こんにちは。
クリタマです。
この記事では、心理系大学院を目指す受験生や、ロールシャッハテストの学習する必要がある大学院生のために簡単な概要をまとめてます。
ロールシャッハ・テストとはどんなテスト?
ロール・シャッハテストとは、次のようなテストです。
- 左右対称の「インクの染み」が何に見えるか答えてもらうテスト
- 「インクの染み」は1枚ごとに図版になっていて、白黒図版が5枚、カラー図版が5枚の合計10枚
- 代表的な判定方法には、「包括システム」と「片口法」がありますが、日本では「片口法」が主に用いられている
※このブログ内でも主に「片口法」を扱っています。
と、ざっくりこんなテストです。
ただ、実際にロールシャッハ・テストを見たことがない人にとっては、イメージしづらいと思うので、それっぽいものをYouTubeから拾ってきました。
実際のロールシャッハの図版とは異なりますが、「こんな感じのテスト」だという雰囲気を捉えてもらえれば良いかと思います。
ロールシャッハ・テストの心理検査における位置づけ
イメージができたところで、ロールシャッハ・テストの心理検査における位置づけを確認しておきます。
ロールシャッハ・テストは、投影法の1つです。
投影法ということは、測定領域は「無意識」ということです。
そして投影法は、アセスメント(臨床心理査定)の際に、用いられる心理検査において、人格を測定するための分類のうちの1つという位置づけです。
ロールシャッハ・テストの背景知識
ロールシャッハ・テストは、その名の通り、Rorschach,H.(ロールシャッハ)が開発したテストです。
Rorschaha,H.は、1921年に主著『精神診断学』を著しました。その副題「〜知覚診断的実験の方法と結果〜」が示すように、Rorschaha,H.は、この検査について、”何に見えるか(想像力)”よりも、”いかに見えるか(知覚)”を重視しました。
引用:臨床心理士試験 徹底対策テキスト&予想問題集p127より
この太字になっている「精神診断学」というのは覚えておきましょう。
臨床心理士資格試験を受ける方はおさえておきましょう。
過去に穴埋めで出題されています。
ロールシャッハ・テストの実施方法
ロールシャッハ・テストは、以下の順に進められます。
- 自由反応段階(図版をみて何に見えるか答えてもらう)
- 質問段階(図版に何が見えたか、どこに見えたか、なぜそう耳えたかを答えてもらう)
- 限界吟味段階(上記以外に気になったことがあれば答えてもらう)
自由反応段階とは
自由反応段階は、「このカードは何に見えますか?」のような教示から始まり,被験者が10枚のカードに自由で自発的な反応を与える段階とされています。
また、自由反応段階における教示では、誘導的・暗示的になってはいいけないというのがポイントのようです。
自由反応段階についての流れをより詳しく知りたい方は⬇︎こちらを参考ください。
質問段階とは
質問段階は、10枚全ての図版から自由反応が得られた後に、実施され、図版ごとの反応についていくつかの角度から質問をする段階です。
質問をすることで,反応を分類するための必要な情報が得られます。
その際に、質問で明確にしたいポイントとしては、以下の3つがあります。
- 反応内容(図版に何が見えたか)
- 反応領域(図版のどこにそれが見えたか)
- 反応決定因(なぜ図版にそれが見えたか)
また、質問段階は,検者の疑問を明らかにしようとするものではないため、自由反応段階同様に、誘導的・暗示的になってはいいけないというのがポイントになります。
ちなみに、反応内容については、往々にして自由反応段階の時点でわかっているため、実質的に質問するのは、「反応領域」と「反応決定因」の2点ということになります。
反応内容について詳しく知りたい方は⬇︎こちらから
限界吟味段階とは
限界吟味段階では、検査者がもつ疑問を,質問し吟味できる段階です。
そのため、自由反応段階と質問段階に比べて,質問が、誘導的・暗示的・強制的になることが許され流という違いがあります。
これは、解釈や診断のために、例えば、人に見えないか・色彩は関係ないか・嫌いなカードはどれとどれかなど、誘導的・暗示的・強制的な質問を行って、より詳しい情報を得ようとするものです。
引用:臨床心理士試験 徹底対策テキスト&予想問題集p128より
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
ロールシャッハ・テストがどんなテストか理解は深まったでしょうか。
最後に、この記事の内容をまとめて終わりたいと思います。
- ロールシャッハ・テストは、「インクの染み」が何に見えるか答えていくテスト
- ロールシャッハ・テストは、投影法の1つで「無意識」領域からその人の人格を探るテスト
- Rorschach,H.は、主著「精神診断学」おいて、ロールシャッハ・テストについて詳しくその背景を述べている。
- ロールシャッハ・テストは、「自由反応段階」「質問段階」「限界吟味段階」の3つの順に沿って実施されるテスト
お世話になった参考書などはこちら
①臨床心理士指定大学院対策
こちらの書籍は、大学院を受験される方向けの教材になります。
②臨床心理士試験 徹底対策テキスト&予想問題集
こちらの書籍は、大学院を卒業して臨床心理士資格試験の受験生向けの教材になります。
③片口安史(1987).改訂 新・心理診断法 金子書房
こちらの書籍は、現役の大学院生や病院などに勤務して実際にロールシャッハ・テストを行う予定のある方向けの教材です。この書籍に関しては、kindle版があることが衝撃でした。
④片口安史(監)(1993).ロールシャッハ・テストの学習 片口法スコアリング入門 金子書房
こちらの書籍も、現役の大学院生や病院などに勤務して実際にロールシャッハ・テストを行う予定のある方向けの教材です。
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