【具体例あります】共同注意についてわかりやすくまとめてみた

基礎心理学

クリタマです(/・ω・)/

この記事では、「共同注意」についての僕の理解をまとめています。

↓↓こんな思いを抱えている方はご参考ください。(^ω^)

  • 共同注意ってなに?
  • 本の定義をみてもよくわからん

それではまいりましょう。

結論~あなたと私の共同注意~

それでは結論からいきます。

まず、👇こちらをごらんください。

はい

これが共同注意です。

つまり、「あなたの注意」と「私の注意」が「共同」して「りんご」に向けられること

これこそが、「共同注意」だと言えます。

「共同注意は、社会的、あるいは社会認知的な現象であり、2人の人間がお互いに同じものに注意を向けていることを知っていることである」

(引用:主体の社会的関係が外界認知に及ぼす影響ー2者間の会話分析をてがかりとしてーp24, 下から8-9行目)

これを先ほどのやりとりにおきかえてみます。

  • 2人の人間→「あなた」と「私」
  • 同じもの→りんご
  • 注意を向けていることを知っていること→「あなたと私の共同注意」という前提の共有

ちなみに、最後の項目の「知っていること」というのが結構肝なようです。

なぜなら、共同注意には、広義と狭義の意味があり、その違いをわけるのがこの「ただ見ているだけなのか否か」という部分だからです。

狭義の定義では、乳児と他者が同じところを見ている状態を共同注意とする。狭義の立場では、生後6ヶ月から共同注意は成立するとしている。一方、Tomasello(1995)は、2者が単純に同じものを見ているだけでなく、両者がお互いに愛艇の注意をモニタリングしている状態を共同注意としている。それが広義の立場であり、生後9か月から共同注意をは成立するとしている。

引用:乳児の共同注意関連行動の発達ー二項関係から三項関係への移行プロセスに注目してー,p100,3-7行目より

共同注意の必要性

では、この共同注意はなぜ重要なのでしょうか?

それは、共同注意が「心の理論」や「言語」を獲得するための基盤となっているからだとされます。

 近年、心の理論に先立つ共同注意は、言語獲得や社会的相互交渉のスキル獲得に必要な発達的前進であるという考えがあり、共同注意が初期に見られないと、初期発達の諸相を通して深刻な発達障害をもたらすという見解が多い。その証拠を検証しようとする研究動向の中で、自閉症は、心の理論の欠損だけでなくそれ以前の発達段階である共同注意に障害があると指摘された最初の障害児である。

(引用:共同注意の行動の発達的起源,p30左段落8-15行目より)

つまり、自閉症と呼ばれる人たちにある「空気が読めない」とか「人の気持ちがわからない」という傾向は、この「共同注意」の獲得がなされてこなかったことが1つの理由になっているのだと考えられます。

逆に言えば、この「共同注意」の獲得を目指した支援をすることはとても大事だということになるわけですね~(‘ω’)ノ

とはいうものの・・・、実は「共同注意」なる概念は、様々な要素が含まれています。

具体的にどんな要素が含まれているかというと、それが↓↓こちら

「指さし」「視線追従」「共同注意」「社会的参照」「模倣学習」「提示」の計6つです。

また共同注意には,「指さし(外界に存在する対象に対して相手の注意を向けようとする直示的身振り)」,「視線追従(gaze following)」,「共同活動(joint engagement)」,「社会的参照(social referencing)」,「模倣学習(lmitating learning)」,「提示(showing)」等の種類が含まれる。これらの出現時期は,種類により多少の違いがみられるが,9カ月にほぼ出揃い(「9カ月革命」),1歳頃には確立する

(引用:乳児期の絵本場面における母子の共同注意の指さし,p47左段落7-14行目より

なので、「共同注意を獲得するための支援をする」ということは、これらの行動に加え、これらを統合する能力を獲得するための支援ということでもあります。

したがって、「共同注意」の獲得にあたっては、上記の6つの要素が基盤として備わっているかどうかということをまずみる必要があることになりますよね。

実際、自閉症の鑑別では、「共同注意」を基盤にある行動が注目されます。

共同注意の視点に拠る自閉症の見たては研究者によって異なるが、大人との自由遊びにおける視線モニタリング量、参照視、他者の苦痛への反応(Sigman.1995),叙述的指さし,ふり遊び(Baron-cohen.1992,2000)などの組み合わせが高いスクリーニング効果があると示唆されている。

(引用:共同注意の行動の発達的起源,p30左段落16-21行目より)

診断するのは医師だとしても、そういった情報を集めるのは、心理職に任されることがありますよね?

なので、こういった視点をもっておきたいところですね( ゚Д゚)

共同注意の経過発達

それでは、この共同注意はどのように発達していくのでしょうか?

↓↓こちらの表にまとめてみました(´ω`*)

横軸が、生後6ヶ月~18ヵ月の時系列です。

縦軸が、発達の経過をまとめた2つの研究成果です。

  • Tomasell(1995)→生後9ヵ月~18ヵ月において、2つの発達段階があることを示した
  • Butterworth & Jarrett(1991)→生後6ヶ月~18か月において、3つの発達段階があることを示した

9ヵ月以降の発達の位相について, Butterworth and Jarrett(1991)は,生後6~18ヵ月の乳児を対象に実験 を行い,視覚的共同注意の発達には3つの段階があることを報告した。

引用:共同注意ーその発達と障害をめぐる諸問題,p147 右段落【1.発達時期に関する先行研究】6-9行目より

生後6ヶ月~18ヵ月の共同注意の発達

Butterworth & Jarrett(1991)の3つの発達段階については、「幾何学的メカニズム」と「空間表象メカニズム」がよくわからないとい思うので、補足しておきます。

まず、「幾何学的メカニズム」ですが、これは「母親の思いを理解した上で、視線を追うことだと考えられます。

 生後12ヵ月になると,乳児の視野内であれば,母親の注意もしくは意図を感じ取って母親とその視線が指示する対象を結んだ,目に見えない線を探すような行動(幾何学的メカニズム)が出現

引用:共同注意ーその発達と障害をめぐる諸問題,p147 右段落【1.発達時期に関する先行研究】12-15行目より

次に、「空間表象メカニズム」ですが、これは「視野内を超えて、視線を追うことだと考えられます。

 18ヵ月には空間理解の発達とともに後ろを振り返って母親が見た方向にある標的を探す行動(空間表象メカニズム)が現れる

引用:共同注意ーその発達と障害をめぐる諸問題,p147 右段落【1.発達時期に関する先行研究】15-17行目より

最後に、共同注意の経過発達に、「三項関係」の発達も加えると・・・

↓↓こうなります

三項関係は本記事では扱わないので、詳しく知りたい方は別記事をご参考ください(^ω^)

共同注意の種類

ちなみに、ここまでの話では、「共同注意」という概念が「目から得られる情報」という前提ですすめてきましたが、これは正確にいうと「視覚的共同注意」と呼ばれます。

そして、「視覚的」という言葉からもわかるように、感覚に応じて共同注意の分類があるようです。

 共同注意には、「視覚的共同注意(共同注視)」(joint visual attention)だけではなく、
「聴覚的共同注意」(joint auditory attention)や「触覚的共同注意」(joint tactile attention)が働いている。

引用:共同注意という子育て環境,p86【Ⅰ.共同注意とは】4-5行目より

奥が深いですね( ゚Д゚)

ここについて深堀りすると、収集がつかなくなるので、本記事では詳しくあつかいません(笑)

まとめ

いかがでしたでしょうか?

「共同注意」についての理解は深まったでしょうか?

最後に、本記事の内容をまとめておわかれです(^ω^)

  • 共同注意とは、2人の人間の注意がある対象に向けられていること
  • 共同注意の定義には、広義のものと狭義のものがあ
  • 共同注意は、「心の理論」や「言語獲得」の基盤である
  • 共同注意の経過発達については、Tomasello(1995)やButterworthら(1991)の研究がある
  • 共同注意には「視覚的」「聴覚的」「触覚的」などの種類がある

ということなんですね~

それではまた(^^ゞ

引用文献

  1. 主体の社会的関係が外界認知に及ぼす影響ー2者間の会話分析をてがかりとしてー
  2. 乳児の共同注意関連行動の発達ー二項関係から三項関係への移行プロセスに注目してー
  3. 共同注意の行動の発達的起源
  4. 乳児期の絵本場面における母子の共同注意の指さし
  5. 共同注意ーその発達と障害をめぐる諸問題
  6. 共同注意という子育て環境

臨床心理士資格試験でも「共同注意」は出題されています

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