この記事では、トライアンギュレーションについて僕の理解をまとめておきます(^ω^)
トライアンギュレーションとは
まずは、定義を確認しておくと・・・
トライアンギュレーション(方法的複眼)とは基本的には、複数の異なる視点を用いることであり、以下に説明するように、様々な形態をとる。
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
このように述べられています。
さらに・・・
トライアンギュレーションは複数の方法、研究者、見解を組み合わせて用いることであり、それによって豊かで妥当な解釈を促進できる
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
と述べられています。
ここまでの情報をより一般的な言葉で表現するなら、トライアンギュレーションとは、様々な視点から物事を捉えようとする試みだと言えます。
トライアンギュレーションの種類
そして、「複数の視点を確保する」大枠には以下の4つがあるようです。

- データ
- 調査者
- 方法
- 理論
この4つです。
では1つずつ追っていくことにしましょう。
データトライアンギュレーション
これは、簡潔に言えば、「異なる集団・場・時期からデータを得ること」だと考えられる。その根拠の1つは以下の例である。
グリフィン(Griffin,1985)が労働階級の若い女性を対象として、彼女たちがどのように就職していくかを調べた研究は、データ・トライアンギュレーションの良い例である。
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
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この研究例のデータとライアンギュレーションは以下の通りである。
- 異なる集団からのデータ・・・校長、就職課長、担任、若い男女、進路指導者
- 異なる学校・・・女子校、カソリック、英国協会、無宗派、
- 異なる場・・・学校、レジャ活動、職場(場面横断的)
ただ、この例にだと、「異なる時期」のデータが収集できていないことになるが・・・。
とはいえ、トライアンギュレーションの趣旨は以下の通りなので、可能な限り「異なる◯◯」という視点からデータを収集することが大事ということだろう。
フィールドワークの異なる段階で得られたデータを比較し、素材を再吟味し、見逃されている問題がないか、過度に強調されている問題がないかをチェックすることは、多くの場合、理解を深めるため有益である。
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
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調査者トライアンギュレーション
これは、2人以上の研究者が研究に参加することでなされるトライアンギュレーションだと言える。
できれば各研究者が異なる専門分野や視点を持っていて、異なる役割を受け持つと良い。そうすれば複合的な視点からのかかわりを反映でき、豊かな理論を導き出せる可能性が増す。
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
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ただ、これは実際、難しい課題ですよね。実際は、2人でやるというか、意見をもらうってことになりますよね。師匠とか先生とか先輩とかにね。
方法トライアンギュレーション
名前から想像できる通り、複数の方法を使って研究を行うことにより達成されるトライアンギュレーションである。
どんな方法にも限界があり、妥当性が低い部分や歪みがある。単一の方法を用いると、結果は単にその方法によって生み出されたものでしかない危険がある。しかし複数の方法を適切に組み合わせれば、それぞれ異なる情報を収集でき、得られた結果が単なる方法の生成物という以上のものだと確信を得ることができる。
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
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この方法トライアンギュレーションは、もっとも用いられることが多いようで、例えば、1つの質的研究において「参与観察」と「半構造化面接」を行う方法が該当する。
あるいは、「量的研究と質的研究を組み合わせる」にもまた方法トライアンギュレーションに該当するらしいのだが、だとすると混合研究は方法トライアンギュレーションを達成してますね。
理論トライアンギュレーション
最後はこちら。
理論トライアンギュレーションでは複数の理論を受け入れ、ひとつの理論による説明だけでは決して超えられない枠や要因を突き破っていく。複雑性と多様性を理解し、複合的な現実が存在している、と認識する。これは調査者トライアンギュレーション、つまり学際的なチームで研究を進めることと密接に関連している。
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
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これは、名称から想像していた内容と少し違っていたのだけれど、どう違っていたかといと、僕は「ある分野における複数の理論」と捉えていたことにある。例えば、臨床心理学では、「認知行動療法・精神分析・来談者中心療法」なる立場が存在するが、それぞれの理論は異なっているが、そのような理論を統合して対象を捉えよということだと思っていた。
しかし、そうではなく、「分野」というか「領域」を超えて理論を受け入れるというのがこの「理論トライアンギュレーション」の意味するところのようだ。
ヴァリ社会学、経済学、心理学、フェミニスト理論の先行研究にもとづいて、女性の仕事と教育について研究した。マーガレット・ウェザレル(Wetherell,1986)は私たちがジェンダーをどう再概念化し理解するかを研究して、他の理論から洞察と重要な気づきを得たと論じている
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
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トライアンギュレーションの水準
ここまでに紹介した4つのトライアンギュレーションとは異なるが、トライアンギュレーションの水準というものについて触れ、この記事を締めくくりたいと思う。
充分に文脈に根ざした理解を得るには、異なるレベルで分析を行うのが望ましい。文脈に根ざした理解とは、個人の水準の説明と社会の水準での説明をつなぐことの理解である。
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
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つまり、個人に焦点を当てただけの分析では、不十分ですよ。もっと広い視点で対象を分析しましょうね。って話だと思う。マーケティングで言われている「アリの視点」と「鳥の視点」みたいなものでしょうね。
私たちが最近行った工場労働者のストレス研究(Lewis et al.,1991)では、量的な質問紙調査と半構造化インタビューを用いて、労働者が考える非常事態について調べた。彼らは客観的に見れば安定した環境で働いているにもかかわらず(その職場で解雇された人はいなかった)、職の不安定が彼らにとって一番の職場ストレスなのだった。明らかに工場内だけで起きていることだけを考えていては、この結果を説明できなかった。強制解雇がないから問題ない、という主張は単純すぎる。この情報を文脈のなかで見るために、現場を越えて他の分析レベルで見る必要がある。企業の水準でいえば、人員削減が他の職場ではなされており、もっと広い社会の文脈で見れば、失業の問題はたしかに重要な要素なのである。より広い文脈の要素が、労働者の職業不安に強い影響を与えているようである。
(引用:質的心理学研究法入門ーリフレキシビティの視点ーより)
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