この記事紹介
結論
対応バイアスとは、「人の振る舞いや発言から、状況をあまり考えずに、その人の内面とむすびつけがち」なことを言います。
原因帰属に伴うバイアスとして、もっともよく知られるのは、ある事象が起きたとき、その場の状況よりも、その事象に関わる行為者の内的属性(性格、態度など)が重視しすぎる傾向を、対応推論におけるバイアスという意味で対応バイアスと呼んでいる
(引用:p187 ,【(1)対応バイアス(根本的帰属の誤り)】
具体例
わかりやすくいうと、すごく優しい女医さんがいるとします。
あなたの、話をうんうんと聞いてくれ、労いの言葉をたくさんかけてくれます。
そして、あなたはこう思います。
「この人は、私の話をいつも優しくきいてくれる。こんな人が自分の母親だったらなぁ」
と思うかもしれません。
これこそが、「対応バイアス」の1例と言えます。
どういうことでしょうか?
対応バイアスとは「状況よりも、内的属性を重視する傾向」でした。
今回の場合であれば、以下の様になります。
- 状況・・・医師と患者の関係で話をしている
- 内的属性・・・優しい
つまり、医師からすると「仕事」としてあなたに会っているにすぎません。
にも関わらず「こんな人が自分の母親だったらなぁ」と思ってしまうということは、「この人は、こんなに優しいのだから、プライベートでも優しいに違いない」という前提があるということになりますよね?
しかしながら、女医さんがあなたに優しいのは、仕事だからです。
そのように、「医師と患者の関係で話をしている」という状況よりも、その人「こんなに優しい、だからプライベートも優しいだろう」という様に、内的属性を重視してしまいがちな傾向こそ「対応バイアス」なのです。
他者の言動の原因を考える際、行為者の内的属性を重視し、状況などの外的要因を軽視しすぎる傾向を、対応推論におけるバイアスという意味で対応バイアスと呼んでいる
(引用:社会心理学-社会で生きる人のいとなみを探る(いちばんはじめによむ心理学の本 2),p188,3段落、1-3行)
もう1つ具体例を挙げてみます。
例えば、次のようなクイズゲームが行われました。
3人の人に集まってもらい、その3人を以下次のようにランダムに以下の役割を与え,クイズゲームをしてもらいました。
1)質問者
2)回答者
3)観察者
↓↓こんな感じですね。
このゲーム後に、参加者1人1人に
「質問者と回答者のどちらが賢そうですか?」
ときいたところ、全員が「質問者」のほうが能力が高いと答えました!!
↓↓こんな感じですね。
これが「対応バイアス」です。
なぜか?
なぜなら、このゲームは、質問者の方が圧倒的に有利だからです。
つまり、環境要因を考慮せずに、質問者の内面を重視して評価を下してしまっているのです。
Ross,Amabile&Steinmetz(1977)では、被験者をランダムに質問者役と回答者役に振り分 けてクイズゲームを行わせた後、能力や知識がどの程度あるかを判定させたところ、どち らの役割を割り当てられた被験者も、そして第三者の観察者も、質問者役の被験者の方が 回答者役の被験者よりも能力があり、知識も豊富だと評定する傾向があった。この結果は、 クイズゲームにおいて、質問者は自分の得意な分野からよく知っている問題を出すのに、 回答者は得手不得手にかかわらず、出された問題に答えなければならないという不平等な関係があり、質問者の方が圧倒的に有利な立場1こあるという点を考慮に入れずに判断したこ とによると考えることができる
(引用:基本的な帰属のエラー(Fundamental Attribution Error) p236,【3.態度帰属以外の実験的証拠】3-10行目より)
対応バイアスへの対策
ちなみに、この対応バイアスは、焼失させることが非常に難しいバイアスだと言われていますが、そのための対策としては以下の3つがあるようです。
- 他人への説明責任
- 背景状況の想定
- 別の動機の存在
対応バイアスを消滅または減少させるためには、行動が起こった場面に関する情報に十分に注意を払わせ、意識的な推論をするよう促進するような手続きが必要であることがわかる。この条件が満たされない場合には、行動を額面通りに受け取り、状況的な拘束下で行われた行動からでも、それと対応する態度を推測するという対応バイアスの傾向は、極めて広範かつ強固にみられる。
(引用 : 社会的認知の普遍性と特殊性:態度帰属における対応バイアスを例として,p4下から1行目-p524行目)】
これ以上踏み込むときりがないので、本記事ではここまでにしておきます(笑)
まとめ
最後に、本記事の内容をまとめてお別れです(^ω^)
- 対応バイアスとは、「人の振る舞いや発言から、状況をあまり考えずに、その人の内面とむすびつけがち」なこと
- 具体的には、優しく話しを聞いてくれる医者を、プライベートでも優しいと思ってしまうことや、クイズゲームで回答者よりも出題者のほうが能力的に優れていると思ってしまうことなどがある
- 対応バイアスを消失させるためには、①他人への説明責任、②背景状況の想定、③別の動機の存在の3つがある。
ということなんですね~
それではまた(^^ゞ
コメント