文京大学大学院2016年1期・過去問(専門)の見直し記事です。
過去問の入手方法は、以下をご参考ください。
※以下は、答案ではなく、僕がその設題に答えるとこうなりますよというものです。正誤を担保するものではありません。
問題1個人療法、家族療法、集団療法についてそれぞれの特徴を述べながら比較して論述しなさい。
個人療法とは、患者とセラピストの1対1の人間関係を基礎とした、もっとも基本的な 治療である。患者は、セラピストから支持的な慰め、自分が生きていくに値する人間であるという保証などを受けながら、自分の病気の原因や状態を理解し、洞察をすすめる。その過程で、感情が発散され、浄化作用が起こり、最終的には、人格の構造の変化が治療目標となる。
次に、家族療法とは、精神的な症状や問題行動は、患者のみに原因があるわけではなく、家族というシステムになんらかの機能不全があるためだという理論を背景にしている。そのため、治療は患者とその家族が対象となる。家族がどのようなコミュニケーションを持っているかを認識し、それを変化させることにより問題解決を目指す。
最後に、集団療法とは、集団場面で行う精神療法のことをいう。患者とセラピストの他に、患者同士の相互作用が治療に深く関わってくる。他の患者と共感する体験を持つことで、精神的成長が期待できる。
以上のように、これらの心理療法には、それぞれ、問題の所在に違いがある。個人療法では、問題の所在が個人の内面にあると捉える。一方、問題の所在が個人の外であったり、数名にまたがる場合は、家族療法や集団療法が適用されると考える。
問題2
次の用語および人名について説明せよ。
ビネー式知能検査
ビネー式知能検査は、ビネーが開発し、ターマンによって実用化された検査。ビネー式知能検査は、各年齢群の子供の50-70%が正解できる問題で構成されており、要素に分解されない一般知能の測定を目的としている。そのため、全体的な知能の発達程度はわかるが、知的能力ごとの違いはわからないのが欠点でもある。また、精神年齢が成人以降、意味をなさないため、児童のみを対象としている。
交流分析
交流分析は、バーン(Berne,E.)によって開発された対人関係に関する理論と、それに基づく心理療法である。「互いに反応しあっている人々の間で行われている交流を分析すること」を目的とする。交流分析は、基本的な人間観や、コミュニケーション観、無意識を仮定せずに、「今、ここ」を重視することから、人間性心理学に位置付けられる。特徴は、心の構造や機能を、記号や図式を使ってわかりやすく説明することであり、代表例には、エゴグラムを用いた構造分析がある。
カイ二乗検定(chi-square test)
母集団の分布に関する仮定を持たないノンパラメトリック検定の1つ。度数の分布において、統計的に偏りがあるか否かを検定する手法。カイ二乗検定はカテゴリー毎の散らばり度合いを期待値と照らし合わせ、観測値と期待値がどの程度一致しているかを見る。
反社会性人格障害
パーソナリティ障害に置いて、派手で突飛な行動を示すと言われるB群に属するパーソナリティ障害。社会的規範や他者の権利・感情を軽視し、人に対して不誠実で、欺瞞に満ちた行動を行い、暴力を伴いやすい傾向がある。
アンナ・フロイト
精神分析学の創始者である、Sフロイトの娘。防衛機制という言葉を初めて用い、父から受け継いだ精神分析を発展させるとともに、自我の健康なき働きを強調して精神分析的自我心理学の基礎を作る。また、子供の精神分析に取り組み、両親の協力と治療を重視した。遊戯療法の先駆者でもあり、現在の遊戯療法の基礎を築いた。
親訓練(ペアレントトレーニング)
知的障害や自閉症などの子供を持つ親を対象に、ハンスミラー博士によって、アメリカで開発されたプログラム。発達障害者の親が自分の子供の行動を理解したり、発達障害の特性を踏まえた褒め方や叱り方を学ぶための支援。
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