前回の「無生物主語の訳し方」に続き第2弾です。
心理系大学院受験生のための、心理英語学習記事です。
次のような方は、お役に立てるかと思います。
- そもそも、英語が苦手だ
- どうやって勉強したらいいかわからない
ちなみに、僕のプロフィールですが、TOEIC845点で、3年間約100名分の大学院受験生向けに英文添削をした実績があります。
受験期間中に予備校の模試を数回受けましたが、毎回順位は1桁でした。
第2回目のテーマは「分詞構文」です。
分詞構文とは?
結論から言うと、動詞を進行形(〜ing)に変形することで、節の主語と接続詞を省略して、表現する手法のことを「分詞」といいます。
例えば、次のような文章が分詞を使った表現です。
- Studying English, he was mad at his sister playing game near him.
(英語の勉強をしていたので、彼は近くでゲームしてる妹を怒った)
この前半の文章には、「he」という主語と「Because(When)」という接続詞が省略されています。
つまり、
Because he was studying English, he was mad at his sister playing game near him.
という文章を分詞を使って書き換えると、先ほどの様になるわけです。
分詞構文を使うメリット(文を簡易にできる)
それでは、分詞構文を使うメリットはどこにあるのでしょうか?
それは、すでに述べていますが、「主語」と「接続詞」を省略できることにあります。
つまり、「言葉少なく思いを伝えることができる」ということです。接続詞はともかく、「主語の省略」するのは、我々日本人にはとても馴染みがありますよね。なんなら、分詞構文どころか、日本語では、主節の文章ですら主語を省きます。
なぜでしょうか?
「そんなん、言わなくてもわかるだろ?」という前提があるからです。
一方、英語はというと、「主語ありき」の言語です。しかし、「主語を省略する」という発想がある以上は、ネイティブスピーカーですら「わかりきったことに対して、主語を明言する」と言うのは、いささか億劫なのかもしれませんね。
使い分け
「分詞構文」がどういったものかわかったところで、実際にどの様に使えばいいかをみていくことにします。
以下は、分詞構文の全体像ですが、これから説明していくのは、赤枠で囲った部分です。

付帯状況の分詞構文
まず、付帯状況という種類の分詞構文からみていくことにしましょう。

付帯状況とは、ある状況にある状況が付け加わることを意味します。
具体的には
- 2つの動作が同時進行してる状況をあらわす
- 同時ではないが、時系列的に連続した状況をあらわすとき
この2つがあります。
主節と従属節の出来事が同時進行している場合(while)
付帯状況の1つ目のパターンがこれです。

これは、「~しながら」のように「while」を使うケースが該当します。
たとえば、次のような文章です。
- I ate dinner, While I was watching a TV show.
これらは、分詞構文に書き換えることができます。
答えを見る前に自分で考えてください。
結果は以下の通りです。
- I ate dinner, watching a TV show,
( 私はTVをみながら、夕食を食べてた)
となります。
因みに、whileを分詞で表す時には、「~していた」と訳す場合であっても主節の動詞を進行形にしなくても問題ありません。
つまり、「I ate dinner…」を「I was eating dinner…」にする必要なはいという事です。
結果を表す場合
付帯状況の分詞構文の2つ目のパターンは、「and」を使っって「結果」を表す文章です。

例えば次の様な文章は分詞構文に書き換えることができます。
- We went to family restaurant, and we chose to-go because of so many people there.
- Steve Jobs invented iPhone, and he applied for a patent for it.
- The U.S accounts for 26 percent of patients who were infected by COVID-19, and ranks first in the world.
これを書き換えると以下の様になります。
接続詞(and)と主語(we/he/The U.S)を省略して、動詞(chose/applied/ranks)を現在分詞(choosing/applying/ranking)に書き換えてますね。
- We went to family restaurant, choosing to-go because of so many peole there. (私たちはファミスに行って、客がたくさんいたからテイクアウトにした)
- Steve Jobs invented iPhone, applying for a patent for it. (スティーブジョブズはiPhoneを発明し、特許を申請した)
- The U.S accounts for 26 percent of patients who were infected by COVID-19, ranking first in the world. (アメリカは、コロナ感染者の26パーセントを占め、世界で第1位である)
仮定を表す文章
これは、「If」を使った「条件」や、「仮定」を表す 文章のことをさします。

- If you go to bed early tonight, you will not be late.
- If you turn rigtht here, you will be at the Starbucks.
このようなIfを使った文章も、分詞構文に書き換えることができます。
変換した結果は以下の通りです。
接続詞(if)と主語(you)を省略して、動詞(go/turn/)を現在分詞(going/turning)に書き換えてますね。
- Going to bed early tonight, you will not be late. (早く寝れば、遅刻しないよ)
- Turning right here, you will not be at the Starbucks. (ここを右に曲がればスターバックスに着くよ)
理由や原因を表す場合
3つ目は、「Because」や「As」、そして「Since」等を使った「理由」や「原因」を表す文章です。

例えば、次のような文章。
- She was impressed by japanese customer service, as she had never experienced such a great hospitality before.
- Because this book sehlve is made from scratch, it is very special for me.
これらを分詞に書き換えると以下の様になります。
接続詞(as/Because)と主語(she/this book shelve)を省略して、動詞(had/is made)を分詞(not having/(Being)Made)に書き換えてますね。
- She was impressed by japanese customer service, not having experienced such a great hospitality before.
(彼女は日本のカスタマーサービスに感動した、なぜならそのような素晴らしいおもてなしを、以前に受けたことがなかったからだ)
- Made from scratch, this book shelve is very special for me.
(この本棚はゼロから作られているので、私にとっては特別です。)
譲歩を表す場合
5つ目のパターンは、「although」を使っって「譲歩」を表す文章です。
例えば、次の文章。

- Although I try to avoid talking face-to-face, I have no choice but to do with my customer.
これを分詞に変換すると
接続詞(Although)と主語(I)を省略して、動詞(try)を現在分詞(trying)に書き換えてますね。
- Trying to avoid talking face-to-face, I have no choice but to do with my customer. (対面で話すことを避けようとしているが、お客さんとはそうせざるを得ない)
その他の分詞構文
分詞構文の基本形は以上ですが、ここからは基本が変化したものを確認していくことにしましょう。
否定の分詞構文
ここまでは、分詞の肯定文について紹介してきましたが、否定の場合についても触れておきましょう。
例えば、次の様な文章
- Since I didn’t take part in class today, I asked my friend to show me his notebook.
これを分詞構文に書き換えると
- Not taking part in class today, I asked my friend to show me his notebook.(私は今日の授業に出席しなかったので、友人にノートを見せてくれる様に頼んだ)
となりますね。
ここまでの分詞構文をしっかり理解している方なら、肯定文の場合と何が違うかわかるはずです。
分詞の前に、「Not」をつける。それだけですね。
接続詞(Since)と主語(I)を省略して、動詞(take)を現在分詞(taking)に書き換えてますね。 で、仕上げに、takingの前に「Not」をつけて完了です。
簡単でしょう?
分詞構文の時制
続いては、分詞構文で出来事の時間のズレを表したい時の用法です。
たとえば
- Feeling excited, he sang a song at the karaoke bar in the first place.
と
- Having played that game before, I could do it easily.
は「時制」という観点から、何が違うでしょうか?
前者は、「Feeling excited(前半)」、「 he sang a song at the karaoke bar in the first place(後半)」が同じ時間の出来事だと言えます。
後者は、「Having played that game before(前半)」の出来事が「I could do it easily.(後半)」より前に起きたできごとであることを表してます。
これは、分詞構文から元の形の文章に戻すと、わかりやすいのではないかと思います。
①Since He felt excited, he aggressively sang a song at the karaoke bar.
(彼は興奮していたので, カラオケバーで積極的に歌っていた)
②Since I had played that game before, I could do it easily.
(私はそのゲームをやったことがあったので、簡単だった)
とそれぞれの文章はこの様に変換できます。
①の文章は、時制が揃っていますが、②の文章は、過去完了と過去形で、時制が揃っていません。
というわけで、分詞構文を使って時制の違いを表現したいときは、動詞の前に「Having」をつけるということですね。
簡単でしょう?
独立分詞構文
続いては、独立分詞構文です。
独立分詞構文とは、主節と異なる主語を持つ場合の分詞構文のことを言います。
これまでは、主節の主語がHe」であれば、分詞構文で省略される従属節の主語も「He」でした。しかし、独立構文の場合は主節の主語が「He」でも、分詞構文で省略される従属節の主語が「They」のように主語が異なっているということです。
例えば次の様な文章
- When he ordered at the counter, I was eating hamburger already.
これを分詞に書き換えて見ましょう
すると
- He ordering at the counter, I was eating hamburger already.
となります。
いかがでしょうか?
基本的な分詞構文との違いは理解できたでしょうか?
この書き換えは以下の順に行います。
- 接続詞「when」を削除
- 動詞「order」を現在分詞「ordering」に書き換える
- 主語「He」は残しておく(主節の主語「I」と異なるため)
とこのようになります。通常の分詞構文との違いは③です。
主節と従属節で主語が異なる以上は、それぞれの主語を残しておかなければわかりようがない。そこで、「主語を残しておく」という手続きをとるわけです。
では、今度は、分詞構文から元の文章を復元する作業をやってください。
・Weather permitting, we will go on a picnic.
(天気が良ければ、私たちはピクニックに行きます)
どうでしょうか?
答えは以下の通りです。
・if weather permits, We will go on a picnic.
解説は省きますが、主節の主語(we)と従属節の主語(weather)がちがっていますよね?
練習練習
最後に訳出のコツを確認して実際に問題を解くことにしましょう。実践に勝る修行はありません。以下の文章を読んで、下線部を訳してみてください。
WHAT HAPPENS WHEN YOU “CAN’T READ THE AIR”? CULTURAL FIT AND APTITUDE BY VALUES INTERACTIONS ON SOCIAL ANXIETY
Poor ability to decode others’ emotions has been linked with social anxiety; however, does this association differ according to the degree to which one values interconnectedness and emotional attunement? the authors propose an intra- personal cultural fit hypothesis suggesting that the association between emotion recognition ability and social anxiety is moderated by the degree to which one holds an interdependent self-construal. in a sample of Asian American (AA) and European American (eA) college students, emotion recognition ability was assessed using laboratory task and self-report methods, and associations with self- reported social anxiety were examined. results provide initial support for the hypothesized aptitude by values interaction, indicating that problems reading the air have greater costs for social anxiety among AAs who endorsed high collectivism.
答え(全訳)
他者感情の解読スキルの乏しさは、社交不安に関連している。しかしながら、この関連性は、ある個人の感情調和と相関性の程度によって異なるのではないか?
著者は、「個人内文化適応仮説」において、感情認知能力と社会不安の間の関連は、ある人が「相互協調的自己感」の程度によって、和らげられるのだと言うことを提案する。
アジア系アメリカ人と欧米系アメリカ人の大学生サンプルにおいて、感情認知能力が実験課題と事故報告法を用いて評価され、自己報告された社交不安との関連が吟味された。
結果から、変数の相互作用により仮説適性への最初の支持が示された。それは、空気を読むことの問題は、高い集団主義を推奨されるアジア系アメリカ人の間で社会不安に大きな負担があるということを示している
解説
ここからは、一文ごとの解説になります。
第1文 Poor ability toからemotional attunementまで
- decode は「解読する」という意味。また、be linked withで「〜と繋がる、〜と連絡がある」という意味だが、心理学の文献では「〜と関連がある」のように訳す。
- interconnectedness、は心理統計用語で「相関性」という意味。
- emotional attunementは「感情適合」や「感情の同調」の様に訳すと自然
- ここでのoneは「不特定の誰か」をしている。なぜなら、その後にくる「value」に「s」が付随しているため、このvalueは「動詞」だからだ。valuesが名詞の複数系だとするならば、その前に単数形のoneが置かれていることはおかしい。したがって、その後に続くinterconnectedness and emotional attunementは、one valuesの目的語ということになる。
- the degree to which〜は「〜の程度」という意味で、関係代名詞を使った文構造である。そのため、which以降に続く文章がthe degreeを就職するように訳すと良い。したがって、「個人が感情調和とのつながりを重要視する程度」の様に訳出すると自然。
第2文 The authorsからinterdependent self-construalまで
- an intrapersonal cultural fit hypothesisはテクニカルタームで「個人内文化適応仮説」と訳そう。
- suggest that 〜の形は「〜を提案する、〜を提唱する」という構文。今回に関しては、that 以下の文章が長いこともあり、「個人内文化適応仮説は、次のことを提唱している。〜」のように、thatの前後で文章を区切っても良い。
- moderateは「穏やかな、適度な」という形容詞としての意味もあるが、ここではis moderated byと受動態の形で用いられている。よって、ここでは「〜を抑える、和らげる、穏やかにする、加減する」など動詞として使われていることがわかる。
- interdependent self-construalはテクニカルタームで「相互協調的自己観」という意味。類似概念として、independent self-construal「相互独立的自己観」も覚えておくと良い。(参考)アサーションと文化的自己観、対人恐怖の関連より
第3文 In a sampleからwere examinedまで
- sampleは統計のテクニカルタームで「標本」という意味。したがって、in a sample of〜で「〜の標本において」と訳出すると自然。
- emotion recognition ability was assessed using laboratory task and self-report methodsの一文は、分詞構文の構造を疑ってみただろうか?その着眼点が養われているようであれば、第一関門はクリアだ。しかし、この構文は分詞構文ではなく、前出の動詞句を修飾するingである。つまり、「感情調節能力が評価された」⇨「どうやって?」⇨「実験課題と自己評価法を使って」という意味である。ちなみに、これが分詞構文でない理由は、主語が異なるからだと言える。仮に、これを分詞構文だと疑った人は、おそらく、「emotion recognition ability was assessed, using laboratory task and self-report methods」のように、usingの前後で文が区切られると考えたのではないだろうか?だとすると、本来の文は、「emotion recognition ability was assessed, when it used laboratory task and self-report methods」だろうか?しかしこの文章では意味が通らないということがわかる。なぜなら、この場合「it=emotion recognition ability」であるはずだが、「感情調節能力が使った」では意味が通らない。そのため、「受動態の形にすればどうか?」という発想に至るが、「when it was used laboratory task and self-report methods」でもやはり意味が通らない。加えて、これを分詞構文に書き換えたとしたら、「(being) used laboratory task and self-report methods」となるため、これも原文と一致していない。以上の理由から、この一文は分詞構文ではないとわかる。
- associations withで「〜との関連」という意味。したがって、associations with self- reported social anxiety were examinedは、「自己報告された社交不安との関連が吟味された」と訳出すると自然。
第4文 Results provideからhigh collectivismまで
- Results provideで始まる前半部分は、Resultsが主語の無生物主語構文である。直訳すると、「結果は、最初の支持を与えた」ということになるが、「結果から、仮説への支持が示された」のように訳出すると自然。
- 「the hypothesized aptitude」は「仮説立てられた適正」、values interactonは「値間の相互作用」という意味。
- さて、みなさまお待ちかね、indicating that から始まる後半部分は、付帯状況の分詞構文である。つまり、この文章を、本来の形に戻すと「by values interaction, and results indicate that problems〜」ということになる。したがって、「・・・を示している。そして(同時に)、」のように前半部分で一度文章を区切り、後半を訳すと全体がスッキリしてわかりやすい。
- endorseは「支持する」、 high collectivismは「高い集団主義」という意味。
さて、いかがでしたでしょうか?
この記事を読んで、「まだまだ勉強不足だな」と思った方は、今の学習スタイルを見直してみてはいかがでしょうか?
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3分もかからず終わると思いますので、ぜひお役立てください!(^^)!
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