こんにちは。
クリタマ です٩( ‘ω’ )و
この記事では、質問紙法による心理検査の1つであるMMPIについて僕の理解をまとめておきます。
⬇︎こんな方はお読みください。
- これから臨床心理士資格試験を受ける予定があるが、MMPIの問題をよく間違える大学院修了生
- 大学院でレポートの提出ないし、発表のためにレジュメを作らないといけない大学院生
MMPI(ミネソタ多面的人格目録)とは
MMPIは、Minnesota Multiphasic Personality Inventoryの略称であり、ハザウェイとマッキンレイによって開発された質問紙法による性格検査です。
簡単な概要を以下にまとめてます。
- 目的・・・精神医学的な診断を下すこと(精神病者と健常者の鑑別)
- 適用年齢・・・15歳以上
- 所要時間・・・45~80分
- 質問項目・・・550問(10の臨床尺度と4の妥当性尺度からなる)
- 実施形式・・・ 1)カード式(筆記用具不要)、2)冊子式(筆記用具必要)
- 回答形式・・・3件法「はい」「いいえ」「どちらでもない」
- 特徴・・・特定の人格論ではなく、経験的妥当性に基づいている
「今日に至るまで研究面でも臨床面でも世界中で多く用いられ、使用頻度の最も多い性格検査の1つとして知られている」
(引用;臨床心理アセスメントp75より)
↑僕の臨床経験が浅いからなのかあまり実感がないですね。そもそも大学院の授業でもYG性格検査は取り上げられましたが、こっちは実際にやってすらないです(笑)
実際にやった方などいましたら、コメントお待ちしてます。
ちなみに、MMPIの結果は、⬇︎このようなイメージであらわされます。
4つの妥当性尺度
MMPIにおける妥当性尺度は、「?尺度」「L尺度」「F尺度」「K尺度」の4つの尺度があります。
妥当性尺度の目的は、もちろん「受験態度を評価するため」です。
- ?尺度(Cannot say scale)・・・「どちらでもない」と答えた数。30個を上回ると妥当性に疑問が生じるとされる。
- L尺度(Lie scale)・・・自分を社会的に望ましい方向に見せようとしていないかどうかを調べる尺度。
- F尺度(Frequency scale)・・・通常では起こりえない内容(出現率10%以下)に「はい」と答える頻度を調べる尺度。
- K尺度(Correction scale) ・・・受験態度が欺瞞的か、または防衛的であるかどうかを調べる尺度。
F尺度(Frequency scale) の読み取り
4つの妥当性尺度の中で、最も出題が多いのが、F尺度です。
F尺度は既述の通り、通常は起こりえない質問の内容(出現率10%以下)に、「はい」と答える頻度です。
したがって、F尺度の値が高くなることは次のことを意味すると考えられています。
- 自分を否定的捉えて、心理的苦痛を感じている場合
- でたらめに回答している場合
- 青年期的特徴を表している場合
- 混乱している場合
正直「青年期的特徴」の意味するところをよく理解していないですが、おそらく「混乱」とか「自己否定的」とかその辺りを包括的に捉えた意味合いだと推察されます。
よく理解している方がいらっしゃればぜひコメントお寄せください٩( ‘ω’ )و
MMPIの10の臨床尺度
続いて、MMPIがもつ10の臨床尺度についてです。
MMPIの検査目的は、精神医学的な診断を下すこと(精神病者と健常者の鑑別)でしたから、各臨床尺度が捉えようとしているのは、症状群を測定しているということになります。
つまり、心因性や性格特性を捉える目的でMMPIを用いることはふさわしくないということになります。
性格検査とか言っておきながら・・・・
それでは、⬇︎10の臨床尺度を確認していきます。
- Hs(Hypochondriasis) 心気症
- D (Depression)抑うつ症
- Hy (Hysteria)ヒステリー症
- Pd (Psychopathic Deviate)精神病質的偏奇
- Mf (Masculinity-Femininity)男性性・女性性
- Pa (Paranoia)偏執性(パラノイア)
- Pt (Psychasthenia)精神衰弱
- Sc (Schizophrenia)統合失調症
- Ma (Hypomania)軽躁性
- Si (Social introversion)社会的内向性
ちなみに、これらの臨床尺度には以下のような注意点があるようなので、そのことも頭に入れておきたいところです。
臨床尺度がその尺度名が示す病名についての純粋な尺度ではないなど、心理測定学的に信頼性・妥当性への疑問が残る。
(引用;予想問題p119より)
続いて、各種臨床尺度の測定対象とそれぞのれ値が高い場合・低い場合の解釈について確認しておきます。
Hs(Hypochondriasis) 心気症
HsはHypochondriasisの略で心気症尺度です。
したがって、Hsは、ささいな身体的、心的症状を意識し、過度の懸念と不安を持つ傾向の指標です。
- Hsが高い場合・・・心気的、身体的不調を訴えることによる他者操作傾向がある
- Hsが低い場合・・・楽天的
D (Depression)抑うつ症
DはDepressionの略で、抑うつ性尺度です。
したがって、Dは、相対的な気分の状態を知る指標です。
- Dが高い場合・・・抑うつ的
- Dが低い場合・・・社交的
注意点として、以下も頭に入れておきましょう。
第2尺度(D)は、抑うつ的であるという状態像であって、性格特性としての抑うつの程度を表しているのではない。
(引用;予想問題p118より)
Hy (Hysteria)ヒステリー症
HyはHysteriaの略で、ヒステリー性尺度です。
したがって、Hyは、転換性ヒステリー人格傾向の指標です。
- Hyが高い場合・・・身体症状による責任回避、洞察の欠如、未熟で表面的
- Hyが低い場合・・・萎縮して周囲に同調的
Pd (Psychopathic Deviate)精神病質的偏奇
PdはPsychopathic Deviateの略で、精神病質的偏奇性尺度です。
したがって、Pdは、反社会的逸脱行動、家庭内葛藤、敵意などの傾向の指標です。
- Pdが高い場合・・・反社会的または非社会的な反抗と敵意
- Pdが低い場合・・・受動的・同調的
Mf (Masculinity-Femininity)男性性・女性性
MfはMasculinity-Femininityの略で、性度尺度です。
したがって、Mfは、興味の型がどの程度男性的傾向かまたは女性的傾向かを示す指標です。
また、伝統的な性役割取得の程度や役割の柔軟性を表しており、男女でそれぞれ異なる意味を持っていると言えます。
- Mfが高い場合(男性)・・・女性的な性格や態度、受動的で主張が乏しい。
- Mfが高い場合(女性)・・・女性らしさにこだわらない
- Mfが低い場合(男性)・・・男らしさの自信のなさから「男らしい男」にこだわる。
- Mfが低い場合(女性)・・・「女らしい女」にこだわる
Pa (Paranoia)偏執性(パラノイア)
PaはParanoiaの略で、偏執性尺度です。
したがって、Paは、過度の感受性と邪推、猜疑心的傾向傾向の指標です。
※邪推・・・人の行いを悪く捉え、ひがんで推測すること
- Paが高い場合・・・猜疑心や独善傾向
- Paが低い場合・・・適応的か、対人的に過敏かどちらか
Pt (Psychasthenia)精神衰弱
PtはPsychastheniaの略で、精神衰弱性尺度です。
したがって、Ptは、不安、恐怖と強迫観念の指標です。
- Ptが高い場合・・・緊張感・不安感が強い状態
- Ptが低い場合・・・情緒が安定し、自分に満足している
注意点として、以下も頭に入れておきましょう。
第7尺度(Pt)は、状態不安ではなく、神経症傾向に見られる特性不安を評価する
(引用;予想問題p118より)
Sc (Schizophrenia)統合失調症
ScはSchizophreniaの略で、精神分裂病性尺度です。
したがって、Scは、自閉的あるいは偏奇した思考や行動傾向の指標です。
- Scが高い場合・・・奇妙で風変わり(エキセントリック)、疎外感
- Scが低い場合・・・現実的
Ma (Hypomania)軽躁性
MaはHypomaniの略で、軽躁性尺度です。
したがって、Maは、思考や行動の活発さ、一般的活動性の水準の高さを知る指標
- Maが高い場合・・・活動性が高く、衝動的
- Maが低い場合・・・活動性が乏しい
Si (Social introversion)社会的内向性
SiはSocial introversionの略で、社会的内向性尺度です。
したがって、Siは、社会的活動と社会への興味の程度を表す指標です。
- Siが高い場合・・・内向的
- Siが低い場合・・・社交的
MMPIの全体的な結果の解釈
以上の各尺度の意味を踏まえて、MMPI全体の結果の見方と解釈も確認しておきます。
※以下に示すプロフィールは全て私の自作であり、実例ではありません。
適応水準の推測
まずは、以下のように、社会適応ができているであろう方のプロフィールを見てみましょう。
例えば、赤ワクで示したように、、社会適応ができていると、臨床尺度の水準は全般に低くなるようです。
したがって、臨床尺度全般の高さは、適応水準を推測する一つの手がかりとなります。
境界例(浮揚プロフィール)
次に、境界例のプロフィールを見てみます。
⬆️このように、全ての臨床尺度の値が70を超える境界例とされ、「浮揚(ふよう)プロフィール」と呼ばれます。
ですので、境界性パーソナリティ障害の疑いを持たれたクライエントに対して、テストバッテリーを組むとしたら、そこにMMPIを組み込むことは適切ということになりますね。
精神病の傾き(右肩上がり)
続いて、精神病の傾向を示す場合のプロフィールです。
⬆️このように、精神病(うつ病、統合失調症、双極性障害etc)のプロフィールは、右上がりのプロフィールになるとされます
理由は、D,Ps,Pa,Maの値が高くなるためです。
ですので、プロフィールの右側の尺度群が左側の尺度群に対して相対的に高いとき、「精神病の傾き」と呼ぶわけですね。
神経症の傾き(右肩下がり)
臨床尺度の結果の見方の最後は、神経症の傾向を示す場合のプロフィールです。
⬆️このように、神経症(強迫症、醜形恐怖、パニック症etc)のプロフィールは、右上がりのプロフィールになるとされます。
ですので、プロフィールの右側の尺度群が左側の尺度群に対して相対的に低いとき、「神経症の傾き」と呼ぶわけですね。
以上のことから、MMPIの臨床尺度の布置が右下がり(神経症)の場合、右上がり(精神病)に比べて病態像としては軽いと考えられるわけです。
妥当性尺度のプロフィール①〜援助を求める叫び(山形)〜
ここからは妥当性尺度の解釈です。
⬆️このように、L<50, F>65, K<50の山型のパターンは、「援助を求める叫び」と呼ばれます。
ですので、臨床尺度の特徴で述べたとおり以下のような可能性が考えられます。
- 自分をよく見せようとする構えは強くない
- 自分の心理的問題を認めようとしな
- 自分を否定的捉えて、心理的苦痛を感じている
- 自らの問題にについて援助を求めるあまり症状を誇張している
- でたらめに回答した
- 青年期的特徴の可能性を示す
- 混乱している
妥当性尺度のプロフィール②〜自分をよく見せる(V字形)〜
次に、自分をよく見せようとした場合のプロフィールです。
⬆︎このように、良く見せかける回答をした場合の妥当性尺度の布置は、Fが低く、LとKが高いV字型になります。
その他
※学習の都合上、徐々に更新しています。気になる方はブックマーク願います。
臨床心理士資格試験を受ける予定の方はこちら
臨床心理士資格試験を受ける予定の方向けに、過去問の傾向をまとめました↓↓
よろしければご参考ください(^_^)
コメント