観念奔逸とは〜具体例を交えて〜

症状について

こんにちは。

クリタマ です。

この記事は、思考の過程の障害のうち、思考の早さの異常である「観念奔逸」について、僕の理解をまとめておきます。

  • 観念奔逸の説明を求められたけど、正直、自分もよくわからない
  • よくわからないから、臨床心理士の試験問題でも正解できない

こんな悩みのある方に役立つであろう記事になっています。

ですので、あなたが、この記事を読み終わったら、

  • 観念奔逸がどんな症状なのか、人に説明できる
  • 臨床心理士資格試験に、「観念奔逸」の問題が出題されたら、確実に正解できる

こんな状態になっているであろうことを目指します。

それでは本編に参ります。

結論〜観念奔逸とは〜

まずは、結論から入ります。

観念奔逸とは「考えが次々にわいてきて話にまとまりがなくなること」だと言えます。

例えるなら「本来の目的を忘れて、買い物から帰ってきちゃう」ような現象のことを言います。

※僕の理解としてのイメージです。

詳しい説明に入る前に、⬇︎こちらのスライドをご覧ください。

僕の言わんとすることが伝わったでしょうか?

それでは、ここで、観念奔逸の学術的な定義を確認しておこうと思います。

思考の過程が早く(連想から次の連想までの時間が短く)、注意が逸れやすく(転導性亢進 distractability)、連想から次の連想への進行は理解可能であるが、課題の決定傾向が薄れていることを観念奔逸(思考奔逸)という。個別の連想はわかるものの、全体としてのまとまりがない。

(引用:精神・心理症状学ハンドブック,p91より)

では、この定義に沿って、先ほどの「本来の目的忘れて、買い物から帰ってきた人」の例を照らし合わせみます。

まず、観念奔逸を理解する上で、大事なのは、「課題の決定傾向」です。

これは、わかりやすく言い換えると「目的」ということになります。

例でいうと、目的は「トイレットペーパー」でした。

ですから、「課題の決定傾向が薄れる」というのは、「トイレットペーパーを買う」という目的忘れてしまいがちであることを意味します。

先ほどの方は、見事に忘れていました。

次に、「注意が逸れやすく」という部分ですが、これは、買い物中に「ひたすら目移りしている」ことを意味します。

目移りするから、目的忘れちゃうってことなのでしょう。

最後に、「思考の過程が早く」という部分ですが、つまり、「ひたすら目移り」が2倍、3倍のスピードで行われるようなイメージです。

普通なら、パンコーナーによったら、まあ数分はそこに滞在すると思うのですが、10秒には、ネイルに目移り、そのまた10秒後には、マンガに目移りみたいなことだと理解しています。

臨床的な具体例

では、観念奔逸のイメージを掴んだところで、もう少し臨床場面に寄った具体例をみておくことにします。

「どうして入院したのですか?」

「入院ですか。それは私の弟が私のことを病気だ病気だといいましてね、弟はそれはひどい人間なんです。小さい時はよく山へ連れていってやったりしましたのにね。あの山には桜がきれいに咲いていて、桜はいいですね。花は桜木、人は武士なんて、(中略)胃癌もいやな病気ですが肺癌も困りますね。私の妹は腸チフスで死にました。」

西丸四方(1957).精神医学入門.南山堂, p144より

これも先ほどの定義に照らし合わせてみると、まず、「入院した理由を答える」という目的に答えていない。

そして、自分で発した言葉から次の連想が進み、「注意が逸れる」ことの繰り返し。

で、「思考の過程が早い」ということですね。

観念奔逸がよくみられる疾患は?

それでは、この「観念奔逸」はどのような精神疾患にみられるのでしょうか?

それは「双極性障がい(躁うつ病)」だと言われています。

観念奔逸は躁病で多く見られるが、統合失調症や器質性疾患でも見られる

(引用:精神・心理症状学ハンドブック,p91より)

臨床心理士資格試験で出されるであろう問題

では、以上を踏まえ、臨床心理士資格試験において、次のような問題が出題されたとしたら○か×どちらが正解でしょうか?

  1. 頭の中にアイデアがとめどなくわいてきて、話題が次々に変わることを「観念奔逸」という
  2. 観念奔逸は、主に、双極性障害の躁状態においてみられる
  3. 観念奔逸は、統合失調症でみられることはない

簡単ですよね?

正解は、「1)→○、2)→○、3)→×」でした。

お世話になった参考文献

①精神・心理症状学ハンドブック

②精神医学入門

③必修精神医学

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