半側空間無視とは?わかりやすく、まとめてみた

症状について

初めまして。

クリタマです(^ω^)

この記事では、半側空間無視について僕の理解をできるだけわかりやすくまとめています。

結論~半側空間無視とは?~

半側空間無視とは、主に高次脳機能障害にみられる症状の1つで、自分の左側ないし右側に意識が向かなくなることだとあると考えられます。

「半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect : USN) は,損傷大脳半球と反対側の刺激に気がついたり, 反応したり,その方向に向いたりすることが障害されている病態である。」

(引用:半側空間無視,p86左段落1-4行目より)

そして、半側空間無視には、特に「左側に意識が向かなくなる」ケースが多いようです。

「頻度は右半球損傷で報告が多く特に急性期で70~80%程度,慢性期で 40%前後,左半球損傷による右半側空間無視は0~38%といわれている(杉原ら 2001)」

(引用:半側空間無視,p86左段落1-4行目より)

つまり、右半球を損傷すると、左半側空間無視が起きるわけですが、その割合が多いということになります。

具体的な症状にはどんなものがある?

では、左側に意識が向かなくなることで、どのような問題が起きるのでしょうか?

想像するだけで、困りごとのオンパレードです。

「ベッドサイドでは 『顔や視線が健側を向いている』,『斜めに寝て左側の手足の位置に無頓着』,『座っていても患側に傾 く』,『患側にいる人に気付かない』などの症状が みられる」

(引用:半側空間無視,p86段落5-9行目より)

また、文字情報に対しても次のようなことが起きるそうです。

「文字言語の読字の障害では,①へんを忘れてつくりだけを読む(「体」→「本」),②熟語の左を省略(「消しゴム」→「ゴム」),③左側の文字の置換 (「メダル」→「ペダル」),④左側の文字の置換と 付加(「5 グラム」→「プログラム」)などの症状 がみられる」

(引用:半側空間無視,p88左段落1-6行目より)

半側空間無視を疑似体験~線分二等分課題とは?~

ちなみに、半側空間無視を調べる課題の1つに「線分二等分課題」とよばれるものがありますので、

ちょっとやってみてください↓↓

「それぞれの線のちょうど真ん中だと思うところに印をつけてください」

他にもある検査~絵の抹消課題~

他にも、半側空間無視を調べる課題として「絵の抹消課題」なるものがあります。

こちらもちょっとやってみてください。

「↓この中か、☆にだけ斜線をひいてください」

はい、いかがでしたでしょうか?

半側空間無視があると、「線分二等分課題」や「絵の抹消課題」において、このような結果が得られるようです。

ただし、1つ注意しておかなければならないのは・・・

「半側空間無視=どちらの課題も正解できない(左側をとらえられない)わけではない」ということです。

半側空間無視の患者のなかには、図2-2のような抹消課題では半側空間無視の症状を示すが、図2-3のような線分二等分課題での症状を示さない患者がいたり、また、その逆のパターンの患者がいたりというようなことが頻繁に見られる

引用:マジックにだまされるのはなぜか「注意」の認知心理学p49 7-11行目より

半側空間無視は目が見えないわけではない

ここまでの事実を踏まえると、「半側空間無視」は、視力的な問題なのかな?

と思った方もいるかもしれませんが、そうでないということがわかっているようです。

では、一体なぜ、そのようなことが起きるのかといえば、一説では「注意」の問題なのだそうです。

半側空間無視が注意の問題であることは、線分二等分課題のやり方を少し変えることでもわかる。患者に、図2-3のような線分二等分課題の三本の線を見せ、そのうちの一本の線分を指でなぞることを指示すると、右端から始めて、左端までなぞることができる

引用:マジックにだまされるのはなぜか「注意」の認知心理学p39,6-8行目より

ただし、すでにお伝えした通り、これが「注意」の問題というのは、1つの見方にすぎないようなので、この程度でウンチクたれないゆにすることには、それこそ注意が必要ですね(笑)

発現機序には、注意障害説、方向性運動低下説、表象障害説などがある

(引用:半側空間無視,p86 冒頭の要旨4^5行目より)

半側空間無視には、左(右脳損傷)が多い理由

ちなみに、「半側空間無視」についての記述をみかけると、「左半側空間無視」が前提であるように感じることが多々あります。

それは、この記事の冒頭でも示した通り、「左半側空間無視」が多いからというのが、1番の理由だというのはわかります。

しかし、ここで疑問なのは、「なぜ、左に多いのか?」ということです。

この疑問については、どうやら↓↓こちらの見解が有力なようです。

この説は、右半球の頭頂葉あるいは側頭葉にある注意中枢は、左右両方の視野を受け持っているのに対して、左半球のどこかにある注意中枢は、右視野だけを受け持っていると仮定する。右半球の注意中枢が壊れると、そこが受けもっている左右の視野全体に注意をすることができなくなる。しかしながら、左半球の注意中枢が働いているので、右視野には注意できる。ゆえに、左の半空間無視だけが残ることになる

引用:マジックにだまされるのはなぜか「注意」の認知心理学p50,最終段落1-5行目より

文章として理解しようとすると、少しわかりづらいので、以下のように図にしてみました。

半側空間無視には、どのような支援が有効か?

これが1番大事なわけですが、なんとなく

「左側を忘れないようにしてね」

と声かけすれば、わりといろんな問題が解決しそうにも思います。

しかし、そうは問屋が卸さないのです。

しかし問題は、誰かからそう指示されない限り、自発的には左のほうに、注意しないところにある。つまり『自分は左側に注意が向かない』という自分の状態を絶えず意識しておくことが難しいのである。

引用:マジックにだまされるのはなぜか「注意」の認知心理学p42,3-5行目より

ちなみに、このように、自分の病態を意識できないことを「病態失認」というそうです。

そうすると、この病態失認がクリアできれば、半側空間無視のある患者さんのQOLは高まりそうです。

なので、リハビリ施設などでは、右手に「左」と書いたりするそうです。

最後に、認知障害のリハビリテーションガイドラインに掲載されている、半側空間無視への対応について引用させていただきます。

半側空間無視に対し、視覚探索訓練、無視空間への手がかりの提示などが勧められる(グレードB)。また、プリズムレンズの装着、左耳への冷水刺激、無視空間への眼振の誘発を行う視運動性刺激、無視側への体幹の回旋、左後頸部の筋への振動刺激、以上の治療手技の組み合わせなども勧められる(グレードC1)が、治療の永続的効果、日常生活動作への般化については、十分な科学的根拠はない。

引用:主な障害・問題点に対するリハビリテーション 2-10.認知障害に対するリハビリテーション8-13行目より

ここで、気になったのが「左耳への冷水刺激」という部分でしたが、これはなんとなく外発的注意に通じるものがあるのではないでしょうか?

外発的注意は「視覚」に的を絞った概念ですが、「反射的に向けられる注意」という意味では、「肌感覚」を利用したものであると考えられます。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

最後に、本記事の内容をまとめておわかれです(^ω^)

  • 半側空間無視は、自分の左側ないし右側に意識が向かなくなる症状
  • 高次脳機能障害によくみられる
  • 半側空間無視を見極める方法として、「線分二等分課題」や「絵の抹消」などがある
  • 半側空間無視は、目が悪いわけではない
  • 半側空間無視に「左」が多いのは、「右脳が視界の両側を担当している」から
  • 半側空間無視の支援には、視覚探索訓練、無視空間への手がかりの提示などがある

ということでしたね~

それではまた(^^ゞ

引用文献

①マジックにだまされるのはなぜか

主な障害・問題点に対するリハビリテーション 2-10.認知障害に対するリハビリテーション

病態失認の捉え方

半側空間無視

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