こんにちは。
クリタマ です。
この記事は、⬇︎このような方々に向けて書いてます。
- 周りの人に「思考制止」の説明を求められたけど、うまく説明できなかった
- 臨床心理士の資格試験で思考制止に関する問題が出題されたけど、自信を持って選択できなかった
ですので、この記事を読むことで、
- 「思考制止」をわかりやすく人に伝えられるようになる。
- 臨床心理士資格試験で思考制止に関する問題が出題されたら、正解が選べるようになる。
ということが期待できます!
結論〜思考制止とは〜
思考制止とは、思考障害(思考過程の異常)の1つで、「考えの進みがゆっくりになる」ことです。
それに伴って、会話のペースもゆっくりになります。
ですので、
「思考制止って何ですか?」
と聞かれたら、
「考えるペースが、ゆーっくりになることです。」
と答えましょう。
思考の過程が平均して遅く(連想から次の連想までの時間が長く)、会話が先に進まないことを思考制止(抑制)という。思考の目標も十分には追えない(Ⅱ-9参照)。面接者が忍耐強く待てば回答が得られる。連想的着想が少なく、言葉数も少ない。主観的には「考えが浮かばない」「考えがはっきりしない」「頭が空だ」「集中できない」などと訴える。うつ病で多く見られる。ただしうつ病の者の回答の遅れは不安などによることもあるので注意が必要である。
(引用:精神・心理症状学ハンドブック,p92)
学術的な説明は、上記のようになりますが、ここで、幾つかポイントがありますね。
太字にした部分を、1つずつ追っていきます。
会話が先に進まない
まず、「会話が先に進まない」ということです。
そもそも「思考」というのは、他人が何を考えてるかなんてわかるわけがありません。
ですので、その判別の指標として「会話のスピード」を追うわけです。
例えば、「昨日は何食べた?」と聞くと「・・・・(5秒後)チャーハン」みたいな返答がなされるわけです。
うつ病の人に、こういう症状があることを知らないと「なーんか、この人話が進まないんだよなぁ(イライラ)」という気持ちが湧いてきたりすることがありますが、そういう自分の感覚もバロメーターと言えるかもしれません。
思考の目標も十分に追えない
思考制止を、買い物に例えてみると、「10分ですむ買い物に、1時間かかるみたいな」そんな感じの現象ではないでしょうか。
では、なぜ、1時間かかるのといえば、「目標が追えない」からです。
つまり、⬇︎こういうこと。
トイレットペーパー買いにスーパーにきたのに、「何しにきたかわからなくなる(=目標が追えない)」ので、そこで固まる。
一般的な思考さんの場合、あたりを見回して、トイレの標識をみたら、「あー、トイレットペーパーね」とか、「買い物リストをメモしてたんだ」とか、「電話して聞いてみよ!」とか、そんな風になったりすると思うのですが、思考制止さんの場合「何しにきたんだっけ?・・・・・」、みたいに「・・・」の状態が続くわけです(=連想も言葉も少ない)。
「・・・」が続くと、結果「目的がわからない」ので「動きも止まる」みたいな話になるのかなと。
ただ、時間がたてば「ああ、トイレットペーパーだ」という時がくるので、目的にはたどり着けるわけです。
ちなみに、周りに目移りしすぎて、結果トイレットペーパーを買ってこないのが「観念奔走さん」です。
一方、「思考制止さん」は、目移りせず、ずっと「・・・」です。
だからこそ「考えが浮かばない」とか「頭が空だ」という語りがなされるのだと考えられます。
臨床心理士資格試験において、思考制止が問われることがある
それでは、この「思考制止」ですが、臨床心理士資格試験においては、どのように出題されるのでしょうか?
過去問の傾向を見ると、以下の2点をおさえておけば良さそうです。
- 症状の簡単な内容
- 症状と疾患の組み合わせ
具体的には、以下の正誤がわかればOKです。
- 思考制止は、思考活動が遠回りで、結果的に話もまわりくどくなることを言う(症状の内容)
- 思考制止は、主に、統合失調症にみられる思考障害の1つである(症状と疾患の組み合わせ)
正誤と解説
まず、「1」の問題は、「×」ですね。
これは「迂遠」の説明です。
思考制止は、「遠回り」ではなく「その場で停滞」することでした。
続いて、「2」の問題も「×」ですね。
思考制止がよくみられるのは、「統合失調症」ではなく「うつ病」だからです。
ただ、僕が実際に統合失調症の患者さんと相対している時には、思考制止に該当するような現象があると思ってるのですが、あれはなんと説明すればいいのでしょうね?
1つは、薬の副作用と捉えるか、あるいは、厳密にいえば「思考制止」は主に、「うつ病」にみられる思考障害の1つという風に捉えるかということなのでしょうが、おそらくどちらもあるのでしょうね。
ただ、試験問題を解く上で、大事なのは、「一般的にどっちが正解か」という視点が大事という目で取り掛かるのがよさうです。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
思考制止がどんな症状が理解は深まったでしょうか?
最後に、本記事の振り返りをして今回もおわかれです。
- 思考制止は、思考障害の1つで、考えの進みがゆっくりになる症状である
- 思考制止は、主にうつ病にみられる症状の1つである
- 臨床心理士資格試験においては、思考制止の内容と、よくみられる疾患との組み合わせが問われる傾向にある
ということになります。
それではまた次回。
お世話になった書籍など
①必修精神医学
②心理・精神症状学ハンドブック
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