迂遠思考とは

症状について

こんにちは。

クリタマ です。

この記事では、思考障害(思考過程の異常)の1つである「迂遠思考」について忘備録を残しておきたいと思います。

ですので・・・

この記事は、⬇︎このような方々に向けて書いてます。

  • 周りの人に「迂遠思考」の説明を求められたけど、うまく説明できなかった
  • 臨床心理士の資格試験で「迂遠思考」に関する問題が出題されたけど、自信を持って選択できなかった

ですので、この記事を読むことで、

  • 「迂遠思考」をわかりやすく人に伝えられるようになる。

ということが期待できます!

結論~迂遠思考とは~

迂遠とは、話しがまわりくどくて結局何が言いたいかわからないことです。

「 迂遠では,思考目標は失われないが,細部にこだわって詳しく説明するので,まわりくどく,なか なか目的主題に達しない」

(引用:「まわりくどい話が止まらない」脳外傷の一例 ー談話障害についての考察ーよりp.86より)

こういう会話をされることって日常にもありますよね。

ですので、人と話していて・・

「で、あなたは結局何が言いたいの?」

という感覚が芽生えたとしたとしたら、それは迂遠かもしれません。

ですが、逆にいうと、そういう日常会話でも起こりうることって、知識として持っておかないと、精神症状としては捉えづらいということになりますね。

ですので、この迂遠思考の理解度を上げるために、買い物に例えてみたいと思います。

迂遠思考は、「寄り道に時間かかりすぎて、いつまでも帰ってこない」ような人のことで

す。

はい、なんとなくイメージはできたでしょうか?

イメージができたところで、学術的な定義を確認しておきます。

思考の過程が回りくどいことを迂遠という。思考の速度は正常であるが、会話の目標に至るものの、それまでの距離が最短距離をとるのではなく、派生的な連想を多く経由して長時間をかけて目標にたどり着く。細かいことやどうでもよいことに拘泥するので、必要なことを告げるのに時間効率がいちじるしく悪い。地と図の重要性の区別がなく、すべてに同じ重要性が与えられているともいえる。てんかん、精神遅滞(知的障害)、認知症、強迫性人格障害などで見られるといわれているが、通常でも起こる。

(引用:精神・心理症状ハンドブック,pp92-93より)

この定義と先ほどの買い物の例を照らし合わせてみると、以下のようになります。

  • 会話の目標に至るものの⇨トイレットペーパーは買ってくるものの
  • 最短距離を取るのではななく⇨まっすぐトイレットペーパーを目指すのではなく
  • 派生的な連想を多く経由して⇨パンコーナーを経由して
  • 長時間をかけて⇨パンについて色々悩んで
  • 目標にたどり着く⇨トイレットペーパーにたどり着く

迂遠の具体例

それでは、迂遠の具体例も引用しておきます。

「あなたの家はどこですか」

「この道をずっと行って最初の横道を右へ曲がるのですが、その角の家はそば屋でその向側は文房具屋ですからすぐ分かります。もし左の方へ曲がると原になってしまって家がありませんから、戻って右のほうへ行かなければなりません。曲がらずにまっすぐに行くともっと賑やかになって、いろいろの店があって、(中略)その次が私の家で、そば屋から数えて、あんまさん、鈴木さん、並木さんと4軒目になりますからすぐ分かります。もし分からな買ったらそば屋はすぐ分かりますからそこでお尋ねになれば教えてくれます」。

(西丸四方(1957). 精神医学入門. 南山堂, p.142より引用)

いかがでしょうか?

最高に寄り道しまくってますね。

上記の例は、ちょっと文量的に長くわかりづらかったので、も1つ探しておきました。

それが⬇︎こちら。

『─ (セラピスト)「眼鏡をかけると,視力は,いくつですか?」 老人ホームで,働いているうちに,ちゃんと自動車学校に行って大型免許も,ちゃんととったので,大型免許が とれる視力,1.7 くらいは,ありますね」』

(引用:「まわりくどい話が止まらない」脳外傷の一例 ー談話障害についての考察ーよりp.85より)

思考制止と観念奔逸と迂遠思考の違い

ちなみに、思考の早さの異常には、他に「思考制止」と「観念奔逸」がありましたが、「目標を一応見失わない」という点で、「迂遠」と「思考制止」は共通していますが、「道端で休憩して帰りが遅い」という「思考制止」にたいし、「道草に時間をかけて帰りが遅い」のが「迂遠」という点で違いがあります。

 一方、「道草が多い」という点では、「観念奔逸」と「迂遠」は共通していますが、「道草が雑い」のが「観念奔逸」で「道草が丁寧」なのが「迂遠」という点で違いがあります。

また、「観念奔逸」の場合、「目標を見失う」という点も特徴的ですね。

これを一覧表にまとめたものが以下です。

まとめ

それでは最後に、本記事のポイントをまとめてお別れです。

  • 迂遠とは、話しがまわりくどくて結局何が言いたいかわからなくなってしまう、思考過程の異常の1つである。
  • 迂遠と思考制止の共通点は、目標を見失わないこと。余計なことを考えて目標到達に時間がかかるのが迂遠、思考が前に進まずに目標到達に時間がかかるのが思考制止。
  • 迂遠と観念奔逸の違いは、迂遠が1つの思考に時間がかかるのに対して、観念奔逸は、1つの思考にかける時間は短いが、思考の移り変わりが多いという点だとえる。

いかがでしたでしょうか?

本記事が、あなたの学習のお役に立てば幸いです。

それではまた。

お世話になった文献など

①精神・心理症状学ハンドブック

「まわりくどい話しが止まらない」脳外傷の一例 ー談話障害についての考察ー 高次脳機能研究 第26巻 第2号

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