奨されているものは、復習間隔を一定にするよりも、少しずつ伸ばしていくというやり方が現在ではオーソドックスなようです。

ですので、ここからは、代表的な分散学習のシステムを紹介していくことにします。

2回目以降の復習は一定期間に保つことへの批判

先ほどの実験結果からは、分散学習の際には”復習間隔を一定にしろ”という結論が導かれましたが、実際は、復習間隔を伸ばしていく手法の方が広まっているようです。おそらく、他にも比較研究が行われ、その結果、「復習間隔は徐々に伸ばしていけ」という見解が得られたのでしょう(その根拠をみてはいませんが)。というわけで、最新の分散学習システムをご紹介しておきます。

分散学習システム① Litner System

その1つに、Litner Systemというものがある。

Leitner (1972) proposed a different spaced repetition algorithm intended for use with flashcards. It is more adaptive than Pimsleur’s, since the spacing intervals can increase or decrease depending on student performance. Figure 3 illustrates a popular variant of this method.

引用A Trainable Spaced Repetition Model for Language Learning

 Litner Systemとは、指数的に復習間隔を伸ばしていき(この場合2倍ずつ)、間違えた問題については、戻っていくという手法。具体的には、dogという意味の単語を学習した場合、1日後、2日後、4日後と伸ばしていき、8日後にも正解すれば次の復習は16日後であるが、間違えた場合は、8日後に行うというものである。つまり、先の実験では、間違えた場合の問題の復習を考慮していない点で違いがある。

分散学習システム② ×3式

 一方で、Litner Systemについて、先の論文では”もっとも代表的なサイクル”としてしか触れられていないが、実際は復習サイクルをどこまで伸ばして良いのかと言う点に疑問が残る。それは、K8Kさんの”×3式という分散学習を推しているのだが、このシステムでは3の倍数で指数的に復習間隔を空けている。また、問題を間違った時は、復習間隔を最初からやり直すという点でもLitner Systemと異なっている。このシステムのソースが明らかにされていないため、眉唾なところはあるが、ぜひこれらの分散学習でどれがもっとも効果的な手法なのかを自分自身を被験者として検証すべきだろう。

分散学習システムの検証

そこで、自身を被験者として、分散学習システムの検証をLitnerシステムと×3式の比較を行いました。

試験デザイン

14日間それぞれの分散学習システムを用いて単語の意味を暗記する。14日学習後、1日間空け、16日目に実施するテストの再生率を比較する。

【評価項目】単語の意味の再生率

①Litner System⇨1・2・4・8・16・32

(間違えた場合は、1つ前に戻る)

【暗記対象】韓国語(食べ物)

①음식、②마실것、③고기、④생선、⑤닭고기、⑥야채、⑦과일、⑧곡식、⑨조미료

②×3式⇨1・3・9・27

(間違えた場合は1番最初に戻る)

【暗記対象】韓国語(乗り物)

①전철、②지하철、③버스、④택시、⑤자동차、⑥자전거、⑦비행기、⑧열차、⑨기차

結果

どちらも8問/9問中正解で、どちらの分散学習システムを使おうと結果は変わりませんでした。ただし、問題数を増やしたり、期間を変えることで差は出るかもしれないので、この検証を参考に自分に合った復習サイクルを模索してみてください。

学習ツールの紹介

最後に、分散学習をするためのツールとしてAnkiというアプリを紹介します。僕自身、臨床心理士資格試験の勉強にこのアプリを使ってるのですが、分散学習システムを取り入れいるため、抜群におすすめです。

しかも、PCで使う分には無料です(スマホアプリだと有料)。

英単語を覚える時なども、今までは、エクセルシートなどで管理してましたが、今では、全てこの”Anki”で管理してますので、ぜひ使ってみてください。

精緻化について

さて、ここまでは、維持リハーサル(復習のやり方)についての話をしてきたわけですが、続いては、”精緻化(意味づけ)”についての話を展開していこうと思います。図で言うと⬇︎赤枠の部分。

”意味づけ”の概要については、過去記事で説明しているので割愛しますが、要は意味づけをすると、”10回維持リハーサルしなければけなかった”問題を1回で記憶に定着させる事ができるということです。故に、維持リハーサルの方略とこの精緻化を併用することで更なる効率化が期待できるわけですね( ̄∀ ̄)

そして、精緻化が有効であることの根拠として、2つご用意がございます。

1つは、直接体感していただくものと、もう1つは、僕自身を被験者として検証したデータです。

精緻化(意味づけ)の効果

それでは、それでは、”百聞は一見にしかず”ということで、記憶術を活用した体験的理解による根拠を示したいと思います。

まずは以下のテストを時間を測って行って欲しい。

テスト①以下の数字を覚えなさい

3.14159265359

大事なのは、この数字の羅列を覚えるのに、どの程度時間がかかったか?

あるいは、どの程度正しく思い出せたか?ということです。

それでは、同じ手順で次のテストも行ってみてください。

テスト②以下の数字を覚えなさい

0120-33-0843(朝日が、さんさん、おはよーさん)

どうでしょうか?

直感的だが、短時間で覚えられれた上に、仮にこのテストが1週間後であったとしても覚えられてる気がしませんか?

そう、つまり、ここに精緻化(意味づけ)をするために、記憶術を活用するメリットがあるわけです。

精緻化(意味づけ)の技① ”場所法”

では、以上を踏まえ、第一に、絶対に覚えるべき記憶術がこの場所法です。

この方法は、通学路や、職場への道のりにある”目印”に、記憶したい情報を紐つける記憶術です。

例えば、コンビニ→dog、本屋→fox、公園→bag、など、自分の自宅からの最寄駅にある”特定の場所”に想起したい単語を結びつけます。

どの場所に何を結びつけるかが決まったら、その道を歩くイメージを頭の中で行い、『コンビニで、ホット”ドッグ”を買いに行ったら、店から出るときに”犬”に吠えられ怖かった』、『本屋から会社にfaxを送ろうとしたら、文字がfoxになっていて思わず笑ってたら、顔が狐見たいですねと言われ失礼なやつだなと思った』とか、そんなこじつけで構わないの簡単なストーリーを構成していきます。

この時のポイントは、できるだけ感情が伴う様なストーリー構成がいいということです。

なぜなら感情を伴う出来事を人間は忘れづらいからです。

場所法が有効でることの根拠

ここでの根拠は、自分自身を被験者として、”場所法”と”維持リハーサル”(ひたすら繰り返す方法)で単語を記憶し、その再生率を比較したものを紹介しておきます。

検証デザインは次の通りです。

以下の韓国語 の意味を覚える。

場所法⇨ ①색깔、②빨강、③노랑、④초록、⑤파랑、⑥흰색、⑦검정、⑧회색、⑨보라색、

繰り返し⇨ ①머리、②얼굴、③가슴、④허리、⑤손목、⑥손가락、⑦다리、⑧무릎、⑨장딴지

それぞれの暗記法で記憶した後、再生テストを合計3回実施し、この時の正解数を評価し、両技法の効果を比較することとしました。

再生テストのタイミングは、①暗記直後から10分後、②1日後、③2週間後の計3回。

暗記対象としてハングルを選んだのは、僕が過去にハングルを学習した経験がなかったためです。

また、問題項目数を9つにしたのは、副次的に記憶の二重貯蔵モデルも確認しておきたかったということがあります。

そして、結果は以下の通り。

この結果から、状況に応じて両技法を使い分けることが最も効率的であるということが言えそうです。例えば、暗記直後にテストが行われるなら、維持リハーサルで対応することが望ましいと考えられます。なぜなら、場所法より2分21秒少ない時間で暗記ができ、かつ、10分後のテストでは、正解率を56%も上回っているからです。

一方、目標とするテストまで比較的時間が空く様であれば、 場所法を使うのが望ましいと考えられます。なぜなら、2週間後のテスト正解率は、場所方が55%、繰り返し法は0%という結果になったからです。

以上のことから、長期的に見た場合、場所法を用いた方がより少ない労力で復習ができると言えそうですね( ´∀`)

記憶術が有効な理論

以上の根拠から、記憶術の効果についてはわかっていただけたと思うのだが、最後にその理論について説明しておきます。

 なので、冒頭で説明した記憶の仕組みについてもう一度確認しておきますが、以下の図は、記憶術を使わなかった場合の記憶のプロセスをまとめたものです。

①記憶対象Xに注意を向け、②短期記憶で一時的に保持し、③維持リハーサルで長期記憶に移行させ、④必要なときに想起するのです。

一方、記憶術を使った場合、かなり極端にすると、下図の様になります。

①記憶対象Xに注意を向け、②長期記憶で保管し、③必要なときに想起します。

つまり、短期記憶から長期記憶への移行作業をショートカットできるということになります。

だから、効率的なのです。

では、なぜその様なショートカットが可能なのかというと、普通の暗記方法の場合、記憶対象を思い出すために記憶対象Xを覚えようとします。

一方、精緻化を活用した記憶術の場合、長期記憶に保存されている”既存の記憶”に”記憶対象X”を結びつける事で、間接的に”記憶対象X”を思い出そうとします。

間接的と言うと、逆に非効率な印象を受けますが、それこそが、記憶の定着率を向上させる鍵になっていると言えます。

なぜなら、既存の記憶はすでに長期記憶に保管されているため、そこに紐つける事で、長期記憶に引っ張り込まれやすくなると考えられるからです。

例えるなら、リポビタンDのイメージ。崖を登ろうとするときに、自分1人で登ろうとするよりは、誰かに引き上げを手伝ってもらった方が楽ですよね?それと同じ原理です。

まとめ

以上、効率的な維持リハーサルの方法と精緻化について説明してきましたが、冒頭に僕が述べたコミットメント、覚えているでしょうか?

以下の3項目でしたね。

  1. 適切な暗記方法および、復習サイクルを理解できている
  2. 記憶術の種類を知り、習得するまでステップが理解できている
  3. 学習を効率化するツールを知る

これらの方法を理解し、運用できれば、最小限の努力で最大の結果を残すことができるはずです。

臨床心理士資格取得に向けて頑張りましょう。

それではまた٩( ᐛ )و

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