【論述対策・150文字】心理統計用語について

大学院受験

※この記事は2018年に書いたものです。

以下は、心理系大学院受験の論述対策として、題目ごとに150文字程度にまとめたものです。

現在進行形で大学院を受験される方は、勉強のお供にお役立てください。

本記事のテーマは「心理学統計法」についてです。

実験法(162)

 実験法とは、独立変数のみ異なり、他は全て統制された2群を用意し、従属変数の比較を行う手法。実験法によるデータ収集は、因果関係を明らかにできるという利点があるが、実験という特殊な環境で起こったことが現実場面でも必ず起こるとは言い切れない。そのため、実験法から得られた知見については、現実場面に、適用できないという批判がある。

 

独立変数(146)

独立変数とは、実験法において、研究者が実験で操作する変数のことを指す。例えば、ある心理療法の効果を検証するるために、A群には心理療法Xを、B群には心理療法Yを割り当てた場合、どちらの群にどちらの心理療法を行うかは研究者が”操作”できるため、この場合、”心理療法”が独立変数に相当すると言える。

従属変数(148)

従属変数とは、実験法において測定される変数ことで、研究者が操作できないものを指す。例えば、ある心理療法の効果を検証するるために、A群には心理療法Xを、B群には心理療法Yを割り当てて、心理療法の効果を測定した場合、”心理療法の効果”が従属変数に相当する。なぜなら、心理療法の効果は研究者が操作できない。

交絡(187)

交絡とは、従属変数の変化に対して、独立変数以外の変数が影響を与えることを言う。例えば、ある授業法の効果を検証するために、A群には授業法Xを、B群には授業療法Yを割り当てたとする。しかし、A群が高いテスト得点を示しても、A群の方にもともと優秀な生徒が固まっていたとしたら、テスト結果(従属変数)が高かった原因に、生徒の素質が(剰余変数)影響を与えているかもしれない。

統制(168)

統制とは、剰余変数が従属変数に影響を与えないようにするために偏りのない状態にすること。例えば、ある授業法の効果を検証するために、A群には授業法Xを、B群には授業療法Yを割り当てたとする。この際に、A群とB群とで”学力”(剰余変数)に差があると、テストの結果(従属変数)に影響を与えるため、偏差値の平均が同じになるような統制が必要となる。

内的妥当性(175)

内的妥当性とは、独立変数と従属変数の因果関係の適切さのことを言い、剰余変数の十分な統制によって、交絡を防ぐことで確保される。例えば、ある授業法の効果を、生徒のほぼ全員が偏差値50である高校で検証するとする。仮に、テスト結果を左右する要因が生徒の”学力”と”授業法”のみであるとしたら、剰余変数である学力は統制されているため、内的妥当性は高いと言える。

 推測統計法(147)

推測統計法とは、標本を用いて母集団を推測する手法。対象集団を直接調べることが難しい場合、一部のデータを取り出して、そこから対象集団全体を推測する。この方法により、到底調べられないような、大集団についても調査することが可能となる。ただし、母集団を適切に推測するためには、無作為抽出が不可欠である。

無作為抽出(152)

無作為抽出とは、母集団の特徴を偏りなく持つように標本抽出することを指す。無作為抽出は、推測統計法で母集団を適切に推測するために用いる。そのため、無作為抽出が実現されなければ、母集団の推測が適切でなくなってしまう。しかし、完全なる無作為抽出の実現は困難とされるため、標本を大きくするなどの工夫が重要である。

外的妥当性(160)

結果を一般化する適切さのこと。外的妥当性は、適切な母集団の選定、無作為抽出、十分な標本の大きさによって確保される。そのため、特定の集団だけでなく、様々な対象に結果を当てはめることができる場合、外的妥当性が高いと言う。逆に、特定の集団のみに当てはまり、他の対象に結果を当てはめることができない場合、外的妥当性が低いと言う。

標準誤差(145)

標準誤差とは、標本が母集団の大きさと異なることから生じる誤差を数値化したもの。標準誤差は、標本が小さいほど大きくなり、標本が大きいほど小さくなるといった特徴がある。つまり、標準誤差が小さければ、精度の高い母集団の推測が可能となる。そのため、十分な標本の大きさは、外的妥当性の確保にも繋がる。

統計的仮説検定(170)

統計的仮説検定とは、標本で起こった状況が偶然か、偶然でないかに注目して、母集団でも起こりうるかを検定すること。まず、ある事柄は偶然であるとする帰無仮説と、ある事柄は偶然ではないとする対立仮説を設定する。その後、対象の事柄が起こる確率を求め、有意水準以下であれば、帰無仮説は棄却される。その結果、対立仮説が採択され、偶然ではないと判断される。

帰無仮説(148)

統計的仮説検定において、棄却されることを目的に作られる仮説のこと。帰無仮説は、Aという事象は偶然である、AとBに差はない、という様な形式で設定される。帰無仮説の条件下で、p値有意水準以下であれば、帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択される。その結果、対象となる事象は偶然ではないと結論づけられる。

対立仮説(141)

統計的仮説検定において、帰無仮説が棄却された時に採択される仮説のこと。対立仮説は、Aという事象は偶然ではない、AとBに差はあるという様な形式で設定される。帰無仮説の条件下で、p値有意水準以下であれば、帰無仮説は棄却され、対象となる事象が起こる確率は、偶然ではないと結論づけられる。

有意水準(151)

統計的仮説検定において、帰無仮説を棄却するかを判断する基準となる確率値のこと。多くの場合、1%か5%に設定され、p値が有意水準以下であれば、帰無仮説は棄却される。一方で、p値が有意水準を超えている場合、帰無仮説は棄却できず、明確な結論を述べることはできない。有意水準は、第1種の過誤を犯す確率に等しい。

第1種の過誤(118)

統計的仮説検定において、真である帰無仮説を棄却することにより生じる誤りのことをいう。第1種の誤りを犯す確率は、有意水準に等しい。そのため、有意水準が高いほど代位一種の過誤を犯す確率は高くなるが、低いほど第1種の過誤を犯す確率は下がる。

第2種の過誤(128)

統計的仮説検定において、偽である帰無仮説を棄却しないことにより生じる誤りのことをいう。第2種の過誤を犯す確率は、1-有意水準である。そのため、有意水準が低くなるほど、第2種の過誤を犯す確率は高くなり、逆に有意水準が高いほど第2種の過誤を犯す確率は低くなる。

片側検定(152)

対立仮説の設け方には、”A君とB君の身長に差がある”という場合と、”A君はB君よりも身長が高い”という場合がある。後者の様に、A君の身長がB君より低い可能性を排除した対立仮説を設けて検定することを片側検定と呼ぶ。片側検定は、両側検定よりも差を検出しやすいが、片側検定を行う根拠がなければならないとされる。

両側検定(138)

対立仮説の設け方には、”A君とB君の身長に差がある”という場合と、”A君はB君よりも身長が高い”という場合がある。前者の様に、A君の身長がB君より高い場合と低い場合の両方の可能性を含めて対立仮説を設けて検定することを両側検定と呼ぶ。心理学では一般的に、この両側検定が用いられる。

t検定(163)

t検定とは、2群の平均値の差が、誤差か有意差か判定する統計的仮説検定のことで、無作為抽出、母集団の正規性、母分散の等質性といった3つの仮定が必要とされる。2群の平均値の差が誤差であるという帰無仮説を立て、それを棄却することで、有意差を示す。また、t検定には対応のある検定と対応のないt検定の2種類があり、使い分けも必要である。

分散分析(149)

分散分析とは、3群以上の平均値の差を検定する統計的仮説検定のこと。無作為抽出、母集団の正規性、母分散の等質性といった3つの仮定が必要とされる。t検定と異なり、帰無仮説が棄却された段階では、有意差の数と場所が特定されてないため、事後検定として、多重比較を必要とする。主に用いられるのは、テューキー法。

要因計画(152)

要因計画とは、2つ以上の要因を組み合わせた研究計画のことをいう。要因計画内では、独立変数のことを要因と呼び、要因の違いのことを水準と呼ぶ。また、要因は、水準間で被験者が異なる被験者間要因と、要因内の全ての水準が同じ被験者である被験者内要因に分けることができ、それらを組み合わせた要因計画を混合計画と呼ぶ。

交互作用(163)

要因計画において、ある要因の効果がもう片方の要因によって異なるという結果が現れ他場合、それを交互作用と表現する。これは、1つの要因が、もう片方の要因の影響とは関係なく、単独で効果をもたらす主効果と区別される。要因計画を実施する場合、主効果だけでは2つの要因を組み合わせてる意味がないため、交互作用を目指して仮説を立て検証する。

主成分析(150)

主成分分析とは、複数の変数を1つの主成分に合成することを目的とする分析。複数の因子を想定する因子分析とは、1つの主成分への合成を目指す点で異なる。例えば、5科目の得点があった場合に、そのまま合計特典を求めたのでは、平均値や分散が異なるため、各教科の得点に重み付けを与えて式を算出し、合成得点を求める。

直交回転(114)

直交回転とは、因子軸の回転手法の1つで、分析後の因子を解釈しやすい構造に近づけるために軸を回転させること。代表的例に、バリマックス法がある。これは、因子間の相関が想定されない場合に用いられ、その特徴は、回転後も軸が90度なこと。

斜交回転(116)

斜交回転とは、因子軸の回転手法の1つで、分析後の因子を解釈しやすい構造に近づけるために軸を回転させること。代表的例に、プロマックス法がある。これは、因子間の相関が想定される場合に用いられ、その特徴は、回転後も軸が90度ではないこと。

重回帰分析(158)

重回帰分析とは、複数の独立変数から1つの従属変数を予測するための、重回帰式の作成を目的とした分析である。重回帰分析によって算出された標準偏回帰係数を用いて、各独立変数の、従属変数への影響力を比較することが可能である。ただし、多重共線性の問題から、独立変数間の相関が強くならないよう、独立変数を選定することが望ましい。

メタ分析(153)

統計的処理が行われた研究論文を収集し、それらの結果を統合して分析することで、より制度の高い結論を導く手法。例えば、ある心理療法の効果を検証したこれまでの先行研究のメタ分析を行うと、その心理療法の効果をより高い見地から判断することができる。メタ分析では、治療や介入の効果を判断する基準として効果量を測定する。

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