質的研究における、再詳述法とは?

研究法

この記事では、再詳述法について僕の理解をまとめておきます(^ω^)

  • 大学院の研究で質的研究に取り組もうとしてる
  • 再詳述法について調べるように言われたが、よくわからない
  • とりあえず、再詳述法の概要を知りたい

再詳述法とは

結論を言うと、「相手が言っている言葉をできるだけ省略せずに表現し直す」こと、これが僕の再詳述法の理解です。

例えば、「あの人は愚痴の多い人だ」と言ってる人がいるとします。

この人の言葉を再詳述すると、「Aさんは、Bさんから『予約を取って病院に行くのに、いつも30分は待たされるのよ。どうにかならないかしら』と毎週水曜日のランチで会うたびに言われる」という風に、第三者目線から表現し直すことができます。

ここでは、「愚痴」や「多い人」というAさんの「言葉」を使わずに、そのことを表現しています。これによって、Aさんの「愚痴」の内容や「多い」という内容が明らかになりましたが、このような相手の「言葉」を吟味しようとすることこそ再詳述法の目的でもあります。

 再詳述法では、研究者は実践者と共同しつつ、相手の概念と用語を採用して、現象記述を行い、また理論化する。同時に、そこに研究者の概念と用語を入れ込んでいく。また特にそこで特定の意味について再検討を行うことを主眼として、その概念に基づく記述を中断し、別の用語を持ち込んで記述を試みる。そのことを通して、その概念の再検討を行い、その概念が何を指し、また何を意味しているのか、さらに他の概念との関係が何かを再吟味する。

(引用:質的研究のジレンマー「再詳述法」の提案による質的心理学の可能性より)

ただ、正確に言えばを「表現し直す」ということだけで「再詳述法」を説明するのは不十分なわけですね。それは、太字にした部分からわかる通りです。つまり、「表現し直して、自分の世界の言葉もそこに入れ込む」という過程があるわけです。再詳述法には。なので、もっと深く入り込みたい方は論文を辿ってください。

具体例をもう1つ

ちなみに、先に紹介した例は僕なりに身近な例でよりわかりやすく伝えようとした結果なのだが、この記事のために参考にした論文にも具体例があるのでそれを確認しておきたいと思う。

簡単な例を挙げよう。幼児教育のある解説書に,「文字は教え込むのではなく,遊びを中心とした生活を通して,幼児自身が環境のなかから自分で選び取って取り入れていく過程を大切にしましょう」(武藤,2004,p103)とある。「遊び」「生活」,「環境」,「選び取る」,「過程を大切にする」など,多くの保育者にとっておそらく理解可能なことだし,いかなる活動や指導を指しているかはある程度了解されるはずである。だが,その一つ一つを疑い,吟味し直すことが可能である。

(引用:質的研究のジレンマー「再詳述法」の提案による質的心理学の可能性より)

つまり、一見当たり前にわかってるような言葉を「しくべてみよう」って話です。

それが「再詳述法」と呼ばれるが所以ですかね。

そして、上記引用部分の太字にした部分を再詳述したのが以下の太字部分ということです。

 例えば、「子どもがレストランごっこでメニューを書き、『はんばあぐ』と記した。途中で,書くのを止めて,隣の子どもを見ると,その子どもがうなずき,また書き出して完成した。隣の子どもが『「あ」ではなくて,「ぼう」を書くんだよ。』と言ったが、無視した。」という具合である。

(引用:質的研究のジレンマー「再詳述法」の提案による質的心理学の可能性より)

わかりますかね?

この文には、再詳述前に使われていた、「遊び」「生活」,「環境」,「選び取る」,「過程を大切にする」とかそういう言葉が一切使われてないことに。

このような記述を積み重ねることで、実践の場と研究の場をつないでいくことが「再詳述法」の役目ということになるのでしょう。

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